俺の幼馴染が領主に。
ギャンブルとしてではなくお馬さんカワヨ・・・と競走馬にハマってる筆者が、
明日開催される中山大障害のオジュウチョウサンの馬券を記念に買おうとしたものの
明日は家の用事で一日家族と他県に出かける予定が入っていて、
今日かえないかと調べても前日販売がなく、
当日買いにいくことができないためオジュウ・・・オジュウチョウサン!!ああああああああああああ!!
ラストランの馬券記念に買いたかったうおおええええええええええええっ!!
とむせび泣き号泣しながらぐびぐび酒飲んでたらなんかこの・・・何だろう・・・という文章を産みだしていました。
皆さんの暇つぶしになったら幸いです。
俺の名前はニルス・デュエマスタ。
この商業都市ボーテュラクの片隅で小さな宝石細工屋を営んでいる。
うちの一族は代々宝石細工の技術を伝えてきていて
裕福とまではいかないが、
中流階級以上の生活ができる程度には生活も潤っていた。
都市内外に幾つもの取引先があり、
少なくとも仕事が途切れることがない程度には名前も売れている。
生活基盤も安定してきたといっていいだろう。
「・・・そろそろかな」
俺の貯蓄として、家の2棟、3棟は一括で買える程には貯まっていた。
親父からこの店を受け継いで5年。
歳もまだ20代前半でこれだけの金額があれば、そうそう飢えることもないだろう。
親父は2年前に流行り病でなくなってしまったが、今では親父の頃の人脈だけではなく、俺自身で開拓した顧客も抱えていて、一人前と言って恥ずかしくはないはずだ。
「・・・ノーラに、プロポーズをしよう」
ノーラは俺の幼馴染であり、俺の取引先でもあるベルモント商会のお嬢様でもある。
金髪碧眼の美少女で、おしとやかで清楚なお嬢様は俺の自慢の恋人だ。
子供のころから商会と取引があった関係で、
2人でよく遊んだものだ。
おてんばだったノーラが、成長するにつれて美しくなっていくのにはドキドキしたものだ。
そんなノーラと俺を、
先代の商会の会長であるノーラのお父さんには、随分と目をかけてもらった。
俺とノーラの関係を応援してくれていたのを知っている。
不幸にも、先日病で亡くなってしまったが・・・
出来る事なら、俺たちの晴れ姿をお見せしたかった。
特に俺の父さんやノーラのお父さん、そして俺はこの街の催しである罪人のみせしめと処刑に不快感を抱いているところでシンパシーを感じていた。
罪人にならば何をしても良い、というこの都市の風潮が好きではなかった。
だからこそ、ノーラのお父さんは俺にノーラを託そうとしてくれたのかもしれない。
勿論俺の懇意にしている取引先にもそう言った人間はいるが、この都市の大半は、
罪人をみせしめにして殺すことに愉しみを見出している人間ばかりなのだ。
この日のために用意した、大粒のディアルモンド鉱石で作った世界に一つの指輪。
それを化粧箱にいれてポケットにしまうと、ベルモント商会を訪ねた。
「ごめんください、ニルスです。ノーラはいますか?」
そう言って番頭さんを訪ねると、いつもは笑顔で対応してくれる番頭さんが、
鬼のような形相をして、俺を組み伏せてきた。
「よくもぬけぬけと顔を出せたものだな、この性犯罪野郎が!!
その粗末で薄汚いなポコチン切り落としてやろうか、エェ?!」
「う、性犯罪?!何の事ですか?!」
ギリギリと締め上げられ、痛みにこらえながら呻く。
「みんな、性犯罪者のニルスのボケカスが来やがったぞ!
ボコれ、顔面が変形するまで袋叩きにしてやれ!!」
そんな番頭の言葉に、屈強な商会職員たちが駆け寄ってきた。
「待っていたぜ・・・この“瞬間”をよォ」
「ノーラお嬢様泣かせて、テメ生きて帰れると思うなよコラァ!」
「二度とまともな職につけねえように、その腕潰してやっからよ!」
「それが終わったらけつあな確定な」
------------------突然の謂れのない暴力が、俺の心身と肛門を傷つけていった。
二度と宝石細工ができないように俺の腕は砕かれ、
顔は晴れ上がり、尻の穴も痛い。
そうして散々に嬲られた後、俺はそのまま役人に引き渡されて、
留置場にブチ込まれた。
そこからは、俺の言葉や意見など誰も聞いてくれることは無く、
俺は婚約者であるノーラを裏切り浮気をしそれだけでなくノーラを口封じのために暴漢に襲わせた言い渡された。
俺は誰かに冤罪をかけられたのだ。
俺は必死に無実を訴えた。
しかし法廷のノーラは、いかに俺に傷つけられたか、命の危険を感じたか、
そして暴漢に酷いことをされたか、それが俺のせいだと暴漢たちが言っていた、
などと嘯き、徹底的に俺を糾弾した。
番頭たちも取り押さえるときに暴れられて命の危険を感じた、
正当防衛で、捕縛する際に必死だったと訴えた。
そんなふざけた言い分があるか、と俺は激高した。
だが、ボロ雑巾のようになった俺の姿や、
俺の必死の叫びにも、ノーラは一顧だにしなかった。
・・・ノーラ、お前が裏切ったのか。
俺はノーラの主張をそれを示す証拠がない事を訴えた。
ノーラが言う犯行時間に、俺はそもそも取引でこの街にはおらず、取引先に滞在していた事を指摘した。
俺の無実を知る取引先の親父さんも、
わざわざこの都市にまで来て犯行時刻の俺のアリバイの証言をしてくれた。
だというのに----------。
裁判長のババアは、ノーラの言葉だけを鵜呑みにして判決を下した。
「女性であるノーラが被害を訴えたのだから、証拠はそれで充分。
被害にあったことで、記憶が定かではなかったのかもしれないから犯行時刻の間違いは問題ではない。
よって、被告人ニルスが性犯罪者であることは疑いようがなく、
全ての私財を接収し、贖罪としてベルモント家への賠償金とする。
さらに被告人ニルスは、郊外の森に放置の刑とする。
薄汚い性犯罪者はモンスターの餌になって死になさい。
以上、閉廷後速やかに罪を執行し、被告の上告は認めないものとする」
「ふざけんな!!!!なんだよそれ、何の証拠もねーじゃねーか!!
