表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
180/194

12-5

【これまでのあらすじ】

総攻撃、第二段階。

27番地へ行われた大規模空爆は、すべてを焼き払った。


焼け、崩れ、潰れ、かつての面影は欠片もなく。セントラルタワーからその光景を見せつけられたハウンドは、絶望に打ちひしがれる。


そんな彼女の処刑を粛々と執り行おうとするフォレスター。

よりによってハウンドの愛銃で、ハウンドが大事に持っていた自害用の弾丸を用いて、淡々と彼女の頭部に銃口を定めた、その時。


セントラルタワーに砲弾が撃ち込まれた。


それは全滅したと思われていた、27番地からの反撃の狼煙であった――。




【登場人物】

●ニコラス・ウェッブ:主人公


●ハウンド:ヒロイン、敵(USSA)に捕らわれている


●アーサー・フォレスター:USSA長官にして、『双頭の雄鹿』現当主。すべての元凶。


●マクナイト:ベトナム帰還兵の元海兵隊員、ケータの祖父。


●クロード:27番地商業組合長、小太りの禿げたおっさん。


●バートン:ニコラスの狙撃の師、教え子にラルフやゾンバルトがいる。




【用語紹介】

●合衆国安全保障局(USSA)

12年前の同時多発テロ発生直後に急遽設立された大統領直属の情報機関で、年々発言力を増している。現長官はアーサー・フォレスター。


●『双頭の雄鹿』

USSAを牛耳る謎の組織。その正体はアメリカ建国黎明期の開拓者『ポパム植民地』住民の末裔。

マニフェストディスティニーを旗標に掲げ、国を正しい道に導くことを指標とする。政界、経済界、軍部、国内のあらゆる中枢に根を張り巡らしている。

名の由来は、ポパム植民地の最大後援者でもあったジョン・ポパムの紋章からもじったもの。


●失われたリスト

イラク戦争中、国連主導で行われた『石油食料交換プログラム』を隠れ蓑に世界各国の大物たち(国連のトップ、現職の大臣、資本家、宗教関係者など)がこぞって汚職を行った『バグダッドスキャンダル』に関与した人物らの名が記されたブラックリスト。

このリストを公表するだけで、世界各国代表の首がすげ変わるほど破壊力を持った代物。『双頭の雄鹿』の資金源と目される。

現時点、証拠はすべて抹消され、証人もハウンドとシンジ・ムラカミだけとなっている。


●絵本

ニコラスがハウンドから譲り受けた手書きの絵本。人間に連れ去られた黒い子狼が、5頭の犬たちの力を借りながら故郷を目指す物語が描かれている。作者はラルフ・コールマン。

炙り出しで謎の文がページの各所に仕込まれており、それらを解き明かすと『証人はブラックドッグ』、『リーダーはアーサー・フォレスター』となる。


●《トゥアハデ》

『双頭の雄鹿』の実働部隊。世界各国の特殊部隊から引き抜いた兵士で構成されており、長のフォレスターが自ら選んだ幹部“銘あり”が数人存在する。

現時点で確認されている“銘あり”は『キッホル』、『クロム・クルアハ』、『ヌアザ』、『モリガン』、『ディラン』、『スェウ』、オヴェドの七名。

現時点で『キッホル』、『クロム・クルアハ』、『ヌアザ』の三名は死亡。

また、なぜかオヴェドは名を与えられていない。

 瞬時に状況を理解したフォレスターは、静かに嘆息した。


「外部へ通じる地下ルートは、復旧したものを含めてすべて潰したはずだが。あの空爆を生き延びる者がいたとはな。オヴェド、お前らしくもない」


「申し訳ありません。27番地の裏切った連中から聞き出した情報だったのですが……最初から信用されていなかったようですね」


「民兵風情にしては情報管理が行き届いているようだな。――至急、対策本部をここに。設置を急げ」


 部下たちがバタバタと走り回る中、フォレスターはそう声を張り上げた。


「どんな些細な情報でもあげさせろ。精査はこちらでやる。第三段階の地上侵攻作戦はすでに始まっている。少しでも情報提供に遅れが生じれば、取り返しのつかない事態になるぞ」


