サラリーマンの俺の幼馴染みは美少女の女子高生
俺には六つも年下の幼馴染みがいる。
いつも俺の後を追いかけてくる彼女は俺の妹のような存在だった。
そんな俺達は大人に近づくにつれて、会わなくなった。
俺には恋人ができて彼女の相手なんてできなくなった。
俺はサラリーマンになり独り暮らしを始めた。
それから二年、俺は久しぶりに実家へ帰る。
「ただいま」
「えっ、お兄ちゃん? 何で?」
俺は実家の玄関を開けたはずなのに俺の声を聞いて出てきたのは隣の家の幼馴染みの彼女だった。
「こっちが何でって聞きたいんだけど?」
「あっ、私はロンくんのお世話をしてたの」
「あの真っ白なモップみたいな老犬のロン?」
「そうだよ」
彼女はそう言って笑った。
彼女の笑顔は昔と何も変わらない。
「お兄ちゃんはどうして戻ってきたの?」
「今度、恋人を親に紹介しようと思って」
「恋人?」
彼女はそう言ってうつむいた。
「どうしたんだよ?」
俺は彼女の頭を撫でた。
「忘れちゃったんだね」
「何を?」
「何でもないよ」
彼女が言った言葉の意味を俺は分かっている。
でもまだそれを言えない。
彼女には言えないんだ。
◇
それから一週間後もう一度、俺は朝方に実家に帰った。
彼女が制服を来て学校へ行こうと家から出てきた。
「お兄ちゃん?」
「おはよう」
「おはよう。どうしたの?」
「今日は恋人が来るんだよ」
「そうなんだ」
彼女はうつむいて言った。
「今日は卒業式だろう?」
「どうして知ってるの?」
「この日を待ってたからだよ」
「どういう意味?」
「それは卒業式が終わってから教えるから笑顔で卒業してこいよ」
「うん」
彼女は昔と変わらない可愛い笑顔で言った。
俺は彼女の卒業式をこっそりと後ろの方で見ていた。
卒業式が終わり俺は彼女が帰るのを校門で待った。
すると向こうの方から彼女が歩いてきている。
彼女の最後の制服姿を目に焼き付けるように俺は見つめた。
俺に気付いた彼女は走ってくる。
「お兄ちゃん?」
「卒業おめでとう」
俺はそう言って彼女に花束を渡そうとして手を出してすぐに手を引いた。
「えっ、花束くれないの?」
「この花束は卒業おめでとうの花束じゃないんだ」
「それなら何なの?」
俺は彼女の前で片膝をつき彼女を見上げる。
「俺のお嫁さんになって下さい」
「えっ」
「約束だろう?」
「覚えてたの?」
「俺は君の旦那さんになるよ」
「私はあなたのお嫁さんになるよ」
彼女はそう言って俺に抱き付いてきた。
「さあ、家へ帰ろうか?」
「もう帰るの?」
「君を恋人として紹介するんだよ」
「えっ」
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明日の作品の予告です。
明日の作品は可愛い男の子が形も分からないただキラキラする物を探すお話です。
男の子の探し物は何なのか、そして見つかるのか、気になった方は明日の朝、六時頃に読みに来て下さい。