こんな理不尽な裁判があってたまるか!
女が主張したら通るのかよ!それじゃ冤罪ばかりになっちまうだろうが!」
俺が叫ぶ地、裁判長のババアがピシャリ、と言い放った。
「黙りなさい性犯罪者。女性が法廷で嘘を言う筈がないでしょう」
「事実言ってるだろうが!
ロクな物的証拠もあげないで冤罪でっちあげやがって、
そのせいで俺は利き腕も潰されてもう二度と宝石細工もできねーんだぞ!!
こいつらが俺をハメようとしてんだろ!!」
ブチギレて俺は絶叫した。
だが、裁判長のバアアは俺の言葉に耳など聞く気すら見せなかった。
「怖い思いをしましたね、ノーラさん。もう大丈夫ですよ。
下劣な性犯罪者の言うこと等、法廷では無意味です。
あなたのようなの女性の敵のクズ男が何を喚こうが、
物的証拠などなかろうが、
女性の精神的証拠があれば充分罪に値します。
女性を傷つけ不快感を与えた時点で精神的犯罪は立証されているのですからね。
ハラスメントですよ、ハラスメント!!
さぁ、ノーラさんこれでもう、安心ですからからね」
俺の、怒りの、慟哭の、絶望の絶叫が法廷に木霊した。
そして日を待たず、
俺は罪人として都市外に連行されることになった。
全裸で縛り上げられ、「私は性犯罪者です」とかかれた木札を首から下げられて町中を練り歩かされた。
その際、俺の大切な、代々受け継がれていた宝石細工屋とその工房は、
中の商品や機材を売り払われた揚げ句に空き家として売りに出されているのもみせつけられた。
そんな無残な我が家を、工房をみせられて、涙が止まらない。
「ははは、性犯罪者が泣いてるのか。馬鹿め。」
そういいながら、
俺を引きずり回している執行官は、俺を店の中へと連れて行った。
そこにはもう、何も残っていない。
思い出の詰まった者も、丹精込めて造り上げた俺の制作物も。
「ほら、床を舐めて最後の別れを告げな、
ギャハハハハフィーハハハハムホホホホホ!」
そう、執行官が俺を嘲笑する。
その時、きらり、と床に光るものが見えた。
俺がノーラに送るために用意した、指輪を作るときに削ったディアルモンド鉱石のかけらだ。
何か理由があったわけじゃない。
本当になんとなくだが、俺は床をなめるふりをして、それを口に含み、隠した。
「うおおおマジかよこいつ本当に床を舐めたぞ!!なぁちょっとみんなみてみろよ、全裸床舐めだクッソ笑える!!!!!!!!!!!!!」
なんとでもいえ、なんとでも。
俺は、俺は、俺をハメたやつらを絶対に許さねえ。
俺の大事なものを全部奪ったゴミカスどもを、
絶対必ず逃さねえ。
復讐だ、もう復讐しかない!!
