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澄彦と南天 澄・南・比・松・梅・玉



「南天よ。村に必要なものは何だと思う?」


「またそのお話ですか。娯楽施設は必要ないですよ。特にスーパー銭湯など必要ないですよ」


「それはお前の意見だろう。他の村民は欲しいかもしれないじゃないか」


「そう言って以前、リサーチされたのじゃないのですか」


「それが有耶無耶になちゃってさぁ。もう一回リサーチしに行こうと思うんだ」


「他の者は巻き込まないで、お一人でお願いしますね」


「一人で、行っても良いのか?」


「良いですよ。ただし、誰が何を言ったのか必ず書き記してくださいね。裏を取りますから」


「さては僕を信用していないな?」


「そうですね。証言を捏造しそうだな、くらいには思っております」


「……」


「それと松様と梅様に予算をお伺いしてからリサーチなさってください。話を聞くだけ聞いて、予算が下りずに出来なかった、なんてことになったら正武家の恥ですよ」


「えっ。松と梅に!?」


「そうです」


「僕の資産なのに?」


「そうです。道彦様の御遺言をお忘れですか?」


「父上の、遺言」


「澄彦様の道楽には決して従ってはならない、と」


「でも村民の為なんだから道楽じゃあないだろう」


「それをご判断されるのは、勘定方のお二人ですので」


「松と梅かぁ。ちょっと聞いて来る」



 



「なりません」


「なりません」


「何を馬鹿なことを仰っているのでしょう。思い付きで行動なさるのも大概にされませ」


「何歳になっても無鉄砲すぎます。きちんと計画を立て、稟議書をお持ちくださいませ」


「以上で御座います」


「以上で御座います」








「ダメだった……」


「そうでしょうね。おや?」


「あっ、南天さん」


「比和子さん。どうされました」


「……何だか澄彦さん、燃え尽きてますけど大丈夫ですか?」


「大丈夫ですよ。それで、何か」


「これから玉彦と買い物に行くんですけど、何か必要な物があれば一緒に買ってこようかと御用聞きにきました」


「ありがとうございます。……でも、こちらは特に必要な物はないですね」がさごそ


「スーパー銭湯!」


「え、澄彦さん?」


「スーパー銭湯が欲しいんだよ、比和子ちゃん」


「行きたい、じゃなくて欲しいんですか?」


「うん」


「南天さん。私は一体どうしたら……」


「ものは試しで比和子さん。離れのお二人に聞いて来ていただけますか?」


「私ですか?」


「玉彦様が所望していると」


「わかりました……?」








「かしこまりました」


「どこに御建てになられますか」


「業者などはお決まりでしょうか。こちらでお手配いたしましょうか」


「計画書を何点かお持ちいたしますので、その中から玉彦様がお選びになられますか」


「正武家の事業です。立派なものになるといいですね」


「玉彦様もご立派になられて。五村の為にとは梅は感服いたしました」







「だ、そうですけど……」


「この違いはなんなんだ!? 南天!」


「信頼度と遺言ですね」





 後日。


「おい、比和子」


「ん?」


「松がこのようなものを持ってきたのだが。やはり老体の回復には風呂が必要だと暗に言っているのだろうか」


「あ、それは……」


「松と竹と梅の三人に休暇を出し、スーパー銭湯とやらへ泊りに行かせようと思うのだが」


「良いんじゃないかな。きっと疲れもリフレッシュできるよ」(色んな意味で澄彦さんに掛けられた疲れが)


「そうか。では離れへ行ってくるとしよう」


「いってらっしゃい」(こうやって玉彦の株が上がって行くんだなー)



  了。



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