3-8
「これで全部か」
「はい、バッチリです!」
うきうきした様子で契約書を受け取るテオドールに、今さらながらニコラスは遠慮がちに尋ねる。
「巻き込んでおいて何だが、本当に良かったのか? 五大マフィアを敵に回すことになるが……」
「構いません」
温めたナイフでバターを切るが如く、テオドールはすぱっと返した。
「確かにこの特区において五大マフィアと手を組めば莫大な利益を得られますが、自分たちは一般人です。すでに裏社会で生きる術を身につけたマフィアとは違う。彼らは警察に目を付けられても闇に潜るだけですが、自分たちは確実に取り残される。私は損をするのは嫌いなんです。商人ですから」
「そういうもんか」
「そういうものです。いやー、それにしても渡りに船とはまさにこのことですなぁ。追い出された直後に新たな家が見つかるとは何たる僥倖。あとは事業が上手くいって滞納しまくってる借金を返せば万々歳ですな」
「ちょっと待て。お前借金してんのか?」
しかめっ面で待ったをかけたクロードに、テオドールは心配するなとばかりに手を振った。
「なに。ちょっとインストールメント・ローンを6社はしごして100万ドル借りただけですよ」
「馬っ鹿お前、インストールメント・ローンって年利100%越えもあるヤバイ金貸し屋じゃねえか! 年利いくつだ!?」
「平均年利が98%なのでギリギリセーフですな」
「アウトだこのクソッタレ!」
「大丈夫です! 特区に来る直前に借りて踏み倒してきましたので!」
「もっとアウトだよっ!!」
「お黙りなさい! 社員と船員を食わすためには金が要るんですよっ!」
やはり、もう少し考えてから手を組むべきだっただろうか。
ゴミ捨て場で騒ぐ鴉なみの姦しさで言い争いを始めた商人とクロードに、ニコラスは虚空に目を逸らす。
とはいえ、もう後戻りはできない。腹をくくるしかない。
「まあ先に誘ったのは俺たちだからな。お先真っ暗同士よろしく頼む」
「はい! こちらこそよろしくお願いします。私の目に狂いがなければ、ミスター・ウェッブは賢く責任感が強いお方のようですので。頼りにしてますぞ」
頼る気満々で朗らかに手を差し伸べるテオドールに苦笑をこぼす。
実に図々しいが不思議と嫌みがなく、むしろ愛嬌すらある。
思うに、商人というのは皆こういうものなのかもしれない。
ニコラスが差し伸べられた手を握ろうとして――。
「交渉は済んだかな?」
妙に色気のある男声が朗々と響く。振り返ると、ムカつくほど完璧な美丈夫が立っていた。
真打登場。
ヴァレーリ一家首領、フィオリーノ・ヴァレーリその人である。
背後には今朝の襲撃者と同じく完全武装の構成員を30人ばかし連れており、カルロはいなかった。
予想外の事態に全員が固唾をのむ中、ひとり予想の範囲内だったニコラスは立ち上がった。
「何の用だ」
「君らと交渉がしたくてね。人払いを願えるかな? そうだね、君と……ファン・デーレンに残ってもらおうか」
交渉を希う立場でありながら横柄に指図するあたり流石マフィアの首魁だ。しかもただ突っ立って小首を傾げただけなのに、艶めかしく他人を魅了する妖しさがある。
ニコラスは全警戒をもってフィオリーノと対峙した。
最終決戦である。
***
住民を工場内から退去させたニコラスは、先ほどの簡易テーブルを挟んでフィオリーノと向き合った。
隣のテオドールがバイブレーションよろしく小刻みに震えているが、あえて言及しないでおく。
部下が用意したクリスタルロックグラスの水を傾けるフィオリーノをニコラスは睨んだ。
ただの水になぜそんな器を使うのか、さっぱり理解できない。カランと涼やかに鳴る氷球の音が実に場違いで、神経を大いに逆なでした。