怒りと悔しさで止まることなくあふれる涙をぬぐう事は出来なかったが、
それでも俺は復讐を誓った。
************
「うわ、あれ冤罪だよマジ本当冤罪だよガヴィノさん」
そう言いながら全裸床舐めをしているニルスを、双眼鏡で見ている少年がいる。
「・・・ああ、みていてあまりにも不快すぎる判決だった。
腐りきっている、などと生易しいものではない。
最初からあの青年を死に追いやるために動いているな。
法廷が牛耳られているとなれば領主か有力貴族が絡んでいるかもしれない。
どうする?俺がガッズィラになって彼を救出して、
あの街のダニを皆殺しにしようか?」
その隣に立つ中肉中背の青年が、
まるで道端の蟻を踏み潰すようなたわいのない事のように----そんな事を口走る。
「んー、いや、この復讐はあの冤罪けつあな確定さんのものだと思うから、
とりあえず森の中にリリースされたら保護して、
俺がプロデュースしようかな。
なんか面白い能力持ってそうだし」
そう言ってウォロロロ、と笑い声をあげるタケキチと呼ばれた少年の隣では、
銀髪の美女は、ほほほと扇子で自身を仰ぎながら、愉快そうに笑っている。
「ふむ、タケキチがまたろくでもない事をおもいついた顔をしておるの。たのしみじゃ」
「ああ・・・、女神様よぉ、オラ、ワクワクすっぞ・・・ハチャメチャが押し寄せてくるから楽しむしかないんだぜ!!」
*************
「それじゃな、ニルス。
おまえのけつあなとお別れなのは寂しいが、楽に死ねることを祈っているぜ」
そういいながら執行官達は俺を森の中に置き去りにした。
全裸で何の装備もなく、
手足も縛られている俺は何も手出しをすることが出来ない。
森に連れてこられる道中も散々に辱めを受け、
そしてこうして捨てられる。
こんな状態では、魔物が跋扈するこの場所で助かる道はない。
・・・それでも俺は死ねない。
死んでなるものか。
絶対にあのクソカスどもをいたぶり、嬲りつくし、
産まれてきたことを後悔しながらぶち殺してやらねば気が済まない。
何かが近づいてくる足音に、歯を食いしばり、恐怖をこらえながらその方向を睨む。
草むらをかきわけて現れたのは、年若い少年だった。
「うわぁ、酷い有様ですね。今その縄解きますね」
そういいながら俺のほうに歩いてくる少年。
「だ、誰だ?君は・・・まだ少年のようだが・・・いや、
そんなことよりここはモンスターが出て危ない、早く逃げるんだ!」
同時に、ぐおるるる、と狼の唸り声が聞こえる。周囲を囲まれているようだ。
「もう魔物が来ていたのか、俺の事は自分でなんとかする、君は早く行くんだ!」
俺が叫ぶと、草むらから4・・・いや、5匹の狼犬が姿を現した。
「こんなにも狼犬が・・・?くっ、くっそお・・・!!」
自分だけではなく、
無関係の、俺を助けようとした少年まで巻き込んでしまったことに涙が出る。
「やっぱりお兄さんいい人だから、こんな所で死んじゃ駄目ですよ」
少年がそう言うと同時、さらにもう一人、こちらは俺と同じ年頃か、
成人した男が姿を現した。
中肉中背、一見すると平凡な青年に見えるが、その青年が姿を現した瞬間、ゾクリ、と背筋が震えるのを感じた。
「--------と、言う事だ。
犬畜生は疾く焼け死ねグガァァァァーオォン」
その男は壊れた管楽器のような音----咆哮----とともに、
口から青く光る光?炎?のようなものを放射し、狼犬達を一瞬で薙ぎ払った。
狼犬たちはそれが命中すると同時に蒸発、
あるいは爆散し、何事もなかったかのように静かになる。。
「やぁ。僕はタケキチ。
僕と契約して、幼馴染ざまぁをしちゃってよ・・・なんちゃって」
**************************
ここは商業都市領主の館。
「ぐふふ、うまくいったわい」
そういってほくそ笑みながらワインを飲むのは、
でっぷり太ったチョビ髭の男。
「ええ、そうですわね、領主様♡」
そういってぴっとりと領主に寄り添うのは、
ニルスの幼馴染で恋人でもあったノーラだ。
「お前もあんな先のないたかだか宝石細工の男よりも、
わちしのようなリッチな男のほうがいいじゃろう?」
「そうよ、あんな小さな宝石細工屋に嫁ぐなんてまっぴらごめんだわ。
こうやってかっこよくて頼りになる領主様に嫁いで、
税金チューチューしながらリッチに暮らす方がいいもの!!
領主様がお父様を毒殺する手腕も完璧でしたわ!!」
「むっふーん。わちしはこの都市の領主!
罪も罰もなにもかも、わちしの思い通りだえ~~!
下々民の生殺与奪は貴族で領主のわちしの指先一つでダウンだえ。
税金も使い放題~~~!」
ノーラの身体を撫でまわしながら、満足げに笑う品のない男は、
この都市の領主だ。
「でも、わざわざこんな回りくどい方法をする必要ってありまして?
あんな下々民(笑)の男、
普通に振って嫁いでも良かったのでは?」
「ノーラはおっぱいは大きくてかわいいが、
まだまだだえ~。
そんな事をしたら、わちしがNTRクズ野郎として言われてしまうえ?
お前だって、恋人を裏切った女と後ろ指をさされるかもしれない。
それならニルスを性犯罪者にしたてあげて処刑すれば、
口封じもできるしわちしの評判は落ちないし資産も没収して懐も潤うえ~」
さもありなん、というようにしたり顔で笑う領主に、ノーラはなるほど!と頷いている。
「しかもあのニルスとかいう小僧が造っていた宝石は売ったらいい金になったえ!
