お屋敷で、夜のひととき。それぞれ。比和子家出から帰宅後。 須・豹・澄・松・比・玉
「お疲れ様ー、豹馬」
「須藤、お疲れ」
「今晩は……家に帰られる日だったね。ごゆっくりー」
「おう。多門は?」
「もう部屋に下がったよ。見逃せない配信があるんだって」
「また廃墟に侵入のやつ観てんのかよ。好きだなーアイツも」
「こういう仕事してるのにね」苦笑
「いつかアイツが自分で始めそうで怖いわ」
「さすがにそれは……」苦笑
「玉様と上守は……風呂か。歌が聴こえる。いっつも一緒で飽きないのか」
「仲が良くていいじゃないの。豹馬は入らないの?」
「入るか! 亜由美の実家だぞ!」
「でも夫婦なんだし」
「そんなことしてみろ。両親揃って茶の間で踊るぞ」
「踊る?」
「たまぁに何かでテンション上がると、踊り出すんだよ、あの家族は」
「それって何かに憑かれてるんじゃないの? 大丈夫?」
「憑かれてはいない。それは確認した」
「確認したんだ……」
「とりあえず同居は問題ないけど、二人の時間がなー」
「新婚だもんね」
「まぁ、別に旅行とか行けばいいんだけど。じゃあな、須藤」
「うん。お疲れー」
続く。
「比和子ちゃんが無事に帰って来て、本当に良かった」写真立てに乾杯。
「澄彦殿。そろそろ」
「もう来ちゃったの、松さん」
「明日もお忙しいですよ」
「そうだね。そろそろ切り上げようか」
「そうされた方が宜しいかと……。あら、これは上守の?」
「……光一朗」苦笑
「……あ、松は用事を思い出しました。もう少々、片付けはお待ちくださいね」そそくさ。
「気を遣わせてしまったぞ。光一朗」
「玉彦ー。私、先に上がるからねー」
「うむ」湯船にぷかり。
脱衣所。比和子の気配がなくなる。
「二度と出て行けとは言うまいぞ……」
お風呂上がり。「何を読んでいる」
「え? 玉彦の顛末記だよ?」
「大活躍で惚れ直したか?」
「これで惚れ直してたら、澄彦さんの顛末記を読んだら澄彦さんに惚れるってことになるけど?」
「……」
「何を驚いてるのよ……」
「……」
「てゆうか……惚れ直すも何も惚れっぱなしの現在進行形なんだから、直す暇なんてないわよ。……ちょっと、まだ読んでるんだから、邪魔しないでよ」
「……比和子。もう一度言ってくれ」
「邪魔しないでよ」
「……そこではない」
「はぁ?」
「そこではない!」
「惚れっぱなしの現在進行形?」
「もう一度」
「え、面倒くさい」
「……比和子さん。お願いします」ぺこり
「惚れっぱなしの現在進行形!」
「……ふふふ」布団ゴロゴロ
「……玉彦」(チョロいわ)ちゅっ
「……!?」
「大人しく寝なさい」
「……うむ」電気ぱちり
「暗くて読めないんだけど!」
「明日読めば良い。今宵はもう……寝ませんか?」
「……本当に寝るわけね?」
「……戯れませんか?」
「……一回だけだからね?」
「承知した」(チョロい。始まってしまえばこちらのものだ)
「約束破ったら、頭突きするから」
「……はい」
続く?
了。でございます。
今作はこれにて完結となります。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました(●´ω`●)
ブックマークや評価、いいねなど本当に嬉しく思っています。
次回作は明日のいつもの時間、10時公開となります。
これからもお付き合いいただけると幸いです(*´ω`)