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空気を読めなかったことを申し訳なく思いつつ、私は椅子を少しだけ鈴木くんに向ける。
「いつから気付いてたの?」
「ここに初めて来た時になんか変なとこだなって思った。んでもって三年の時に、あ、大学のね。玉様と須田の彼女の小町ちゃんとちょっと変なことに巻き込まれて、その時に」
あっ、と思い当たる節があった私は口を手で覆う。
小町は私の小学校時代からの親友で、ものすんごい別嬪さんなんだけど超毒舌で芸能界に足を突っ込んだけれど心霊スポット探訪の番組を切っ掛けに引退をし、これまた私の幼馴染で初恋相手の実家がお隣の須田守くんとお付き合いをしていた。
一時期は別れていたのだけど心霊スポット探訪の一件からよりを戻して、教師となり五村藍染村にある美山高校に転勤してきた守くんと一緒に田舎暮らしをエンジョイしている。
そんな小町は短大を卒業してすぐの頃、私の知らないところで不可思議なものに遭遇して玉彦から御札を三枚受け取っていた。
玉彦直筆の御札はとてもありがたい御札で、持っていれば一定の悪いモノを撥ね付ける効果がある。
主に身を守る為に携える御札を小町が玉彦から渡されたのは、それなりの理由があったからだ。
私は去年までそんなことが二人の間にあっただなんて全然知らなくて、昨年小町がお屋敷に滞在した時に初めて耳にしたのだった。
その話には確かに鈴木くんが登場していた。
でも玉彦も小町も、鈴木くんは夢だと思っているはずだと言っていた。
以前鈴白村を訪れて恐怖体験をした鈴木くんだけど玉彦と豹馬くんに夢だったと無理矢理言い包められ、通山市での一件も夢だと思い込まされたのだろうけど、早々何度も騙されてはくれなかったわけか。
鈴木くんは私がその一件を知っているという仕草を見てがっくりと項垂れて、アレは本当にヤバかったんだよ……と力なく呟く。
すると多門は面白そうに身を乗り出して、伸ばした腕で鈴木くんの顔を上げさせた。
「なになに。何があったのさ」
「多門。不謹慎よ」
「いいじゃん。教えてよ。オレ、そういう話、大好き」
日常茶飯事でそういうことに関わっているくせして何を言い出すのかと思ったら。
呆れる私を尻目に鈴木くんは多門の指先に顎を支えられたまま、ぽつぽつと語り出した。




