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短編とかその他

私はなぜ、笑えないほど死亡フラグが乱立している乙女ゲーム世界に転生してしまったのだろう

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2022/01/08



『私』





!乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった!





 その事実を小一時間かけて把握した私は、前世でプレイしたゲーム情報を一冊のノートにまとめて唖然とした。


 そしたら愕然とした。


 めっちゃびびった。


 頭抱えた。


 なんなのこの世界。





!死亡フラグ乱立しすぎぃ!





 前世でやっていた時も思ったけど、中身が狂ってる。


 このゲームやたら、死亡フラグが乱立しているから、面倒くさいゲームとして有名だったのよね。


 掲示板で色々ディスられてたわ。


 ストーリーそのものは良かったから、一応私はやってたけど。


 けど、ほんと死亡フラグが多いのよ。


 まさか悪役令嬢だけでも、百個の死亡フラグが存在しているとはね。


 おもいだせなかった部分もあるので、実際の数はそれ以上に上るからなおさら怖い。


 もはや狂気である。


 制作陣は、ゲームを愛しているのではなく、ゲームに呪いでもかけているのではないだろうか。


 私はまとめあげていったノートを一つずつ、記憶するべく読み上げていった。


 命の危機に関する事だから、忘れないようにしっかり記憶しておかないと。


 せっかく拾った命を、また失いたくないし。


 それにしても、前世の私、いったいなんで死んだのかしら。


 うーん、思い出せない。


 まあ、後でいいか。


 後々思い出すでしょ。


 それより、原作の時期になるまでに、これを全部覚えておかなくては!







『とある男子生徒』


 うちのクラスには変な女がいる。


 自分の事を時々悪役令嬢だとかいう、変わった女だ。


 頭の出来がちょっと俺達とは違うんだろう。


 時々、何もない所を見つめたり。


 わけのわからない事をしていたりする。


 学校の周囲に生えている雑草をとうとつに駆除してまわったり、なぜか校舎の裏手にあるスケート場の手伝いをしていたりする。


 人のためになっている事は多いのだが、よく分からない事もしているので、彼女はやっぱりよく分からない。


 なぜかとうとつに、窓際の席に席替えしていたりしているし、先生の話を聞かずに授業中ずっと天井を眺めていた事もある。


 何でそんな事をしているのだろう。


 誰かの為にならない事もしているし。


 はっきりいって意味不明だ。


 一体、彼女は何を考えているんだろうな。






『私』


 とうとう原作ストーリーの時期にはいったわ。


 だから、乙女ゲームのシナリオの舞台である学校に通っているんだけど。


 やっぱりよく死亡フラグに悩まされるのよな。


 今回だって、大変だったわよ。


 危なかったぁ。


 まさか、学校の天井に毒蛇がいるとは思わなかったわ。


 こんな事にならないために、周囲の雑草は刈り取ったはずなのに、どこからやってきたのかしら。


 この世界のヘビって、透明化するから、よく見ないと分からないのよね。


 原作の知識があった私じゃなかったら、誰も気づけなかったに違いないわ。


 はあ、でも驚いたばかりじゃいられない。


 気持ちを切り替えないと。


 授業が終わったらスケート場にいって、亀裂がはいっていないか確かめないといけないわ。


 原作ではその亀裂につまづいたヒロインが、うっかりこけて頭をうって、そのままお亡くなりになってしまうのよ。


 乙女ゲームなんだから、そんなギャグみたいな事故で死者を出さないでよ。


 怪我をしたとしても、恋愛エピソードにつなげるのが普通でしょ。


 いったい本当に制作陣は何を考えていたのかしら。


 そうそう、校庭の様子が見えるように席替えしていたけど、今日はあやしい人間は入ってこなかったわね。


 ゲームをやっていた時はランダムイベントで、たまに天空の使者とかいう不審者がやってくるから大変なの。


 苦しみに満ちたこの世界から人間達を開放するため、うんぬんとかいう行動目的があるみたいだけど、そこらへんはどうでもいいわ。


 放っておくと、お手製の爆弾を校舎に向かって投げつけてくるから、早めに牢屋にぶち込んでおかないといけない。


 まったく、そのせいでちょっと具合が悪くても学校を休めないじゃない。


 はぁー、なんでこんな危なっかしい世界に転生しちゃったのかしら。


 それらの死亡フラグを叩き終わった後もまだ、食中毒事件を防いだり、家庭科室で刃物すっぽぬけ事件を防いだり、理科室での調合間違え事件もなんとかしなくちゃいけないし。


 それら全部をほうっておくと、最終的に悪役令嬢を殺しに来るからタチ悪いのよ。


 どんだけ犠牲者を出したいのよ、制作陣!


 なぜかヒロインや攻略対象達が、危険を回避したり防いだりすると、そのとばっちりが悪役にむかってくるのよね。


 誰かが何かの死亡フラグに対処しても、その影響が他の所に変わっちゃうだけ。


 根本的に、事故や事件の原因をとりのぞかないといけないのが大変で大変で。


 はぁ、今度調理場をチェックしたり、刃物をすりかえておいたり、誤字まみれの調合薬のテキストを新品にかえておかなくちゃ。


 もしも、あの乙女ゲームを作った人たちに会えるなら、ぜったいになんでこんな乙女ゲームつくったのか問いただしてやるんだから。







『前世の私』


 私はとある乙女ゲームをやっている人間の一人だ。


 けれど、その乙女ゲームをは、あまりにも死亡フラグが多すぎた。

 そのために、前々からなんでそんなに死亡フラグが多いのか気になっていた。


 なので、そのゲームのイベントに参加した時に思ったのだ。


 そこには開発スタッフたちも参加するので、直接聞いてみればいいのではと。


 で、不幸な事に質問できる機会が巡ってきたため、聞いてしまったのだ。


「あの、なんでこんなゲーム作ったんですか」


 けれど、私は失念していた。


 どこかの掲示板で、過労死寸前の社員が病んだ心で作ったゲームだという話が書き込まれていたことを。


 私が質問した相手は青白い顔をしたまま、ふふふと笑いながら、遠くへ向けていた視線を戻した。


「――それは、たとえゲームの中でも、人が幸せになるのが嫌だからだぁぁぁぁ!」


 その人物は懐から凶器を取り出して、狂気の表情をひっさげたまま、質問者である私にむかって真っすぐむかってきた。


 すぐに逃げればよかったのに、私は足をくじいてその場に固まってしまっていたのだ。


「俺がこんな灰色の生活を送っているのに、皆きらきらしやがって! 許せねぇ! ヒロインだって野郎共だって、不幸な悪役だって許しゃしねぇよぉぉぉ!」

「きゃー! 誰か警察を! 警察を呼んで! 女の子が襲われてるわ!」


 それで、私は生涯の幕を閉じることになってしまった。







『私』


 なんだか嫌な事を思い出しかけたような気がするわね。


 でも、すぐに忘れてしまったから大した事がないと思うわ。


 はぁ、まだまだ取り除かなくちゃいけない死亡フラグはたくさん。


 学校だけじゃなくて、町でのイベントとか観光地でのイベントとかもあるから、大変だわ。


 ブラック企業に働く社畜ばりの労働だから、過労死してしまいそうよ。




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