タ~ダタ~ダ石がタ~ダ♪
あのニルスとかいう小僧もわちしの手にかかればあっという間に死刑だえ~。
ノーラはわちしのモノになってしかもニルスの資産も没収出来て一石三鳥だえ~」
「そうだったのですね!さすがは領主様!私もうれしいです。
あんな男と一緒にいても、
せいぜいそこそこいい暮らしができる程度。
そんな贅沢も出来ないような暮らしや、
私は満足できませんもの、領主様ぐらい、
イカして、ゴージャスで、素敵な人と結婚する方が幸せになれるに決まっていますわ。
世の中は金と権力をもっているほうにつく方が勝ちですの!」
「ノーラはよくわかっているえ~!
むっふーん、その通りだえ~。
なんでも好きなものはかってやるえ~、
気に入らない奴も、
言えばすぐに死刑にしてやるえ~!」
「まぁ、頼もしい旦那様♡」
「ムラムラしてきたえ~、ほらノーラ、わちしの上にのるえ~」
そして淫靡な交わりを始める領主とノーラ。
そんな領主とノーラの会話を、窓の外から一匹の小さな蛾がみていた。
青い複眼を持ち、身体や翼には羽毛に似た体毛を生やした、極彩色の羽根を持つ生き物。
人の手のひら大の大きさだろうか?
「・・・やはりそう言う事か。小人がのる用サイズのモッツゥラに変身してみにきてみれば、なんとゲスなやつらだ・・・これは、タケキチ君にもニルスにも教えてやらねば。きちんと録画もできているな」
その生き物は青年――――ガヴィノの声でそう吐き捨てると、
踵を返して飛び去って行った。
********************************
「・・・タ、タケキチ少年まだあるのか?」
「まだまだ全然っすよ!
TV本編はこれで在る程度進みましたが、劇場版もありますからね!
俺のオススメはディアモンダスVSパールギアVSダークマンってやつで・・これネットミームにされて有名な奴なんですけどダークマンがメチャかっこいいんスよね~~~。
あとこのシリーズのラスボスのオール600族の神様の声が大御所で・・・あ、
それはみてからのお楽しみにしましょう!」
そういってウキウキと「でいぶいでい」を次から次へと取り出すタケキチ少年。
タケキチ少年に助けられた俺は、女神と名乗る女と、
ガヴィノと名乗る青年の3人パーティに連れられて、
女神と名乗る女性の作り出した魔法の小屋で「でいぶいでい」というものを延々とみていた。
「てれび」という機械仕掛けの箱に、「あにめいしょん」と呼ばれる動く絵本がうつしだされる。
そこに映し出される物語は、
人間離れした身体能力を持つタカシ少年が、
電気ネズミの怪物を連れて世界を旅するというものだ。概ね30分程度で物語が完結する「てれび」しりーずと、長くて2時間ほど続く「げきじょうばん」とを、順番にみている。
「う、うむ・・・いや、しかし凄い本数だな・・・」
「大丈夫っすよこの空間、本来は女神さまのセーフハウスだから時間が歪んでるんで・・・『バケットモンスター』略してバケモンを最新話まで全部みれるまで、存分にゆっくりできますからね!一応最新のシリーズでタカシが優勝するんで、そこまでみちゃいましょう!はいこれおつまみのポップコーン」
「あ、ああ・・・・。いや、しかしこの状況がよくわからないのだが・・・」
困惑する俺に、次から次へと食べ物や飲み物を提供してくれるタケキチ少年。
しかし今さらっとタカシがリーグ優勝とかネタバレしたような・・・?まぁ、よいか。
救われた命だ、この少年ののぞむようにするのが、いいだろう。
・・・で、このバケモンいつ終わるのだろうか。・・・・全部で何話あるんだろうか?
外出から帰ってきたガヴィノも、俺の時もこんな感じだったがとりあえずみて楽しめばいいと思うぞ、と声をかけてくれた。
・・・そうだなぁ。深く考えるのはいったん止めて、バケモン見るの愉しもうかな。
「ところでこの男女と喋る猫型モンスターの3人組の悪役についてなんだが、
高度な技術力を持っている筈なのになぜ作戦がこんなに杜撰さんなんだ?」
「そこがラブリーチャーミーなヴィラン役なポイントなんじゃないッスかね」
「そうなのか・・・」
あにめいしょんとは、奥が深いな・・・。
***********************************
「タカシ優勝おめでとう!
タカシ優勝おめでとう!!!!!
うおおおおおおおおおおおおお!!!」
どれほどの時間がたっただろうか。
俺はバケモンを見終わり、長き旅の果てについにバケモンリーグで優勝したタカシの姿に感動の涙を流していた・・・!
「いままでの大会でも惜しい機会は何度もあった!