徒に時間を浪費する交渉相手に考えあぐね、ニコラス打って出ることにした。
「ハウンドはどこだ?」
「2番地だよ。一応彼女は俺の拘束下にあるからね」
「なら今すぐ彼女を解放しろ。他一家が五芒星条約の規定違反を認知していない以上、拘束は不当だ」
凄むように語気を強めると、フィオリーノはすうっと目を細める。
瞳孔を細める猫のような笑みだ。
「へえ。そこまで気付いてたか。意外と賢いね、君。まあカルロを負かす奴なんてそう居ないけどねぇ」
その発言にニコラスはぞっとした。
――こいつ、まだ切り札があるのか。
この男は自分たちが不当な拘束をしたこと、それを見破られるであろうことを承知のうえで行動している。でなければここまで余裕な態度はすまい。
ニコラスは動揺を悟られまいと構えた険相に力をこめる。
「……拘束が不当である自覚があるなら彼女を解放しろ」
「そんなことより交渉をしようよ。さっき君らそこの商人と交渉してたんでしょ? 俺も混ぜてくんない?」
「断る。それにすでに交渉は成立した。お前が入る余地はない」
「ふんふん、交渉は成立したんだね? それは、それは」
おちょくるような口調にニコラスは苛立ちを堪えた。
始終ポーカーフェイスだったカルロと違い、こちらの男はのらりくらりと掴みどころがない。
と、刹那。フィオリーノは例のチェシャ猫の哂いでにぃっと口端を吊り上げた。
「ありがとう、テオドール・ファン・デーレン、ニコラス・ウェッブ。では、君らの新たな搬入ルート開拓事業の利益のうち数十%を上納金として徴収することにしよう」
ニコラスはフィオリーノの言葉を噛み砕くのに数秒を要した。
こいつは一体なにを言っている?
上納金とは、ヴァレーリ一家に所属する特区住民が支払うもののはず。ヴァレーリ一家に追放されたはずのテオドールが、なぜ上納金を支払わねばならないのか。
「ふざけるのも大概にしろ。お前らはファン・デーレンを追放したんだ。もうこいつはヴァレーリ領住民じゃない」
「そ、そ、そうですよっ。私はミスター・ベネデットにより先ほど除籍を言い渡されております。今後私が上納金を払うとしても、相手は27番地のはず――」
「いいや? 君が払う相手は俺だよ。だって君、これから27番地に住むんでしょ?」
こいつは人を怒らせる天才だな。
ニコラスは相手のペースに乗せられまいと、反論前に一息つく。
「いい加減にしろ。27番地の統治者はヘルハウンドだ。無関係のテメエがしゃしゃり出てきてんじゃねえよ」
「無関係じゃないんだなぁ、これが」
そう言ってフィオリーノはスーツの上着内ポケットから一通の便箋を取り出した。金の縁取りのされた、結婚式などの招待状で見るような分厚く上等なやつだ。
フィオリーノはそれを指に挟み、見惚れるような所作で手首を翻す。
それは腕利きディーラーがトランプカードを切る様に酷似して、唖然とする男二人の前に差し出された。
「本日をもって、ヴァレーリ一家現当主フィオリーノ・ヴァレーリは27番地の自治権をヘルハウンドに正式に譲渡する。なお土地の所有権についてはヴァレーリ一家が保持するものとする」
「――は?」
間の抜けた声が漏れ出たのは無理もない。あまりに突拍子のない――いや。
――まさか。
ニコラスは今朝の出来事を思い出して戦慄した。
これこそがヴァレーリ一家の真の狙い、最大の切り札だ。
「お、理解が早いね番犬くん。その通り。確かに君の狙い通り、俺たち五大マフィアは河川に限定した運搬ルートへの介入はできない。五芒星条約にないからね。だが君らが使用するであろう土地が俺の物なら話は別だ。27番地の土地所有権はヴァレーリ一家にある。つまりこの街の地主はこの俺だ。土地代、払ってもらうよ」
「なっ……!?」