 フォレスターが指示を飛ばしてから三分。


 セントラルタワー最上階の議事堂に、トゥアハデの緊急対策本部が設置された。

 いわば戦艦における戦闘指揮所(CIC)。現地における情報のすべてを集約し、指揮・発令を行う。


 砲撃を受けているのになにを悠長な、と常人なら思うところだろうが、これにはいくつか理由がある。


 一つは立地。

 特区最高峰を誇るセントラルタワーは、言い換えれば特区で一番の高地。偵察衛星やドローンによる上空からの観測にも限界はある。

 地上の観測地点として、ここはもってこいの場所なのだ。


 二つ、この議事堂の設備だ。

 五大各当主がそろう場というだけあって、ここにはセントラルタワーと周辺の管理・監視だけでなく、五大各領との緊急回線が完備されている。

 ヴァレーリ・ロバーチ両家に至っては、戦術データリンクに該当する情報伝達システムまで組まれている。


 当主の会合中に領内でトラブルが発生した際に備えたものだろう。

 現在、27番地周辺を除く、特区全土に部隊を展開しているトゥアハデにとって、これを使わない手はない。


 三つ、敵はセントラルタワーを完全に破壊することはない。

 なぜならここには、彼らが一番失いたくないものが存在しているからだ。


「ディラン、スェウ、お前たちは彼女のそばを離れるな」


「「承知しております、我が主」」


 完璧にそろえた返答をした双子は、すでにブラックドッグの鎖を短く持ち直している。

 気力、体力ともに取り戻したらしい少女は藻掻いているが、この一月の強化尋問で弱った女相手に、後れを取る彼らではない。


「ねえ、これ俺らも強制参加なわけ?」


 ヴァレーリ一家当主フィオリーノが、不満げに頬杖をついた。

 議事堂内に運び込まれた追加の電子通信機器が、円卓をも占拠し始めたのが気に食わないらしい。


「無論、参加せずとも結構だよ。君の席に代わりの者が座るだけだ」


「あっそ」


 フィオリーノはあからさまに舌打ちしたが、フォレスターは気にも留めない。五大マフィアがどう足掻いても逆らえないことを知っているからだ。


 彼ら当主は各一家にとっての人質であると同時に、攻撃の口実でもある。

 大人しく従えばよし。従わぬのであれば、即刻当主を処分し、残った構成員もろとも殲滅対象にするだけだ。


 軍も参戦した今、生き汚い彼らが、自らの生存を手放す愚をみすみす犯すとは思えない。


 他者を掌で転がすのは愉快でも、他者に転がされるのは不快なのだろう。先ほどのフィオリーノの舌打ちはそういうことだ。


「敵の砲撃地点は?」


「特定済みです。今、モニターに映します」


 そう言って、オヴェドが円卓横の壁面モニターに映像を出した。

 地上偵察部隊からの映像だろうか。手振れが酷く、先ほどの空爆による黒煙で視界が不鮮明だ。


 しかし、その黒煙の切れ間に見えた光景に、フォレスターは少なからず驚愕した。


「艦、だと?」




 ***




「射ち方やめェ! 対地戦闘用意、装填急げェ!」


 マクナイトの号令を受け、待ってましたと言わんばかりに砲兵たちが動き出す。


 これだ、これ。この昂揚を待っていた。


 耳栓が無意味とも思えるこの爆音。内臓をも揺らすこの震動。射手の存在すら拒むような、顔面に叩きつけられるこの空気圧! 


 やはり戦場はいい。戦後狂人と呼ばれ蔑まれようと、常人には分かるまい。

 憎き敵を大砲で叩き潰す、その隙に味方が吶喊する。これ以上の興奮があるだろうか。


 そんな上機嫌のマクナイトに、水を差すものが一人。


『いやいやいや、これもう戦艦じゃないですかっ。こんなものの舵を私に取れと!?』


 顔を盛大に引きつらせたちょび髭男、テオドール・ファン・デーレンが、船橋(ブリッジ)から無線越しに喚いている。声から察するに、すでに半泣きだ。


「ごちゃごちゃぬかすな。船の管理をすると言ったのは貴様だろう」


『私が管理するのは中型タンカーと乗組員ですっ。砲台とっつけられた即席戦闘艦(テクニカル・シップ)を操縦するなんて聞いてませんよ!?』


「泣き言いうな。ここまですっ飛んできた気概を見せろ」


『好きですっ飛んできたんじゃありません。私の船が戦闘に使われるって聞いて、ローズ嬢のコネと金の力でカナダに飛んで、小型艇でセントクレア湖突っ切って駆け付けたんですっ。

