高校三年生。第三十回美山高校人気ランキング 男子編 比・亜・那
「わー」パチパチパチパチ。
「なにこれ。こんなことやってんの? 那奈たちは」
「非公式で」
「どんだけ投票集まってんのよ」
「二百ちょいくらいかな。女子だけだから」
「私のとこに投票用紙来てないけど」
「だって比和子は聞かなくてもどうせ玉様じゃん。紙の無駄」
「あっそう」
「結構面白いんよー」
「そうそう。彼女持ちの男子は凄いランク落ちるんだよね。でも結局トップスリーは不動だったんだけど。しかしなんと今回、不動のトップスリーの牙城が崩されました!」
「うっそー。それってスゴイことじゃないん!?」
「へぇー」
「まず第五位。じゃじゃじゃじゃじゃん。二年A組。進学特化。五十嵐翼くん」
「誰よ」
「二年の野球部の男子。須藤の後継者と言われるほどの、和風イケメン人たらし」
「あぁ、あの子なん」
「亜由美ちゃん、知ってるの?」
「うん。前にちょっと委員会で一緒になって、優しかったんよー」
「では第四位。じゃじゃじゃじゃん。三年A組。進学特化。御門森豹馬」
「あぁーやっぱり豹馬くん、落ちちゃったん」
「彼女出来たからね。それでも四位だもん。上々じゃん。鼻が高いでしょ」
「それだけ破局を望んで狙ってる人数も多いってことなんよね」
「頑張れ、亜由美ちゃん」
「ででで、第三位。じゃじゃじゃじゃじゃん。二年A組。進学特化。福田雅紀くん。去年卒業した福田先輩の弟」
「マジで!? 兄は農業科なのに弟は進学特化だったの!? 兄は母のお腹に脳みそ忘れてきたんじゃない!?」
「比和子ちゃん、言い方……」
「生徒会長だからね。人気が無いと出来ないよー。文武両道を絵に描いたような男子。でも少し天然ボーイ」
「天然なんだ」(笑)
「天然エピソードはいっぱいあるけど、一番笑ったのは……ほとんど全部」
「そこは割愛しないで教えてよ」
「じゃあ次ー。同率一位。三年A組。進学特化。正武家玉彦。須藤涼。順当過ぎておもしろくないわー」
「あ、私まだ投票してないから、こっちに一票」書き書き。
「えっ!?」
「えー。比和子ちゃん、須藤くんに一票!?」
「だって玉彦は見た目だけでしょ。他の子と円滑にコミュニケーション図らない人間なんだから。だったら須藤くん一択よ?」
「比和子ちゃん、シビア……」
「玉様に比和子が誰に投票したのか絶対に言えないわ……」
続く。