多門と希来里 多・希・南・比・玉
「玉子、貰いに来ましたー」
「あっ多門!」
「呼び捨てすんな、希来里」
「玉子まだ拭いてるからちょっと待ってねー、多門」
「オレの話を聞け」
「じゃあ一緒に玉子拭いてよ、多門くん」
「『くん』も止めろ。ふきん貸せ」
「ほいほい。多門、さん?」
「多門様、だな」
「えええ。多門くんは偉いの?」
「稀人だからな」
「でも豹馬くんも須藤くんも『くん』で良いみたいだよ?」
「それはアイツらの勝手。オレは嫌なの」
「へぇー。じゃあ、お祖父ちゃんは呼び捨てだけど良いの?」
「三郎爺さんは年上だし別にいいだろ」
「じゃあ多門くんは」
「様」
「じゃあ多門様は、玉彦様が三郎爺様って呼ぶのに三郎爺さんって呼んでも良いの?」
「次代は比和子ちゃんと夫婦で、比和子ちゃんの祖父だから敬称で呼んでるんだろ」
「ふーん」
「南天さんだって、三郎さんって呼んでるだろ?」
「あーそうだね! そっかー。そういうのって難しいよね。希来里なんて前に玉ちゃんって呼んでたのにお母さんに玉彦様でしょって言われて直したんだよねー」
「玉ちゃん?」
「玉ちゃん。比和子様はお姉ちゃん」
「希来里は二人の従姉妹になるわけだから、『ちゃん』でもいいんじゃね?」(そっちの方が面白そう)
「やっぱり!? そう思う?」
「思う思う。玉ちゃん、良いじゃねぇか。親近感があって」
「じゃあ今度、玉彦様に会ったら玉ちゃんって呼んでみるー!」
続く。