なんか伝説バケモンのジェットオスとダークマン使ってくるポッと出のタクヤとかいう奴がリーグ優勝したときにはむちゃくちゃ腹たったけどそれがやっと・・・やっと・・・」
諦めかけたタカシたちを、
これまでのタカシの旅路で出会った歴代のバケモン達のまぼろしが応援するところでは涙が止まらなかった。
はじめてタカシが捕まえたバケモンのモルフォリーーが再登場した瞬間、
俺は声をあげて泣いた。
「いや~~~一気見おもしろかったっすね~、ガヴィノさんはどうでした?」
「面白かった。俺もバケモンになれるかやってみよう」
何言ってるんだろうタケキチ少年とガヴィノさん。
「ふむ・・・・これでどうかな・・・」
む、とガヴィノが唸ると、ガヴィノが人型のカエルのようなモンスターの姿になる。
「おおお、ゲコニンジャ!!しかもカラーパターンがタカシゲコニンジャじゃないですか!!ガヴィノさんなんでもありっすね!!」
タケキチ少年は大興奮という様子だが・・・
え、何?ガヴィノそんな風に姿を変えれるの???何それチートじゃない??
「ゲコッ・・・ほう、変身すると「あにめいしょん」通りに技も出せるみたいだ」
そういいながら水の手裏剣を出したり分身するガヴィノ(ゲコニンジャ)。
「ガヴィノさんやべ~~~~~~~ッスwwwwwマジウケるんですけど」
タケキチ君はきゃっきゃと手を鳴らして大興奮している
・・・俺もバケモン一気見した影響でちょっとテンション上がった。
いいなぁ・・・・変身能力いいなぁ・・・。
俺はサメのドラゴンみたいなやつがかっこいいと思うけど、
リクエストしたら変身してくれないかな・・・オホン。
「とりあえずバケモンに出てきた印象深いモンスターは一通り変身できるようになったと思う」
オレンジ色で翼の生えた火を噴く竜、
逆巻く炎の髪を生やした白猿、
はてはまんまるい姿をした小さなマスコット枠のフクロウ、
そして
「・・・ヴィッガァ・・・!」
タカシのパートナーである電気ネズミのモンスターにまで変身した。
あきらかに元のガヴィノの体積を無視した変身。
え、何この人、ガヴィノすごい。
「・・・というわけでニルスさんにはバケモンをみてもらったんですが、
もう、おわかりですね」
「すまない、さっぱりわからない」
いや、あにめいしょんをみて何をどうおわかりになればいいんだ?
すまない、本当にすまない・・・と謝ると、大丈夫っすと説明を始めるタケキチ少年。
「じゃーん。ここにあるのは、ニルスさんが生成した宝石たちでーす。
あのクソデブ天りゅうび・・・じゃなかった領主が売りさばこうとしてたので、
奪ってきました」
そういって5つの宝石を机の上にならべるタケキチ少年。
間違いない、どれも俺が磨き、仕上げた宝石たちだ。
「この街は商業都市として発展していたから、
あまりこういったスキルについて深く調べたりしなかったから発見されていなかったんですけどね・・・。
ニルスさんは、精製した宝石にちょっとしたエンチャントを付与できるユニークなスキルを持ってるんですよ」
「ユニークなスキル?」
「―――捕獲と収納の魔法です」
そう言いながらバケモンの「でいぶいでい」を手に掲げる少年。
・・・ん、んんん?
「つまりニルスさんの精製した宝石は、
このアニメでいうバケモンボールみたいな役割を果たせる超希少アイテムだったんですよ。し・か・も、ニルスさんのエンチャントは強力なので、
倒して捕獲したモンスターを、
元のモンスターがどんなに強力なものでも永久的にしもべにできるんですよ」
ファー、俺にそんな能力が。
お、俺のような学のない男の理解力を越えている。
「というわけで、最初はガヴィノさんが代理で手持ちモンスターになるのでちょっと伝説のバケモン・・・じゃなかった、
宝石に仕舞うからジュエモンかな?
なんか闘戯王カードゲームにそんなカードカテゴリーあった気もするけど。
世界に1体しかいない系の伝説バケモン・・・もといモンスターで手持ちを埋めちゃいましょう。
あ、ニルスさんが口に含んで持ってきてそこにおいてた宝石のかけらも、
それもいけますからね。
石はちょうど6個。手持ち6匹埋めちゃえますね、伝説厨、僕の好きな言葉です!!!!!」
そう言いつつウキウキで出かける準備を始めるタケキチ少年。
自称女神さまは面白そうにニマニマしている。
「と、言う事だ。折角だから強いモンスターを捕獲しよう、俺が手を貸す。
みねうち+ねむりコンボですぐ捕獲できるさ」
「うーん・・・」
そこで俺の理解力のキャパシティを越えて、俺はバタン、と倒れるのであった。
***********************************
それからしばらくしたある日。
「むっふ~ん、今日も今日とて下々民から巻き上げた税金で食べるゴージャスな食事は美味いえ~!領主はなんでもできるんだえ~!」
「この服も!宝石も!アクセサリーも!最高です領主様!」
「ノーラにあってるえ~、お前は最高の女だえ~」
そんな風に、領主とノーラが金銀宝石を部屋にバラまきながらきゃっきゃと騒いでるのを、タケキチ君から借りた双眼鏡で見ていた。
「クズどもが。・・・地獄を見せてやるよ」
モンスターの背に跨り、2人の光景を見ながら俺は領主の敷地の玄関の前に着陸した。
俺がまた待っていたのは炎を纏う七色の羽根の巨鳥。
「フェニオウ。かえんのうず!
