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土曜日。午前中。当主の間。
「少し休憩を挟んでくれ。南天」
「かしこまりました」
「して、次代よ」
「なんでしょう」
「明日は何の日か知っているか?」
「明日? 日曜日」
「違うだろ。明日は世間ではクリスマスイブだ。月曜日からは冬休みだな?」
「そうですが」
「比和子ちゃんへのクリスマスプレゼントは用意したのか?」
「クリスマスプレゼント……!」愕然。
「昨年は急遽ケーキだけになってしまったが、今年はしっかりとクリスマスを比和子ちゃんに満喫させてあげようと自分は思うのだが、次代はどう思う」
「それは異論ありませぬ」
「故に本日は午後の役目が終わり次第、イルミネーションとやらを屋敷に施し、次代の母屋の庭の木を飾り、明日はパーティーをしようと思うのだが」
「異論ありませぬ」
「食事は既に南天と宗祐に手配済みだ。あとは比和子ちゃんにバレぬようにせねばならん」
「しかし比和子は母屋に居ります」
「そこでだ。比和子ちゃんをどうにか誘い出し、上守三郎の家で一泊するように差し向けるのだ。事と次第によってはお前も泊まって足止めして来い。そして明日の夕方、帰ってくるのだ」
「承知……!」
「何としてもこのサプライズは成功させるぞ……!」
「御意……!」
続く。