 これでも私、病み上がりなんですよ……!? 拷問の次は船を勝手に魔改造されて、挙句その船の船長させられるなんてあんまりだぁ!』


 喧しい男だ。根性だけは認めるが。

 ついでに陸軍最精鋭のデルタフォース隊員四名を連れてきたことも評価してやろう。


 ――デルタの連中は、ウェッブとぎりぎり合流できたそうだが……上手くやれよ、後輩。


 にしても、だ。まったく孫といい、この男といい、どうして自分は泣き虫の臆病者ばかり当たる星回りなのか。


「仕方なかろう。操舵手がお前の指示でないと動かんと駄々をこねたんだ」


『いやそれはもう社長として嬉しい限りなんですが。ていうか、ミスター・マクナイト。あなたつい最近まで末期癌だったでしょう。なんでそんな元気なんですか」


「知らんのか。砲兵は射てば射つほど元気になるし、若返る。常識だぞ」


『なんですか、その謎理論……いや、それよりもこれ! こんなのどっから持ってきたんです、どう見ても攻城砲じゃないですかっ』


 ほう。この男、見る目はあるようだ。


 M1-240ミリ榴弾砲、太平洋戦争ならびに朝鮮戦争で使用された正真正銘の骨董品。兵士から『黒竜(ブラック・ドラゴン)』の名で愛された、古き良き時代の大砲だ。


『こんな博物館級の代物、どっから持ってきたんですか』


「ベトナム戦争時代の上官からもらった。弾十発つきでな」


『もらった!? 大砲を!?』


「おお。ジャングルを彷徨っていた時にな、俺が死んだらくれてやるとぬかしおってな。聞いた時は冗談だと思っていたが……弔問に家を訪ねたら本当にあった。

 嘘くさい武勇伝ばかり話す肝っ玉の小さいクソッタレだったが、砲と砲弾の保存状態は完璧だったな」


『いやそこは博物館に寄贈しましょうよ』


「馬鹿言え。埃を被せておくなど、それこそ冒涜だ。大砲は撃ってこそよ」


 そこで雑談を打ち切り、号令に戻る。


「目標、ヴァレーリ領トゥアハデ前哨基地。第二、第三門、効力射用意!」


 第二から第五の四門からなるD-20・152ミリ榴弾砲の兵士たちが、訓練どおりの機敏な動きをみせる。


 ちょび髭男に話した通り、第一門、240ミリ榴弾砲の弾は十発。はっきり言って、実戦で使えた代物ではない。

 それでも引っ張り出してきたのは、27番地で唯一射程20キロを超える、零番地を射程内に捉える長距離砲だったからである。


 火力支援というのは、単に遠方の敵の撃破だけに留まるものではない。

 貴重な二発ではあったが、マクナイトは惜しみなくセントラルタワーへ向け放った。


 「ここまで届くぞ」という敵への示威行為であり、27番地の反撃の狼煙であった。


 あのセントラルタワーが黒煙を上げている!