この屋敷の周りを囲え。誰も逃がさないようにな」
クエエ、と了解の意味の一鳴きをし、
城塞ほどの高さの炎の壁がぐるりと館を取り囲んだ。
「よし、これで誰も逃げられない」
フェニオウにはそのまま上空に待機してもらいながら、
誰も逃がさないように監視をしてもらう。
そんな俺を、屋敷の衛兵たちが武器を手に取り囲んでいる。
「お前ら何者だ!!」
「・・・ここの領主に冤罪着せられて何もかもを奪い取られた被害者だよ」
そういって、にやり、と笑う。
「あ、こいつけつあな確定されたニルスだ!!」
ほおっと、俺の事を覚えてる奴もいたのか。
「そう、今年の流行語大賞一位。
けつあな確定のニルスさんだよ。
一度だけ言う。邪魔するなら容赦はしない。
でも、手出しをしないのなら見逃してやる。
全裸になってガタガタ震えて土下座して待つなら、
俺はお前たちに手は出さない。約束する」
俺がそう言うと、衛兵たちは怒り、完全に臨戦態勢に入った。
「うるせえ、たかだか宝石職人がこの数の衛兵に勝てると思ってるのか」
「だまれよ。たかだか衛兵風情がこの俺のバケモンに勝てると思ってるのかよ」
そういいながら、右手をかざす。
まともに動かなくなった効き手の右手には、ガントレットをはめてそこに6つの宝石をはめ込んである。
「構わん、ものども、であえ、であえ!!」
「それは斬られる悪役のセリフだぜ・・・いけっ!メウニゴー」
そう叫ぶと宝石の中の1つが輝き、
白と薄紫をした、2足歩行のモンスターが出てくる。
猫のようにも見える頭部と、すらりとした手足。
身長程の長さのある尻尾が目立つ俺の相棒だ。
こいつはどこぞの悪徳領主があるモンスターの複製として作ったが暴走して世界を彷徨っていたのを戦闘と交渉の果てにゲットしてきた。
『わかった。ではこいつらを始末すればよいのだな』
流暢な言葉で応えるメウニゴー。
『殺すか?』
「9割殺し位で」
『いいだろう』
そういってメウニゴーが3本指の手をかざし、
ぐるぐると回すと、周囲の衛兵たちの身体がベキゴキと音を立てて圧縮されて行き、
顔はそのままに全身がボールのような肉球に圧縮された。
「ヒ、ヒイイイイ!」「い、いだああああああい!!」「助けてくれええ!!」
恐怖の絶叫を上げる衛兵。
『身体機能はそのままに球体にしておいた。
この間お前と見たメイドインジゴクというアニメにあったようなものだ』
「なるほど。きたねえカートリッジだな」
メウニゴーとそんな軽口を叩きながら、転がる衛兵玉の間を歩いていく。
衛兵たちが苦悶の声や助けを求めるが、無視する。
一応、警告はしたし命はとっていないしね。
メウニゴーは高い知能を持ち、
俺とは主従と言うよりも友人として接してくれる相棒だ。
電気ネズミのポジションがメウニゴーなのだ!
バァン、と音を立てて領主の館の扉を開く。
扉の中から外の様子をうかがっていたのだろう、
使用人やメイドたちが蜘蛛の子を散らすように逃げていくのが解る。無駄なのにね。
『私が超能力で領主とお前の元恋人を探そうか?』
「いや・・・無力化しちゃうよ手っ取り早く。誰にしようかな」
そういいながら手の甲の宝石を見る。
「よし、お前に決めた!グランドラン!!」
黒いスリットの入った赤い甲殻の、巨大な2足竜が宝石から飛び出す。
これも大地を生んだといわれる伝説のモンスターで、旅の中で捕獲した。
血の気が多いのがチャームポイントだ。
こいつとライバル関係になってるウミテイオーも捕獲したけど、
人だけを制圧するのには向いてないんだよな。
『グアアアアアアア!』
「グランドラン、かんかんでり!」
俺の指示に頷き、方向と共に頭上に熱を発する灼熱の玉を生み出すグランドラン。
本来は屋外で、天気を晴れにする技だが屋内でこういう応用もできる。
この館の中は45℃を越え、熱砂と変わらないような暑さだ。
「領主に仕えるすべての人間よきけ。
この広間にきて命乞いをするなら、手出しはしないでおいてやる。
しかしこのまま隠れたままで居たり俺への命乞いを拒むのであれば、
このまま熱中症で倒れてもらう。後遺症が残っても俺は知らないからな!」