愕然とするニコラスに対し、あまりの急展開に置いてけぼりになったテオドールは、オロオロとこちらとフィオリーノの顔を交互に見つめている。
「ちょっと待て。その譲渡状をハウンドは――」
「知ってるよ。ほら。ここに直筆のサインあるでしょ? あ、破いても無駄だからね。これコピーだから」
ニコラスは卓上の便箋をひったくるように取り上げると中身を取り出した。目を皿のようにして譲渡状に目を通す。
間違いない。ハウンドの筆跡だ。
「っ、だが自治権は27番地住民にある。政治や商業活動に口出しする権利はないはずだ」
「そんなにキャンキャン吠えない。俺が徴収するのは土地代だけさ。住民税か敷金とも言っていいかな。大丈夫、いま住んでいる住民には要求しないよ。君らが新しくビル建設したり、道路拡張したりせず、今まで通り慎ましーく大人しく暮らしていれば、ね? だって君ら最近活躍しすぎなんだもの」
「っ……!」
「いやはや、にしても助かったよ。予めファン・デーレンは除籍する予定だったけど、まさかもう済んでて交渉まで始めてるとは思わなかった。しかももう契約済みなんでしょ? 君も番犬くんに劣らずなかなか優秀じゃない、ファン・デーレン。まあ使えると思ったから畑違いの君を武器商人グループに組み込んだんだけどさ。さっきも言ったけどありがとね。おかげで手間が省けたよ」
言葉がなかった。
この男は最初からテオドールと自分たち27番地を組ませるために、わざと自分たちを泳がせていたのだ。
全部この男の掌の上だった。必死に考えた打開策も、掴んだ機会も。
これほど戦意を失する言葉があろうか。
――駄目だ。飲まれるな。
ニコラスは自身を叱咤した。ここで折れてはならない。
奴は『狡猾』のヴァレーリ首魁、話術に長けるのは当然のことだ。諦めてはならない。
「……なら今回お前らがハウンドを不当に逮捕したことを他一家に告げさせてもらう。お前らのやったことは内部干渉だ。中立派が聞いて呆れるぜ」
「別にいいよ? 実際ヘルが規定違反をしたのは事実だし。それに他一家が介入してくれば困るのは君たちだと思うけど? すでに他一家はヴァレーリが27番地に介入したのを知っている。だからこそ今、介入する口実を血眼で探し回ってる。そんな中、ノコノコ行って『助けてください~』なんて言ってごらん。食い荒らされるよ?」
「それは――」
「君、おつむは回るけど駆け引き下手だねぇ。切り札ってのは種明かししないからこそ切り札なのに。さっき君がカルロを負かした時、カルロに言うんじゃなくてさっさと他一家に告げ口してれば流石の俺も慌てたけどね。まあ、君らが食い荒らされるのは変わりないけど。ま、でも良かった。君が種明かししてくれたおかげで根回しする準備ができたからねぇ」
ぐうの音も出ないとはこの事か。
ニコラスはもう反論の一文字も浮かばなかった。
そんなこちらの様子を見て満足げに頷いたフィオリーノは笑顔でトドメを放った。
「と、いうわけで。今後、27番地に住む人間に関しては一定量の税を徴収させてもらう。なんせ土地の所有者は俺だからね。ああ、君は船舶も所有してたねファン・デーレン。ならその船舶が停泊する港と、燃料供給タンク分の固定資産税と電気・水道代、維持管理費も貰おうか。土地の管理って結構金かかるし」
「船舶も……!? ちょっと待ってください! 一体いくらすると――」
「なら出ていけば? 行くとこあればの話だけど」
びしりとテオドールは硬直した。
ヴァレーリ一家を追い出され、27番地も住めぬとあればテオドールは特区外に出るしかない。だが特区外に出れば――。