 それだけで兵の戦意は昂揚するのだ。そして以降、この砲撃音を聞くたび、兵は奮い立つ。


 ――まあ、撃破できるに越したことはないがな。


「射撃用意よし!」


射ェ(ファイア)!!」


 第二、第三門の火砲が、文字通り火を噴いた。第二門が敵前哨基地の前方を、第三門がその後方に着弾する。


 目視と、ドローンによる弾着観測。両者の較差から目標位置を割り出したマクナイトは、即座に各砲門へ修正指示を飛ばす。


「第二から第五門、一斉射。用意――射ェ(ファイア)!!」


 マクナイトの目に狂いはなかった。

 ヴァレーリ領前哨基地のど真ん中で無数の噴煙が上がる。集弾性も申し分なし。


 満足げに頷いて、続いてロバーチ・ターチィ領内の基地に狙いを定める。基地を潰したら、次は関所。関所の次は敵の火砲と戦闘車両だ。


「おい、ちょび髭」


『ちょび髭じゃなくて、ファン・デーレンですっ。なんですか、セントクレア湖の方は水深が浅すぎて行けませんよ』


「そっちじゃない。このままデトロイト川を南下する。ただしカナダ側すれすれを航行しろ」


「それは構いませんが、なぜ? あまり近づきすぎるとまずいのでは……』


「逆だ。海軍の連中はここより南方のエリー湖に控えている。奴らの位置から儂らを攻撃するなら、カナダ上空を通さねばならん」


『なるほど。政治的圧力を誘発させて、攻撃を抑制しようというわけですね』


 話が早い。

 マクナイトは臆病船長の思わぬ一面に満足したが、決して楽観はしなかった。


 長距離射程の艦砲射撃で趨勢が決まる時代はとうに終わった。時代は今、精密誘導ミサイルによるピンポイント攻撃である。

 いくらカナダ政府がごねようと、海軍がその気になれば、こんな船、あっという間に沈められてしまう。


 ――そのうえ火力支援はシバルバ・ミチピシを除く三領のみ。152ミリでは、ロバーチ・ターチィ領の三分の二にしか届かん。


 歯がゆい。そう思っていた矢先、本部から攻撃要請が入った。


 バートンといったか。敬語ではあったが、元陸軍士官なだけあって命令し慣れた口調だ。


「シバルバ・ミチピシ領一等区の関所への砲撃だと? 240ミリ(ブラック・ドラゴン)を使えということか」


『そうです。届きませんか?』


「いいや、そこならぎりぎり射程範囲内だが……240ミリの残弾はあと八発だ。できれば艦隊戦に備えて残しておきたい」


『相手があなたでなければそう命じています。通常の砲撃では最低でも三発は使いますから。それに』


「それに?」


『そっちの方が、兵の士気も上がるかと思いまして』


 なるほど。それは大事だ。


 マクナイトはにやりと笑った。


「承知した。だが支援できるのはその関所までだ。それより北は届かんぞ」


『問題ありません。そのための攪乱部隊です』


「ああ、そうだったな」


 そう返しながら、マクナイトは口の端を吊り上げる。


 さあ、亡者どものお目覚めだ。墓穴から這い出てくるがいい、死に損ないどもめ。




 ***




 同時刻。ターチィ領二等区16番地、中心街。


「っしゃあ、行くぞお!!」


 景気よくアクセルを吹かしたクロードは、一気にサイドレバーを下げた。


 瞬間、尻に火がついた馬の如く、即席戦闘車両が急発進する。


 それも、ただの即席戦闘車両ではない。

 大型トラック全面に装甲を取り付け、天井部にM2重機関銃の銃座を二つ備えたお手製の兵員輸送車である。


「第一機甲中隊、俺に続け!」


 そう叫ぶなり、クロードは輸送車とともに、地下駐車場から地上へ飛び出した。


 大通りに出ると、さっそくトゥアハデ兵に出くわした。

 先陣の突入に合わせて待機していた後方部隊だろう。突如現れたこちらに、どいつもこいつもポカンとしている。


「ハッハア! 驚いてるな、驚くよなぁ! こんなターチィ領のど真ん中に、なんで27番地民兵(おれたち)がいるんだって思ってるよなぁ!?」


 ハンドルを切り返しながら、泥酔した時のようにがなり立てる。


 実際のアルコールはとうに醒めた。

 空襲警報に叩き起こされ、つい今しがた27番地が完全に焼け野原になったと聞いた瞬間に、完全に醒めた。


 代わりにクロードは別のものに酔いしれていた。


 怒り。自分たちを虐げ続けた屑どもに、ようやく一発ぶちこめるという、興奮と憤怒に酔っていた。


「俺たちは驚かねえぜ。物流に土木建築に廃棄物処理、インフラ維持管理その他エトセトラ! 地べた這いずり回ってこの街を支え続けたのは誰だと思ってやがる、俺たち棄民だ!!」


 ――思い知れ。


「戦車小隊、前へ。ぶちかませ!」


 クロードの指示で二台の車両が前へ飛び出す。


 戦車といったが、こちらも即席戦闘車両だ。

 ダンプカーを装甲化し、荷台にD-30・122ミリ榴弾砲を取り付けた即席戦車。タイヤは普通のゴム製、装甲も20ミリ口径をかろうじて防げるレベルの紙装甲で、お世辞にも戦車と呼べたものではない。


