4節・人物用語紹介
<主要登場人物>
●ニコラス・ウェッブ(ニコラス):29歳、男性、アメリカ人
主人公。代行屋「ブラックドッグ」の助手を務める。元海兵隊武装偵察部隊の狙撃手。わりと常識人で上司のハウンドに振り回され気味。
かつて戦場で出会った少年兵がハウンドであることを知り、しかも国家絡みの陰謀に関わっていることを知って戸惑いつつも、彼女を護ること決意する。
●ヘルハウンド(ハウンド):18歳、女性、アフガニスタン人?
ヒロイン。代行屋「ブラックドッグ」の店主でニコラスの上司。悪戯好きで自由奔放。ニコラスを「ニコ」と呼び、大いに気に入っている。
その正体は6年前、ニコラスに助けられた少女兵(ニコラスは少年だと思っていた)であり、彼に並々ならぬ感情を寄せている。イラク戦争にまつわる《手帳》を盗んだことで、USSAから命を狙われている。
わりと食いしん坊。
<サブ登場人物>
●店長
27番地住民にして、カフェ「BROWNIE」の店長。代行屋の受付所に店の一画を貸す代わりに、ハウンドとニコラスを用心棒として雇う。
●アンドレイ医師
27番地唯一の外科医。戦争後遺症を患うニコラスを診ている。ハウンドの過去を知る数少ない人物。
●クロード
27番地住民。商業組合長。禿げ頭を気にする愛すべきおっさん。
●ルカ
27番地住民。孤児で結成された『雨燕アンドリーリャ』のリーダー。わりとおませな13歳。
●ローズ・カマーフォード (ローズ・ブレッド)
特区外から来たアメリカ市民で、大手自動車メーカー「リベラルモーターズ社」の令嬢。すでに自社は吸収合併されてしまっているものの、個人だけで総資産10億ドル近くを所有している。
やや世間知らずなところがあるも純粋無垢でお人好し。特区の貧民街でボランティアをしようと代行屋に協力を依頼する。
●スザンヌ・ガイラー
リベラルモーターズ社の吸収合併元である「アムストル社」の現役幹部。ローズのお目付け役であり秘書。
<敵役>
●ルスラン・ロバーチ:35歳、男性、ウクライナ系ロシア人
五大マフィア『ロバーチ一家』の若き当主。表情が凍りついていると評されるほど冷厳な面持ちの偉丈夫。徹底的な合理主義者かつ現実主義者。ハウンドとは一応友人関係にある。
見た目に反して好戦的な一面がある。
元特殊部隊出身であり、ロシア軍隊格闘術「システマ」の達人。
●ボリス・アリビツキー
26番地 (ロバーチ領三等区の一画)を支配する暴力団のボス。売春婦斡旋に麻薬密売人の元締め、闇金融業者だけでなく、住民から物資を奪い横流ししている。
<専門用語>
●特区
正式名称は「ミシガン州特別経済自治区」。公式には国営の実験都市という扱いだが、実情は世界最大級の犯罪都市。27番地を除く全区画を五大マフィアが支配している。
●五大マフィア
特区を統べる五つの犯罪組織。現在の五家は、シチリアンマフィアの『ヴァレーリ』、ロシアンマフィアの『ロバーチ』、中華系マフィアの『ターチィ』、先住民系ギャングの『ミチピシ』、南米系カルテルの『シバルバ』。
●27番地
特区で唯一、五大マフィアに支配されていない中立地帯。ニコラスとハウンドが暮らしている街。ハウンドを統治者として仰ぐも、政治体制は民主制を取っている。
●26番地
ロバーチ領三等区。支配者はボリス・アリビツキーであるが、統治が劣悪なことと慢性的な物資不足により餓死者が出るほど困窮している。27番地の隣にある区画。
●ロバーチ一家
五大マフィアの一家であるロシアンマフィア。数年前に創立されたばかりの新興勢力だが、構成員の9割近くが軍出身であり、純粋な武力では五大マフィア随一と称される。
現当主はルスラン。軍事に関する商売との関係が深い。
●リベラルモーターズ社
かつてデトロイトに本社を置いていた大手自動車メーカー。特区設立の要因となったにもかかわらず、一切の咎を受けなかったため評判は悪い。
●合衆国安全保障局
略称はUSSA。12年前の同時多発テロ発生直後に急遽設立された大統領直属の情報機関で、年々発言力を増している。
●手帳
イラク戦争中に起きた、国連絡みの大スキャンダル「バグダッドスキャンダル」に関する証拠品。手帳には世界屈指のブラックリスト、『失われたリスト』が記載されているらしく、現在はハウンドが所有していると考えられている。
●失われたリスト
イラク戦争中、国連主導で行われた『石油食料交換プログラム』を隠れ蓑に世界各国の大物たち(国連のトップ、現職の大臣、資本家、宗教関係者など)がこぞって汚職を行った『バグダッドスキャンダル』に関与した人物らの名が記されたブラックリスト。
このリストを公表するだけで、世界各国代表の首がすげ変わるほど破壊力を持った代物。