「ああ。そういや君、借金踏み倒してきたんだっけ? しかも6社も。いやはや、二次大戦後のヨーロッパじゃ知らぬ者なしと謳われたボルダー商事も孫の君の代でお終いかな? 実は君が借りてた金融機関はうちとも知り合いでね。もし君が逃げるってんなら逃がすわけにはいかないなぁ。彼ら、君を取り逃がしたこと随分と怒ってたからねぇ。あ、それとも今すぐ自力で金つくってみる? 君わりと健康体だから靭帯までイケそうだね。大腿骨と脛骨も長いし、皮膚の表面積も大きい。良い値になりそうだ。君一人の人体からどのくらいの額が取れるか試してみようか」
全身を大きく震わせ始めたテオドールと真逆に、フィオリーノの蕩けるように微笑んだ。
恋人の痴態を眺めるかのように、嗜虐と愉悦に塗れた瞳で。
そしてその笑みは、ニコラスの心胆を寒からしめるのに十分すぎた。
「…………税率は」
「お? 諦める気になった? んーそうだなぁ。初っ端から飛ばしても厳しいだろうから、今は30%でいいよ。あとは君らの収益に応じて上げていこうかな。大丈夫! 全部毟り取ったりしないからさ」
寸でのところで堪えたが、テオドールは耐え切れずがっくり項垂れた。
ニコラスとて本当はそうしたかった。
現在、27番地がヴァレーリ一家の関所に支払っている関税は20%、以前よりも増えてしまった。
――すまん、ハウンド。
万策尽きた。もう打つ手がない。
ハウンドを責める気はニコラスになかった。
この男のことだ。恐らく彼女に対し、《手帳》を渡す代わりに譲渡状への署名を迫ったのだろう。でなければ慎重な彼女がこんな軽はずみな。
いや。待て。
ある。打開策が一つだけ。
「おい。一つ聞きたいことがある」
ニコラスの問いに、フィオリーノは意外そうに肩眉を上げた。まだ噛みつく意思が残っていたかとばかりに。
「なんだい、負け犬くん」
「その譲渡状への署名は本当にハウンドの意思か?」
「勿論さ。俺は女性に無理強いなんてしないよ」
「どうかな。今朝いってた『お宝』をだしに脅したんじゃないのか。でなきゃアイツがテメエみたいな詐欺師の口車に乗るわけねえだろ」
瞬間、フィオリーノの顔から笑顔が消失した。
美人が怒ると怖いと聞くが普段へらへらしてる分、真顔になった時の迫力は常人の並ではなく、ニコラスは総毛だった。だが。
――釣れた。
ニコラスは冷や汗をかきつつも目を逸らさなかった。
こうなったらやるしかない。ハウンドが帰ってくるまで可能な限り時間を稼ぐ。勝機があるとすればそこだけだ。
すると、無表情だったフィオリーノの顔に再び笑顔が戻った。陽気さも軽薄さも排された、酷薄な笑みの仮面だ。
「……なるほどねぇ。そこまで知ってたか。道理で」
パチン、と指を鳴らす音が響く。
一糸乱れぬ動作で銃口を向けた武装兵にテオドールが短く悲鳴を上げ、ニコラスは立ち上がりかけてから丸腰なのに気付いて舌打ちをする。
「気が変わった。ちょっと場所を変えて話をしようか、負け犬くん。二人っきりでね」
拒否権はなかった。
***
2番地に着いたカルロは早足で超高層ビルのガラス張りエレベーターへと向かっていた。
目指すは最上階にある南イタリア専門料理店。フィオリーノのお気に入り店の一つであり、ヘルハウンドのための拘置所だ。
逃げ場はない。
最上階から下層10階には80人以上の部下が詰めており、全階には至る所に監視カメラと赤外線・マイクロ波による複合型警備センサーが設置されている。
侵入・脱走どちらにしてもまず不可能だ。
「状況は」
最上階に着くなりカルロがそう尋ねると、構成員の一人が困り果てたように肩をすくめた。
「この2時間ずっとだんまりです。首領が話しかけた時だけ多少動きがありましたが、後はずっと座ったままです。出された食事にも一切手を付けていません」