 だが時速60キロで走る総重量50トン近くの代物だ。ぶつかり合いだけなら、装甲車ぐらい軽く跳ね飛ばせる。


 ドリフト停車した即席戦車二台が、前方へ砲塔をぴたりと据える。

 それはまるで軍刀を掲げ突撃を叫ぶ騎兵に似て、向けられたトゥアハデ兵は蒼い顔をして逃げ惑った。


 砲撃。


 轟音とともに、ひしゃげ火球と化した装甲車が、後方車両を巻き込んで吹き飛んだ。


 榴弾砲といったが、使用している弾は成形炸薬弾だ。戦車とだって戦える。


「工兵小隊、前進! 道を開けろ!」


 続いて工兵小隊の即席戦闘車両二台が突入した。

 こちらは除雪用ホイールローダーを装甲化し、改造を施した汎用ブレードを前面に取り付けた戦闘工兵車両だ。


 先ほど吹き飛ばした敵装甲車に容赦なくブレードを突き入れ、人と後方車両ごと脇へ押し流していく。


 大通り中央に、道が拓けた。


「突入!」


 拓けた道めがけて、真っ先に即席戦車一台が盾となり突入。その後にクロードは車両ごと飛びこんだ。

 その後に同じく兵員輸送車が二台、暴走族からなる偵察小隊のバイク野郎どもが続く。殿はもう一台の即席戦車が務めた。


 この戦車には一つ重大な欠点があって、構造上、車両前方に砲塔を回せない。

 三脚式砲架ゆえに本来は360度旋回が可能なのだが、キャビンの方が荷台より高さがあるため、前方に回そうとするとどうしてもキャビンにぶち当たってしまう。


 そのため、走行時は砲塔を必ず後方へ向けることになり、とどのつまり、逃げながら後ろめがけて撃つのが得意な戦車となる。

 殿を担う装甲車として、これ以上の最適解はない。


 最後っ屁と言わんばかりに、戦車が後方めがけて一発ぶちかます。


 その轟音を聞きながら、クロードは運転席で大笑いした。


『ご機嫌だな、おやっさん』


 偵察小隊隊長のギャレットが、興奮した様子で無線を飛ばしてくる。クロードは歯を剥き出しにして笑った。


「おうよ! 俺たちの可愛い改造装甲車のお披露目パーティーだ、興奮しない方が無理ってもんだぜ」


『ああ、まったくだ。やっぱバイクも車も、装甲と立派な逸物がなくっちゃな!』


「違いねえ!」


 そうひとしきり笑って、クロードは笑みを引っ込めた。

 戦闘の興奮に酔いしれているとはいえ、指揮官(ニコラス)からの指示を忘れるほど酔っちゃいない。


「さっき言った通り、ガチでやり合う必要はねえからな。一撃離脱ヒット・アンド・アウェイだ。このまま突き進むぞ。シバルバ領関所を突破して、敵の地上侵攻部隊に肉薄する。それから、ギャレット」


『聞こえてるぜ。偵察小隊は先行、次の獲物を探してこい、だろ?』


「ああ、そうだ。んで、獲物は軍よりトゥアハデ優先で探してくれ。流石に本職相手じゃ分が悪い」


 高機動多用途装輪車両(ハンヴィー)主体で、対地雷仕様のクーガー装甲車が関の山のトゥアハデと違い、陸軍相手となればストライカー装甲車やエイブラムス戦車が出てくる。

 贋作が相手取るには少し荷が重い。


 それなら撃破しやすい奴を優先すべきだろう。そもそも軍には特に恨みもない。


 それに、自分たちの目的は敵の撃破ではない。


 ――所兵科連合部隊だの戦術だの、細けえことは知らねえが関係ねえ。俺たちが暴れまくれば、ニコラスたちがやりやすくなる。


 クロードにとっては、それだけ分かっていれば十分だった。




 ***




「27番地民兵、ロバーチ・ターチィ領を中心にどんどん出現しています。出現箇所、およそ30か所以上!」


「地下水道由来の出現ではありません。地下駐車場、工事現場、アーケード商店街、工場倉庫、集合墓地、ありとあらゆる場所から出現しています。特定は困難かと」


「前線部隊からの報告はまだなのか」


「駄目です、繋がりません!」


「軍より緊急入電! たった今、シバルバ・ミチピシ両領内の陸軍と敵民兵が接敵しました!」


「なんだと……!? そっちにも敵が出現しているのか!?」


「いいえ、シバルバ・ミチピシ一等区関所を突破してきた部隊です。先ほどの艦砲射撃で、混乱に陥ったところを強行突破されたと……」


 次々に上がる芳しくない報告に耳を傾けながら、フォレスターはオヴェドを待っていた。

 正確には、彼が通話している相手からの良い知らせを待っていた。


 だが期待は裏切られた。

 振り返ったオヴェドはスマートフォンを下ろし、蒼い顔で首を振る。


「駄目です、空爆はできません。大統領から軍へストップがかかりました。第二段階の空爆の際に使用した燃料気化爆弾(サーモリック)について、カナダから猛抗議があったようです」


「ヒステリックなポピュリズムに毒された政権というのも困りものだな。カナダ領への被害が一切無いことは確認済みだというのに」


「ですが、これでは海軍の艦砲射撃による火力支援もできません。如何なさいますか?」


「陸軍による砲撃は? すでに戦端が開かれているシバルバ・ミチピシ領はともかく、ロバーチ・ターチィ領方面への攻撃はできるだろう」


「それが……先ほどの空爆で舞い上がった粉塵で視界が遮られているようです。サーモに切り替えても、敵は常に移動しているうえ、街を遮蔽物として最大限活用しているらしく、発見してもすぐアーケードや建物内に潜り込まれてしまうと」


「その建物を砲撃したら、また別の場所から湧いて出てくるわけか」


「はい。加えて友軍が混戦状態に陥ってるなか砲撃することへの心理的負担も大きいようです。すでに現場からは抗議が続出しているとの報告も上がっています」


「厄介だな」


 フォレスターは嘆息し、次いでオペレーターの一人を振り返った。


 敵防空システムを偵察していた、前線部隊からの報告を受け持っていたオペレーターである。


「敵偵察ドローンの撃墜はどうなっている?」


「機銃での攻撃では届かなかったので、現在は地対空および対戦車ミサイルによる撃墜を試みています。ただ敵からの激しい妨害により作業は難航しています」


「残存している前線部隊のすべてを結集させて防衛に当たらせろ。そのドローンが敵防空システムの要だ。あれらが空にいる限り、我々に勝機はない。まずは奴らの目を潰せ」


「はっ」


 オペレーターの返答を聞きながら、内心歯噛みする。


 ――空爆の直後から、地上侵攻部隊を進駐させたのが完全に裏目に出た。前線はトゥアハデと陸軍、五大マフィアとが入り混じって大混乱に陥っている。そこを突いて肉薄し、こちらの火力支援を封じる……見事な戦術だ。


