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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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養子縁組

 翌朝、スッキリした顔をした勝頼がいました。顔を洗っていると手ぬぐいを出してきた者がいます。


「すまんな、助かるって………、お前かよ!」


「その顔は良かったって感じ?仕込んだかいがあっただわさ」


 手ぬぐいを渡してきたのは徳でした。甲斐姫との秘め事の結果が気になったのか待ち構えていたようです。見事な取り扱い説明書でした。現在勝頼は余は満足じゃ状態です。


「徳さんや。お見事です。で、今晩はお返しにあんたに行きますのでご覚悟を」


 勝頼は何もしませんでした。甲斐姫の寝技に翻弄されたのです。ですが最終砦はもう少しお預けです。


「大名の娘だろうが百姓の娘だろうがやる事は同じだわさ。で、今晩来た時に色々話しますね。相模湾でのこと、それと次の武器について」


 徳は本当は色々と話をしたいのです。ただ、勝頼が多忙すぎてなかなかそうもいかないのです。勝頼の役に立ちたい、一緒にいたい、それが戦場で活躍するモチベーションになっています。


「余も色々と聞きたい事がある。この後東北へ行くがそこへはお市を連れて行く。お前は半兵衛と一緒に喜兵衛のところへ行ってくれ。詳しいことは夜話す」


 徳はそれを聞いて離れていきました。甲斐姫のところへ行くようです。どうだった?とか聞くんじゃねえだろうな、あいつ。




 次に側室の華名と次男の信平と会いました。この二人には言わなければいけないことがあります。


「お屋形様。おかえりなさいませ」


「父上。おかえりなさいませ」


 華名と信平が二人並んで出迎えてくれました。信平は長男信勝と同い年です。3ヶ月遅く産まれただけで嫡男とはならず、待遇が大きく違ってしまいます。


「華名。信平をよくぞここまで立派に育ててくれた。例を言う」


「お屋形様。母が子を育てるのは普通のことです。お礼を言われるような事では………」


 信平は勝頼の出方で察しました。これは何かある、いつもと勝頼の様子が違う事に気がついたのです。


「父上。もしや、私の行き先が決まりましたか?」


 勝頼は驚きました。頭の切れだけで言えば信勝より信平の方が優れています。それはわかっていましたが、これだけで見抜くとは。ただ、信勝の方が大将の器なのです。どちらかというとですが。


「関東の結城家を継いでもらう。関東に信平を置く意味がわかるか?」


「関東は北条家、上杉家が長年争ってきた土地です。そこに武田の血を置いて関東の安定化を行う、それが私のお役目という事ですか?」


「そうだ」


「結城家は名門、鎌倉幕府を支えた御家人の家です。と言うことはやはり武田の跡取りは兄上ですね。承知いたしました。父上は上杉の事があって焦っておられるのですか?」


 華名が慌てて、


「信平殿、何という言い方。お屋形様に対して!」


 なんか前にもなかったか?こういうの。


「華名、構わん。信平、それもある。だが、焦ってはいない。答えを早く出しただけだ、そしてそれは大事な事だ」


 信平は、今日言われるとは思っていませんでしたが今までの経緯、信勝との年の差を考えてこうなる日が来ると予想はしていました。そして前から考えていた事を言い出します。


「父上、結城家を継ぐのに際し、穴山殿と本多殿をいただきたいのですが」


 !!!、そうか。信平なりに色々と考えていたのか。だがそうもいかん。


「穴山は関東へ置くつもりだ。だが信平。お前は今後、一親戚衆の扱いだ。穴山とは同格。それをわきまえよ。そして結城と穴山で関東をまとめてもらいたいのだ。周りには佐竹、上杉と今は味方の大名がいる。だがお前ならできると考えている」


「そうですか。その言い方では本多殿も無理ですね。誰か頼りになる与力が欲しいのですが」


「本多は考えても良いぞ、よくぞそこに目をつけた。だが本多は武藤喜兵衛の与力だ。喜兵衛を説得できたらだな」


「説得はそれがしがでしょうか?」


「そうだな。それがいい。徳が三河へ行くからその時に一緒に行ってこい」


 勝頼はそう言ってしまってから、徳と信平が一緒に行動するというのも面白いななどと考えています。信平は父、信玄と逍遙軒のような関係で信勝を支えてもらわなければなりません。しかも以前より武田は大きくなっています。上杉の時のように身内の争いは避けたいものです。


「徳さまとですか?」


「何だ、不満か?」


「いえ。子供の頃よく遊んでいただきました。徳さまは不思議な物を作られるとか。それを見てきてもよろしいでしょうか?」


「もちろん構わん。この後余は東北へ行く。次に戻った時に養子に出す」




 信平は自分の立ち位置が完全にはわかっていなかったようです。穴山を寄越せとは自分がもう少し上だと思っていたのかもしれません。叔父上が生きていれば話してもらえたのでしょうが亡くなってしまいました。ただ、勝頼としては養子に出すからと言って邪険にするつもりはありません。本多忠勝は丁度いい面倒見役のような気がししました。


 そして次に信勝に会いに行きました。

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