俺の言葉が、領主の館に響く。
「10数える間にここにきて全裸土下座して命乞いをしろ。
猶予はそれだけだ。10,9,8,7,6…」
数えている途中で、何人かの使用人や侍女が、耐えきれずに広間に転がり出てきた。
「た、助けてください!」「どうか、命だけは・・・!」
そう、口々に命乞いをする使用人たち。
「約束は守る。ほら、この広間は暑くないだろ?」
俺が声をかけると、広間に来た人間たちは、
広間が快適な温度に保たれているのに気づいた。
『わたしの超能力でこの場所だけはかんかんでりを無効にしている』
メウニゴーが解説をしてくれているが、理解できているかはわからない。
「それじゃあお前たちは、全裸で土下座して誠心誠意、俺に詫びて命乞いを続けなよ。
事が済んだら解放してあげるから」
実際、領主の館で働いてる使用人には直接の恨みがあるわけではないので、
投降して来たら無力化するために全裸土下座だけさせておけばいいかなというのが俺の判断だった。
領主を処したら解放すればいい。
ただ、警告に対して投降してこないなら容赦をする必要もないかな、とも思う。
「それじゃあ熱中症でぶっ倒れる程度に・・・頼んだぜグランドラン!」
ドジュウ、という壁や床や天井がやけつく熱波が館の中を吹き抜けた。
「ね、簡単でしょ?」
『うむ。では安全になった館の中をゆこうか。領主の部屋は2階だったな』
領主とノーラはさっき見た私室にいるでしょ、逃げ出す時間なかったし。
衣服を脱ぎ捨て全裸土下座している使用人たちに声をかける。
「これから領主を処してくるけど、
その間全裸土下座しててね。
動いたら反抗とみなして外の衛兵と同じように肉団子になってもらうけど、
おとなしく全裸土下座してたら安全は保障するから。
それじゃ、全裸土下座頑張ってね」
必死に許しを請う言葉と全裸土下座を続ける使用人たちを背に、俺は悠々と階段を昇って行った。
「あ、あついえ~、一体なんなのだえ~?使用人!なんで誰も来ないえ~」
「暑いですわ領主様・・・こらメイド、飲み物を早く!」
ドアの中からはそんな声が聞こえる。
「落とし前の時間だぜ、と。オラァ!」
ドアを蹴り破り、部屋の中に入る。
薄着になった醜い領主とノーラがいた。
「よぉノーラ、元気そうだな」
「ニ・・・ニルス?!」
ノーラが俺の姿を見て驚きの声を上げる。
「な、なんだお前?・・・下々民がこの部屋に入るなど万死に値するえ!」
「オイオイ、自分でハメた相手の顔も忘れたってのか?俺だよ、そこの女の恋人だったニルスだよ。復讐にきたぞ」
そう言って手の甲の宝石に声をかける。
領主がなんかゴチャゴチャ叫んでいるが、無視だ無視。
「出番だぜ、ディアルモンダス」
声をかけるのは、俺が口に含んで持ち去った、ノーラとの結婚指輪に使った石の欠片。
その石が光り輝き、金剛石をまとった4足の竜が現れた。
グランドランは広間だったから普通に呼び出せたが、
狭い私室には入りきらず、壁や天井を破壊する。
「ひ・ひいいいい!な、なんなんだえそのモンスターは!」
「こいつはディアルモンダス。
時間を司る神のモンスターだ。
これからお前とそこの女を停止した時間の中でたっぷり拷問する。
生きているのが嫌になるくらいにな・・・」
「ご…拷問?!ふ、ふざけたことを言うんじゃないえ!
わちしは領主なんだえ~」
「それがどうした。俺をハメて俺のなにもかも奪ったんだ、
やったからにはやられる覚悟もできてるんだろうな。
・・・頼むぜメウニゴー」
『ああ』
相変わらず喚き散らす領主が耳障りだったのでメウニゴーの超能力で領主の口を閉じさせる。念動力で手足を折ってもらったので、
これで領主はたっぷり拷問されるだけの肉ダルマになった。
そんな領主の有様を見ていたノーラが、
ヒィィ、と恐怖のあまり失禁をして後ずさる。
「どうしたんだノーラ、そんなに怯えて。
お前たちがやったことをこれから倍返しされるだけじゃないか」
「や、やめてニルス・・・助けて・・・」
「そう言った俺を裏切ってハメたのは君だろう?