 そもそも第三段階の地上侵攻作戦は、空爆後の掃討作戦が主体であり、ここまで大規模な敵の反撃を想定していなかった。


 たかが民兵ごときが、あの大規模空爆を完全に凌ぎ切り、前線部隊の後背に突如出現するなど、誰が予想しただろうか。


「散々な結果だなぁ、長官殿」


 耳障りな声に目を向ければ、シバルバ一家当主がニヤニヤと頬杖をついている。その他四名は冷ややかな視線を投げるばかりで沈黙したままだ。


「そういう君は暇そうだな」


「お陰様でな」


「そうか。では君に頼むとしよう。これより軍を一時後退させる。代わりに君ら五大が前に出てほしい」


「おいおいおい。俺らにてめえらの尻拭いをしろってか? 俺らマフィアに殿やらせて、軍は退却? 世界最強の軍の名が泣くぜ」


「殿を務めるのは君らだけではない。我らトゥアハデも前に出る。それに、()()()()()()()()()だろう? 27番地民兵(やつら)の巣穴の位置を」


 途端、シバルバ当主が押し黙った。

 すかさずロバーチ当主が舌打ちし、ヴァレーリ当主が「頭も口も軽い猿はこれだから」と毒ついた。


 それが答えだった。


 恐らくだが、五大マフィアは今回27番地民兵が出現した地下ルートの位置を知っている。なぜなら、その地下ルートを掘らせたのは五大マフィアだからだ。


 密輸用の地下道、抗争に備えた隣領への侵攻ルート、武器保管のための地下倉庫。有事の際の脱出路、特区外へ出稼ぎにいく棄民専用の密入国ルート。


 五大マフィアは各々の思惑をもって、27番地に地下ルートの建設を要請した。そしてそのことを他一家に一切共有していない。


「特区の土木建築業を中心的に担っていたのは27番地だ。そして君らは、地下ルートの建設だけ発注して、その目的を彼らに一切話さなかった。それを今、逆に利用された、というのが真相だろう。

