前書き【先生のアノニマ(上)〜本編前のご挨拶3/3】
まと一石と申します。世にお披露目する作品は、これが初めてでして、所謂処女作となります。
何となく描き始めて、いきなり本が出せるような作家でもなければ編集の方なども当然いないので、個人的に何度か推敲して、満を持して投稿したはいいが、これが我ながら中々のマズさの文章の羅列と言いますか。相当レアな読者の方ならお気づきの事と存じますが、次作となります「先生のアノニマ 2」を執筆、投稿しながらの、今作校正作業、再投稿という無様を晒してしまう事となりました(今、初めて今作を見かけられた方におかれましては、全く影響のないお話ですので、頭に入れられる必要はございません)。ふるーい読者の方におかれましては、大変なご迷惑をおかけ致しました事を、この場をお借りしましてお詫び申し上げる次第でございます。尚、ストーリーは全く変わっておりませんので、ふるーい読者の方におかれましては、そこはご安心いただければと思いますが、この度今作をお手に取られた新しい読者の方々共々、もう一度お読みいただければ幸いでございます。とにかく、読みやすくしたつもりですので、幅広い年代の方のお目に止まればこれ程嬉しい事はございません。ただ、法律用語なんかがチラホラ出てきますので、小さなお子さんは、お父さんお母さんに聞きながら読んでくださいね。
こんな問題処女作ですが、初期投稿作をお読みいただきました読者の方はご存じの事と思いますが、最初に投稿した作品は、文字数にして九〇万字を超える大作で、それをたったの十数話でまとめた物を投稿したという、何とも恐れ知らずの大雑把にして大胆な作品でした。似たような文字数の大作と言えば、大河ドラマにもなりました源氏物語で、一〇〇万字弱ですか。製本化された彼の大作でさえ、五四巻に分けて出されているというのに、まさに知らぬが仏と言いますか。若さ故の何とかという事で、ご容赦いただければ幸いです。よって、再投稿後の今作は、話を分割出来るところで分割し、上中下の三巻でまとめる事にしました。で、今作は、その上巻という訳でございます。
最近のライトノベルは、所謂転生モノが全盛のようですが、今作は現代モノのフィクションです。転生モノ、確かに面白いですよね。鬱屈した現実に押し潰されそうな中で生きている現代人にとって、異世界の刺激は癒しでもあります。私も転生出来るものならしたいと思う訳で、転生モノを書いてみたいと思う事もあります。が、そこを堪えて、あえて現代モノを書く理由は、そうは言っても現実を楽しまないと勿体ないと思うからです。自由に生きる事が出来る現代で、しかも幸運にも日本という、それなりに平和な国に生を受けた人生。楽しまないと勿体ないと思うのは、私だけではないと思います。世界の国々に比べれば、日本程平和で安定している国もないんです。が、その中でも当然、様々な問題はある訳で、社会の恩恵を得られず喘ぐ人々は存在し、逆に時代に乗って栄華を築き上げる人もいる。理不尽で不公平が当然の世の中の事。競争社会と言ってしまえばそれまでですが、それで切り捨てられた男と、その対局の女が織りなす今作は、そんな世の上下を垣間見る事が出来る? 作品、にしたつもりです。彼らが如何に現実と向き合い生きているのか、または生きて行くのか。転生モノにありがちな刺激や癒しはないかも知れませんが、現実モノはドラマチックな展開で勝負です(別にケンカするつもりはありませんが)。今の個々それぞれの人生は、一人ひとりが主人公とはよく聞くフレーズですが、でもそれを意識して生きている人って余りいないような気がしないでもない。協調性や同調圧力に洗脳されて、気がついたら自分がいないような、そんな人生。送っていたら要注意ですよ、そこのあなた! てな具合で、自分が主人公の人生ですから、人様に迷惑をかけない程度に楽しんで今を生きて欲しい、とは願いのようなものです。楽しむとは、つまり野心的って事ですね。よく言えば挑戦でしょうか。チャレンジ精神ですよ。自由な時代なんですから。「人様に迷惑をかけない」ってところがポイントでもあるんですが、その辺りはまた作品の中だったり、何処かの後書きで書く? かも知れません。
実は私、前書きとか後書きを執筆するのが好きで、他にも色々と書きたいんですが、今作はまだ上巻で、しかもそれの前書きなので、いきなりネタバレのような暴露大会をやる訳にもいきません。ここは一つ、我慢する事に致しまして、とりあえず皆々様方におかれましては、引き続き本編をお読みいただき、お楽しみいただければ幸いでございます。大人しい男と大胆な女の目線で描かれる、現代のとある日常。そこから展開し始める何か? にワクワク? していただける内容になっている事請け合い? です。
そんなこんなを、作者としましては、一応ライトノベルの感覚で書いたつもりなんですが、何となく圧迫感と言いますか、はっきりしない謎めいた展開は、私の性格故かも知れません。かと言って、純文学では決してないし。ジャンル、何になるんだろう? 枠に当てはまらないところは、個人的には如何にも私らしいと、勝手に納得しております。それにしても、コメディーを書ける作家さんは尊敬に値しますね。自分で言うのも何ですが、真面目な性格のせいか、難しいですコメディー。書きたいんですけど。痛快に笑い飛ばせる作品を書ければ、現代モノでも受けると思う訳で、世の中面白いと思ってもらえるんじゃないかと思う訳ですよ。みんなが面白いと思える世の中って、つまり平和って事で、要するに私、平和主義者です。でも、平和を知るには戦いや争いを知らないといけない。物事の真理とは、得手して表裏一体だからです。そんなところも匂わせる作品になっている? 今作です。平和じゃないと、安心して物語読めませんしね。
いい加減にしとかないと終われなくなるので、前書きはこの辺で。現代モノの今作ですが、ドラマチックに仕上がっていると思いますので、お読みいただいた方の、明日への活力の足しになればいいなぁと思いつつ。
それではまた、後書きでお会いしましょう。
まと一石
二〇二五(令和七)年七月