「あの女は他人が出す食事は絶対に食わん。奴が食うのは完璧な梱包で密封されたものか、自身が調理工程を見届けたものだけだ。唯一、例のカフェの店長のものは口にするようだが」
「毒を仕込まれるのを恐れていると?」
「ああ」
元相棒であったこともあり、多少ではあるがカルロは彼女の気質を知っている。
あの女は狼だ。フィオリーノは自身に興味を示さないヘルハウンドをあの手この手で飼い慣らそうとしているが、あの女は大人しく首輪をつけられるような質ではない。
全く。うちのボスの物好きにも困ったものだ。
――あの人、ああいう反抗的で強情な女に目がないからな。しかも美人だし。童顔だけど。
深々と溜息をつくと、構成員は「お疲れ様です」と苦笑した。
「今は一人か?」
「はい。監視しか用がないなら目障りだから出ていけと言われまして。今は監視カメラ映像で見張ってます」
それを聞いたカルロは疲労に目元を揉んだ。
全く、ボスの次は狼娘のご機嫌取りだ。挙句、番犬には噛まれるし。今日はとことんツイてない。
だが仕事は仕事だ。面倒ごとはさっさと片付けるに限る。
カルロは渋々と監視室へ足先を向けた。監視カメラ映像の確認のためである。今から猛獣の檻に生身で入らねばならないのだ。せめて噛まれないよう位置取りだけでも把握しておきたい。
監視室に入ったカルロは件の拘束室と化したレストラン店内の映像に目を留める。
壁一面が防弾・防爆仕様の特殊ミラーガラスになった日当たりの良い席に、椅子がぽつんと置いてある。
彼女はそこにいた。
「本当に動かないんですよ。もう退屈ったらありゃしない」
確かにこれでは写真を眺めているようなものだ。退屈極まりない。
ふと、カルロは違和感に眉をひそめた。
「おい。これ拡大できるか」
「映像をですか?」
「そうだ」
構成員がキーボード上で指を走らせると、映像が拡大される。
カルロはその部分に目を凝らし、愕然とした。
首がない。
陽光に照らされたヘルハウンドの影、その頭部がない。
――合成映像……!
驚く構成員を無視し、カルロは監視室を飛び出した。全速力でレストランに向かい、封鎖された出入り口の扉を押し開ける。
もぬけの殻だった。
いたのは誰も座っていない椅子が一脚と、給仕として控えていたはずの店員が一人、床に伸びていた。
カルロは無線に向かって叫んだ。
「総員聞け! 獲物が逃げた! 監視室はここ二時間の映像記録を今すぐ確認しろ、監視網に侵入されてる! 総員、大至急屋内外の捜索にあたれ、急げ!」
カルロの指示に構成員たちは素早く動くが、もう手遅れであろうことをカルロは悟っていた。
あの頭部のない影はわざとだ。
「我らここに来たれり」
樹の幹や岩に爪痕や尿を引っかけて縄張りを主張する猛獣と同じ。同類が残した無言のメッセージだ。
監視室の誰にも気付かれることなく最新の監視システムに侵入し、監視映像をすり替える技術を持つ者など、そんな技術力のある一家など、カルロは一つしか知らない。
五大マフィアが一つ、ロバーチ一家。
発足して10年も経っていない新興勢力のロシアンマフィアで、構成員の9割以上が元軍人で構成された超武闘派犯罪組織。組織内には特殊部隊出身者や連邦保安庁防諜局に属していた者もいるという。
最後に特区へ参入した新参者でありながら、自分たち最古参と互角に張り合う『特区の双璧』の片壁。
そしてロバーチ一家首領ルスラン・ロバーチは、ヘルハウンドと友人関係にある。
「……今すぐ首領と連絡を取れ。でなきゃ俺たちの首が物理的に飛ぶぞ」
一瞬にして蒼白に様変わりした部下らの顔を横目に、残業が確定したなと頭の片隅でぼんやり嘆くカルロであった。
次の投稿は7月22日です。
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