 大したものだよ、ブラックドッグ。君は彼らからの受注内容を、他一家に一切漏らさなかったわけだ」


 矛先を向けられた少女ヘルハウンドは最初、口を開こうとしなかったが、双子に首枷を鎖ごと強く引かれて、渋々口を開いた。


「……私は住民のための稼ぎ口を用意しただけだ。それに口の軽い奴はビジネスに向かん」


「君の能力の高さにはつくづく驚かされる。処刑するのが惜しいほどにね。――さて、そういうわけだ。誰が、誰の尻拭いをしていると?」


 フォレスターは五大マフィアを睨めつけた。


「これは君らの義務だ。自己の利益を優先して、我らに重大な情報を提供しなかった君らの責任だ。陸軍の砲撃対象は27番地だけではない。

 戦後の待遇を期待するなら、今すぐ兵を我々に差し出したまえ。それもできぬというなら、この場にいる必要もない」


 フォレスターは指を鳴らし、各一家の席の通信機器のロックを解除させた。五大マフィアが手下どもと連絡を取れるようにするためである。


「おい、その要請は我らに対してもか。ロバーチ一家はすでに、このセントラルタワー周辺を警護しているのだが?」


「君たちはここへいてもらうよ、ルスラン・ロバーチ。君らロバーチ一家が()()()()重火器のおかげで、我が前線部隊が散々な目にあっているようだからね」


 そう返すと、ロバーチ当主は低く鼻を鳴らした。

 この様子だと、やはり放棄したと見せかけて27番地に武器供与をおこなっていたか。……まあいい。


「ドローン部隊と連絡を取れ。敵即席戦闘車両(テクニカル)に対し自爆ドローン攻撃を開始する。シバルバ・ミチピシ領内の陸軍の退却状況は?」


「まだです。予想以上に敵の追撃が激しいようで……」


「ではロバーチ・ターチィ領内の敵車両を標的とする。シバルバ・ミチピシ領内の敵への攻撃は、陸軍後退後に開始する」


 ――巻き込もうものなら、軍全体が撤退しかねないからな。


 元より軍は今回の特殊軍事作戦に消極的だ。早急に、片をつけねばならない。


 フォレスターの命を受け、さっそく議事堂の巨大モニターに映像が投影される。自爆ドローンから送られる、一人称視点遠隔操縦(FPV)の映像だ。


 フォレスターは、オペレーター一群の脇で、VRゴーグルを装着した兵士の一団を見やった。


 ドローンオペレーターが、手元の操作スティックをぐいっと倒す。


 画面が大きく揺れ、景色が急速に下から上へ流れていく。


 上空にて待機していた自爆ドローンが、オペレーターからの位置情報を頼りに急降下を開始したのである。


 宙を漂う黒い噴煙を抜け、地上が急速に近づいてくる。目が回るほど回転する視界に、逃げ惑う敵装甲車が見えた。


 身を隠そうとしたのだろう。敵は手近な建物に逃げ込んだ。


 なにも学んでいない連中だ。自爆ドローンが以前、建物内に潜む連中を消し飛ばしたことを、もう忘れたのだろうか。


 フォレスターは勝利を確信した。


 ドローンは装甲車に急接近し直後、ふつ、と画面が途切れた。成功だ。


「素晴らしい。よくやった」


 フォレスターはドローンオペレーターを労った。

 しかし、VRゴーグルを外した兵士は困惑した様子でこちらを見上げた。


「失敗した、かもしれません。衝突の直前に、水が見えて……気が付いたら地面に激突していました。何が起こったんだ?」




 ***




「敵自爆ドローンの撃墜に成功! やったぞ!」


 車内から歓声が上がる。バートンの横で、店長がほっと息をついた。


「上手くいきましたね」


「今のところは、ですがね。だが実にユニークな発想だ。放水で自爆ドローンを撃墜するとは」


「避難所周辺に限られますがね。射程も短いですし。ですが水なら弾切れになることもありませんから、その点だけは安心ですね」


 それでこの設備か、とバートンは監視カメラ越しに『避難所』の外観を眺めた。


 自分たちが今いるこの施設は、一見するとただの三階建てコンクリートビルである。


 しかしその一階、ガレージ倉庫シャッター上には、舞台照明のような筒状の物体がずらりと並んでいる。

 放水砲の銃口だ。


 あれが自爆ドローンを撃ち落としたのだ。その後は避難所内の兵士が銃撃し、爆破処理した。


「特区の生活用水の大本はデトロイト川です。雪解けの今の次期なら水量も多い。水切れを起こすことはまずないでしょう。それに、27番地には配管工もそれなりにいるので、この手の工作はお手の物ですよ」


 誇らしげに語る店長に、大したものだと舌を巻く。


 屋内消火栓を改造して作った十連装放水砲。

 水圧は14気圧にもなり、45メートル先のドラム缶すら吹き飛ばす。20キロ前後の自爆ドローンなどひとたまりもないだろう。


 これが建物出入口上部にすべて設置されている。それ以外の窓や隙間は鉄筋コンクリートで入念に塞がれ、いざという時は砲台としても機能する。


 加えてこの放水砲は27番地防空システムと連動しており、建物入口から前方30メートル以内に入った瞬間、自動で感知して放水する。

 省人化も兼ね備えた対自爆ドローン防御陣地なのだ。


 これがロバーチ領だけで四か所もある。


避難所(ここ)の建築にはどれくらいの期間で?」


「一日ですね。裏切り騒動で、敵が気を取られている隙に造ったそうです。流石にコンクリートが固まるまで一週間以上はかかりますが、敵がまったく気づかなかったのでなんとかなりました」


「よくそれで済みましたな」


「特区にはまだ、逃げ遅れたギャングや特区企業関係者がいるんですよ。彼らは戦闘を避けるため、ああしてアジトや事務所を要塞化して立て籠もっているんです。それに乗じて紛れ込ませておきました。

