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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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義昭の考え

 結局、お市は義昭の居場所を話しませんでした。知らぬ存ぜぬで通したのでした。勝頼は仕方ないかと、


「それではこれで戻りますが、またお会いするかもしれませんね。なんかそんな気がします」


 そう言って吾郎とともに宿へ戻りました。これが勝頼とお市の出会いでした。


 小六の部下達は小谷城の兵に捕まり、小六もお市を襲った狼藉者という事から、城内の牢屋に入れられました。小六は目が覚めた後、何が起きたのか分からず牢の中で暴れましたが部下達も何があったのかは分からず、部下を殴ったりして暴れたためにまた縛られて踏んだりけったりでした。




 翌日、徳と親衛隊が勝頼の宿を訪ねます。勝頼は突然現れた徳に驚いて、


「えっ、なんでお前がいんの?何してんのこんなとこで?」


「殿、お話がございます。ですが、まずは旅の支度をして下さいまし。会わせたいお方がおられます」


「??? 」


 徳が珍しく神妙な顔をしています。なんか変だ、と言う事を聞いてみるかと宿を出ました。後をつけられる可能性もあるので何度かわざと道を変えてみると、やはり尾行されていました。怪しい尾行者は護衛の忍びがこっそり対処しています。どうやら朝倉の忍びが勝頼を見張っていたようです。昨日城から出たところを見られたようで、どこの誰かを探っていました。


「忍者合戦ってとこか。俺も忍びとしては三流だな」


「殿は危険な真似はしなくていいのです。そのために護衛がいるのですから」


「徳だって危ない事するであろう」


「私はいいのです。所詮側女、使い捨てのカイロのような物です」


「カイロってなんだ?」


「殿は教科書を写すだけで頭には入れてないのですね。それでは身につきませんよ」


「いや、いつも時間がなくて写すだけで精一杯なんだぞ。お前があれもこれも言うから結構大変、で、なんだ、その、使い捨てにするつもりはない。徳は大事な、その、」


「なぜそこでつっかえるのですか?他に気になる女が増えたとか?」


「何を言っているのだ。違う違う、照れ臭かっただけだ。だがな、俺もその変身戦隊みたいにこう、かっこよくだな。敵をバッサバッサと倒してみたいんだよ」


「それは殿のお役目ではありません。そういうのは私とか玉井殿に任せればいいのです。ちなみに変身戦隊ってなんですか?そんなの教科書に出てきましたっけ?」


 なんか今日の徳は雰囲気が違います。いつものやんちゃな感じがありません。色々と話している間に朝倉の忍びは始末され、目的地に着きました。城下から3kmほど離れた農村の奥の奥、行商人すら来そうもない山のなかです。


「ポツンとなんとか村ってやつ?」


 勝頼が三雄に聞いた単語を使いますが周りの誰にも意味が通じません。思いっきり浮いてます。それはともかく5軒しかない小さな村の一番奥の家に徳が入っていきます。


「勝頼様を連れて参りました」


 徳がやけにかしこまっているな。思い当たる節は一つしかない、まさか、そんな偶然って! 勝頼が中に入ると中央に気品のある武士が、その両脇にもそれなりの武士が座っています。右側の武士が、


「こちらにおわすは足利義昭様でございます。向こうが細川藤孝殿、それがしは明智十兵衛と申します」


 探しても探しても見つからなかったのになあ。結構まじめにさがしたんだけどなあ。なんで徳が見つけるかなあ。なんなんだよ、ほんと。他国に見つかるよりはいいけど、徳ってホントなんなんだろう?持ってる人は持ってるって事なのか。で、こいつが明智十兵衛、結構年上なんだな。さてどうしましょう。


「伊那勝頼でございます。お目にかかれて恐悦至極にございます」


 勝頼は義昭に対し平伏した。一応この人はもうすぐ将軍だしね。


「義昭じゃ、苦労をかけるが頼む」


 何をだよ、と突っ込みたくなったがやめておいた。一応言っておくか。


「はっ。父、武田信玄は義昭様を武田領にお連れした後、京へ上洛していただくよう計画を立てております」


「武田の領地とはどこであったか?」


 その問いに細川藤孝が答えます。


「武田は甲斐、信濃、駿河、遠江を治める大大名にございます。武田が上様とともに上洛してくれれば三好など敵ではありません」


「遠いな」


「なんと仰せられる?」


「都から遠いと申したのだ。上洛した後、武田は領地へ戻るであろう。余に何かあってもすぐに駆けつける事はできまい」


 明智十兵衛が困った事を言うお人だ、という顔をしながら、


「ここで伊那様に出逢えたのは正に天運にございます。これを邪険にしては天はこちらを向いてはくれません。ここは伊那様を頼って、そうです。武田と織田は同盟国のはずです。このまま伊那殿に織田信長様のところまで連れて行っていただきましょう」


 なんだよ、明智十兵衛。もっと頭いいかと思ってたけど、ん?そうか、わざと言ったなこいつ。


「明智殿。それがしはお忍びで数名の配下しか連れてきておりません。このまま義昭様をお連れして織田信長のところまで行くのは無理です。それに、浅井の顔を潰す気ですか?皆様の所為で浅井家は大変な事になっているのです。それをどうお考えか?」


 こんなところかな?さて、なんて答える明智十兵衛。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 徳はなかなか良いキャラですがこのところ少々やりすぎ。 [一言] プロットは悪くないが・・・
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