じゃあ俺が助ける理由はないよな」
そんな俺の言葉に、違う、違うのと震えている。
「ちがわないさ。
俺は君たちがここで話していた会話もすべて知っている。
俺の気が済むまで拷問した後で、
君たちを法廷に突き出す。
あのクソババア裁判長にも、杜撰な裁判をした落とし前はつけさせるが・・・まずは、お前たちからだ。これからあらゆる責め苦を与え、
死ぬ前に治療の力を持つモンスターのハッピーがすべての傷を完治させる。
止まった時間の中で続く無限の拷問に、どこまで耐えれるかな?」
「う、嘘よ!あなたは勘違いしているんだわ!貴女を愛しているの!」
「何が勘違いだよどう勘違いする余地があるんだよ」
「じゃあなんで領主と一緒になってるんだよ俺の全財産奪って」
「そ、そうしろと脅されていたのよ!」
「その割にはノリノリで俺の事馬鹿にして多じゃないか。記録もあるぞ?」
「デ、デタラメよ!!」
「ほい、これガヴィノさんが録画してきたお前の証言な」
そう言って空中に、領主とノーラがほくそ笑んでいる映像を垂れ流す。
「こ、こんなのつくりものよ!!」
「あーもういいよ。そう思いたいなら勝手に言ってろ。
俺はお前たちを産まれてきたことを後悔するほどに甚振り尽し嬲り尽し尊厳を破壊して――――それから法廷に突き出すからよ」
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「・・・で、その後どうなったんすかニルスさん」
処理を終えてタケキチ少年やガヴィノ、自称女神が待っている、
街を見下ろせる丘に戻るとニコニコしながらタケキチ少年が聞いてきた。
「体感時間で3000年分ぐらい拷問と完治を繰り返してやった。
領主は最後の方は完全に精神崩壊してたな」
「3000年とかエッグwwwwやりますねニルスさん」
手をパンパン叩きながら爆笑するタケキチ少年に、
俺もついやりすぎたな、と笑い返す。
「で、あのクソ裁判長はどうしたんだ?」
「あぁ。
領主の館から領主とつながってる証拠がいくつも出てきてな。
領主に都合がいいように法を捻じ曲げて何人もの無実の人間を死に追いやっていた外道だった。そっちもきっちり、拷問してから法廷にたたき出してやったさ」
そういって親指を伸ばした握りこぶし―――さむずあっぷ、というらしい。
をすると、ガヴィノも満足そうにうなずいてくれた。
ガヴィノが魔道具で録画してくれた映像や、
領主の館に会った資料と共に領主、ノーラ、裁判長を突き出してやった。
まぁ当然ひと悶着会ったけどメウニゴーや俺のバケモン達がいたのでそこは、
力で押し切った。
やはり暴力だ。暴力は全てを解決する!!
ということで王都から呼び寄せた執政官と裁判官に状況を陳情し、
裁判にこぎつけた。
証拠は十分すぎるほどにあったから結果は有罪。
奴ら3人とそれに加担していた領主一味は死刑になった。
その中には俺が見逃した使用人たちも含まれていたようだが、
俺が見逃しても法が許さなかったのだからしかたがない。
俺は手を出してないしな。
「で、アレがその執行か」
ガヴィノが双眼鏡を手に街の様子をのぞいている。
「ああ。領主一味と裁判長の処刑行列さ」
そこでは、領主やノーラ、裁判長のババアが全裸で街を練り歩かされている。
「ぱ、ぱぁ~ぷえ~。わち、わちしは領主だえ~」
「こんな・・・どうしてこんな事に・・・私がいったいなにをしたっていうのよぉ!!助けてよニルスー!!幼馴染でしょ、恋人でしょー!!?」
「悪くない、悪くない、キーッ!!ギャオオオオオオン!どうして裁判長のこの私が!あのニルスとかいう性犯罪者がー!!」
全く懲りない、悪びれない。
そんな3人の姿を観ていると、自称女神さまが話しかけてきた。
「しかし、それにしては戻ってくるのが遅かったではないか?」
「―――ええ、お世話になった人、
特に俺の冤罪を晴らすために奔走したり、
俺を信じて俺の潔白を訴え出て・・・却下はされましたが・・・、
俺を助けようとしてくれた人たちを別の街へ逃がしてきました」
「・・・へぇ」
そんな俺の答えに、タケキチ少年が反応している。
「・・・成程のう。
お主が捕らえたモンスターの中にはこの地を統べる伝説のモンスターもおった。
統率と均衡が崩れたモンスターは・・・ふふふ」
女神さまは理解したようだ。
街の人間たちはまだ知る由もない。
狂える群れと化した魔物の集団が一直線に暴走しており、
その通路にこの商業都市があることを。
「別に狙ってやったわけじゃない。これは偶然。」
「ほほほ、因果と言うものは面白いものじゃな」
そもそもが、罪人を見せしめにして死刑にしたり、
罪人であれば何をしてもいいという衛兵や住人、
そういった人間が数多いるのがあの商業都市ボーテュラク。
罪人のみせしめを娯楽として楽しむ人間たちばかりだ。
改めて俯瞰してみて感じたのだが、あの都市は腐っている。
もしかしたらこれもあの都市の因果応報なのかもしれない。
魔物の群れを前にあらがうのか、滅ぶかは、あとはあの都市の住人次第。
俺のあずかり知るところではない。
「改めてありがとうタケキチ少年、ガヴィノ、女神さま。
アンタ達のおかげで俺は命を救われ、復讐を成し遂げ、力を手に入れた。
此処から先はアンタ達に・・・いや、タケキチ少年、君に従おう」
「フッ、俺もお前と同じような境遇でな。よろしく頼むぞ、ニルス」
「ほほほ、また面白い旅の道連れが増えるのう」
「―――オッケ、よろしく頼むぜニルスさん!」
そう言って、タケキチ少年と握手をする。
「それで、これから何をするんだ?
魔王と戦う?世界を支配する?なんだって付き合うとも」
そんな俺の言葉に、にっこりと笑うタケキチ少年。
「当然――――――幼馴染をざまぁするっきゃないっしょ!!!」
かくして、タケキチと仲間たちの旅は続く。
続くったら、続く。
酒がぶがぶ飲むとタケキチ少年が現れて幼馴染ざまぁしていく文章が産まれます
身体は酒で出来ている――――
それはそれとして若本ちゃんの連載を書かなければ・・・頑張ります・・・。