 敵もギャングまで相手する余裕はないですし、それに、敵は27番地民兵(われわれ)と地元民の区別がついていません。それを利用しました」


 そこまで言って、店長はバツが悪そうに口を噤んだ。


「すみません。得意げに話すことではありませんでしたね」


「構いません。かつてテロと戦った私も今やテロリスト扱いだ。地域に身を隠すその手法、大いに利用させてもらいましょう。

 それに、総指揮官のあなたが補佐役の私に気を遣う必要もない。堂々としていてください」


「努力します」


 苦笑する店長に笑みを返しつつ、バートンは唸らずにはいられなかった。


 敵の目を掻い潜りながら、限られた資源で打開策を練る。それをたった一日という短期間で実行し、完遂する。

 店長は「なんとかなった」などと事もなげに言っているが、それがどれだけ難しいことか。


 ――民兵など、とんでもない。これはもうれっきとした軍事組織だ。


 自分が今まさに乗っている、この移動式戦闘指揮所にしてもそうだ。

 トラックを装甲化し、荷台部分に通信設備を積み込んだ簡素な指揮所だが、これの替えがあと四台あり、偽物(ダミー)も同時並行で運用されている。


 つまり、端から敵からの攻撃を想定し、対処できる体制になっているということだ。


 多種多様な即席戦闘車両に対自爆ドローン避難所、そしてこの移動式戦闘指揮所。

 これだけの施設と装備を自力で確保できる技術と能力、それを運用できる人材が27番地にはある。


 ――一体どんな鍛え方をすれば、こんな軍隊が育つんだ、ブラックドッグ。


 こればかりは現場指揮官(ニコラス)の功績ではあるまい。彼が特区へ来て一年弱、そんな短期間で為せる代物ではない。

 確実に、統治者(ヘルハウンド)が残した成果だ。


 失業し棄民に堕ちた技術者を保護し職を与え、有事の際の生産力と技能保全に努めただけではない。

 27番地の全住民を、彼女は、最初から兵士として育てていたのだ。


 半農半兵ならぬ、半職半兵とでも言うべきか。

 平時は職人、有事は兵士に、そういう社会構造が27番地ではすでに出来上がっている。


 その証拠に、この街では平時の段階から、各兵種に対応した職を振り当てられている。

 通信兵は電気工事士やエンジニアに、戦闘工兵は土木建築業に、戦車兵は重機を扱う職にというふうに。


 27番地の職種形態そのものが軍事組織の土台となっており、有事の際は諸兵科連合に早変わりするのである。


 さらに驚くべきことに、27番地ではある程度の用兵思想、いわばドクトリンに基づく教育と訓練が、全住民に施されている。


 バートンが一番驚いたのがそこだった。

 住民一人一人が“自分の役目(兵科)を理解し、群れ(軍隊)として行動”できるのである。


 ――他国の正規兵よりよほど指揮しやすい。


 バートンは自らかいた冷や汗に身震いした。

 こちらの軍事的助言が説明なしに理解され、あっさり指揮が通る。それがどれほど凄まじく、恐ろしいことか。


 ただ部隊を設けただけでは、軍隊とは呼べない。兵士を振り分け、己が為すべき役目を認知させて教育し、部隊単位での行動を可能にする。

 そうして初めて軍隊としての組織運用ができるのだ。


 どう戦えば、効率よく敵を倒せるか。どう戦えば、味方の損耗を抑えられるか。


 それらを住民が自ら思考し、計画実行して反省し、次なる行動に備える。PDCAサイクルが分隊単位でも勝手に行われているのだ。


 ウェッブがこれまで27番地の指揮をスムーズに執れたのも、これが理由だろう。


 27番地で行われているPDCAサイクルは、海兵隊で採用されている意思決定法OODA(観測・判断・決心・実行)ループと似ている。

 委任戦術(下級指揮官が上級指揮官の裁量を待つことなく意思決定を行うこと)も当然のように行われており、海兵隊の機略戦マニューバ・ドクトリンに馴染みの深いウェッブと、相性が良かったのだろう。


 これを四年に満たない短期間のうちに、ヘルハウンドは全住民に仕込んだわけである。


 軍事転用可能な職種形態に加え、平時から兵站と生産力を確保し、ドクトリンに基づき全住民を教育・訓練する。

 五大マフィア相手に自立した街の運用をしてきたというだけでも驚きなのに、たかが十代の少女がこれほどの手腕を持ち合わせているとは……!


 ――まさに天才だな。養父の教育の賜物か。それとも、お前たちの入れ知恵か、ラルフ、ゾンバルト。


 ゾンバルトは言うまでもなかったが、そういえばあの問題児も、ちゃらんぽらんそうに見えて意外と座学も得意だった。

 懐かしい二人の後ろ姿を思い出して、一人口元をほころばせる。


 そうなってくると、多少の欲も出てくるというもので。


「防空システムから緊急警報!」


 けたたましい警告音とともに、オペレーターの一人が叫ぶ。


警告形態(アラート)第二番(ナンバー・ツー)、敵地上部隊からドローンへの対空攻撃! 狙われています!」


「ついにきましたね」


「ああ。やはり、真っ先に狙いにきましたな。至極当然の反応だ」


 顔を険しくする店長と真逆に、バートンは忍び笑いを手で隠した。


 こればっかりは戦争屋としての、教官としての性だ。これからやる行為への期待と昂揚に、胸の高まりが治まらない。


 果たしてどこまでやれるだろうか、民兵が正規軍相手に。


 だがもし27番地が、ラルフたちの教育を受けたヘルハウンドによって率いられた組織なら。その中に、今なお教え子が生きているというなら、使わずにいられようか。


 教え子の活躍を見届けたいと願わぬのであれば、教官になどなっていない。


「では、訓練通りにいくとしよう。これより迎撃態勢に入る。脅威度判定(トリアージ)、開始」


「了解! 脅威度判定(トリアージ)、開始します!」


 バートンの命令に応じ、27番地は次なる反撃に移った。

次の投稿日は2月28日(金)です。


戦闘シーンがあまりに長すぎるので、前半と後半に分けました。キリが悪くて申し訳ない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