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転生皇女はヤンデレ達と遊びたい  作者: 池田ショコラ
第3章 少しずつ狂う世界
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7-9 無人島

 私は今、違う星にいます。

 同窓会にはいけません。


 VR世界に入って数日が経つと、ハンスは宇宙を創造していた。

 そして最初私達が居た星とは違う惑星を作って、今はそこに住んでいる。


「リア、魔法は禁止ですよ。何回言ったらわかるんですか?」


 魔力をハンスから引き出そうとしても、全く引き出せない。

 ハンスの感情すらも、もう読めなくなっていた。

 

「だって……」


 私はハンスを助けたことを後悔し始めていた。

 こんなやつ、のたれ死ねばよかったのに!!


「必要なもの全部ハンスに頼まないと出てこないなんて間違ってる!!」


 食料にトイレ用品、寝具に雑貨、生活必需品がない星に連れてこられて、それを手に入れるためにはハンスにお願いしないといけない。


 VRの中と言えど、現実世界の体のためにご飯を食べないといけないし、排泄の処理も代わりにやらないといけなかった。

 このシステムは非常用プログラムで、もしVR世界から出れなくなった時のための保険に作ってあったのに、1番最初に使うことになるとは。


「頼めばいいじゃないですか。それだけで手に入るんですよ?」


 それが嫌だから言ってるのに……!!


「だ、だって……!」


 いちいちトイレ用の紙下さいとか言ってられるかっての!

 前の星に戻せ! ストライキだ!!


「仕方ないですね……。じゃあ私と勝負をして勝てたら物資をあげますよ」


 くっ!

 何の無人島企画をやらされているんだ……。

 断れないことを利用して、私を弄ぶ気だな!?


「……やる。ルールは?」


「では、この地図に書かれた地点まで行き、そこに書かれたお題をクリアしてここに帰ってくるまでの時間を競うのはいかがでしょう?」


「……魔法は無しだからね?」


「もちろんです」


 そう言うと、ハンスはパチンと指を鳴らしてジャングルを生成した。

 ちなみに今いる場所は砂浜で、本当に無人島みたいな場所だった。


「私から行ってきますね。ハンデとして歩いて行くとしましょうか」


「はいはい、いいから早く行ってきて」


 ハンスは私に時計を渡してジャングルに入って行った。

 

 はぁ。

 こんなところで1ヶ月も過ごすなんて……。

 服も初日で汚れちゃって、ハンスに出してもらったけど……。


 麦わら帽子に白いワンピース。

 ここに来ることを想定していたかのような服装に殺意が湧く。


 20分程度でハンスは帰ってきた。

 次は私の番。


「あ、そういえば、魔物はいませんが虫はいますのでご注意下さい」


 虫くらいで私が驚くとでも?


「ご忠告どうも」


 私は全速力で走り出した。

 ビーチサンダルだけど、裸足よりはマシ。


 木々の間を抜けて、崖の上の丸太を渡り、洞窟の中までやってきた。

 まるでトレジャーハンターの気分なんだけど、今はそんな場合じゃない。

 洞窟の中には松明とテーブルがあった。

 テーブル上には4枚のカードが並べてある。


「これがお題……」


 カードを手に取って裏返してみると、"この先にある台座の文字を声に出して読んで下さい"と書いてあった。

 前を見ると、人1人分ぐらいが通れる細い道があった。

 松明で照らしながら近くに寄ると、私は絶句した。


「いや……これは……悪意がすぎる……」


 細い道の壁にはびっしりと虫がいた。

 たぶんゲジだね。


 ひとまずしゃがみ込んで考える。

 

「え、これハンス行ったの? ほんとに? 嘘でしょ? 逆に行ってほしくないんだけど」

 

 私はテーブルの方まで戻って、他のカードを捲ることにした。


"この先にある台座の文字を声に出して読んで下さい"

"この先にある台座の文字を声に出して読んで下さい"

"洞窟を迂回した先にある台座の文字を声に出して読んで下さい"


 4分の1で当たりがあったのか……。

 これは引き直してもいいのだろうか?

 不正とかで失格?


「いや、ここまでして私は物資が欲しいのか……?」


 感覚が麻痺してきた。

 ハンスにお願いすればいいだけのことなのに、ゲジの中に私が行く意味は?



 ……そんなの決まってる! ここでハンスに負けるのだけは嫌!!


「うりゃあああああ!!!」


 私は目を閉じて走った。

 体をさわさわと毛が当たる感触がする。


 恐らく2メートルぐらいしか壁はなくて、思ったよりもすぐ抜ける事ができた。


「はぁ、はぁ、私頑張った。世界一頑張ってる」


 時間もないので広場の中央にある台座に駆け寄る。

 ええっと……。



"好きな人の名前を言ってください"



「ハンスのバカ野郎ーー!!!」


 しねっ! しねっ!!

 思わず台座を蹴る。


 泣きそうになりながらも、ここまでやって時間で負けるのは嫌なので走って帰った。


「はぁ、はぁ。私のタイムは……?」


「おめでとうございます、19分でしたよ」


 私は膝から崩れ落ちた。

 こんなに嬉しい事は今まであっただろうか?


「フフフ……」


「腕にゲジがついてますよ」


「いやぁっ!?」


「嘘です。ククク……抱きしめてもいいですか?」


 楽しそうなハンスを私は半目で見た。

 もう少しこう……何というか……手心と言うか……。


「嫌です」


「そうですか……」


 なんでしょんぼりしてんの?

 この流れで断られないとでも思ったの?


「早く物資出してよ」


「わかりました、3日分ですね」


 は……?

 たった3日……?


 私は絶望した。



♢♢♢



 20日が経った。


「アリアの居場所、わかったよ」


 毎日増え続けるデータ量にサーバーはもうパンクしているはずなのに、なぜか動いている。

 ドミニクはハンスの魔力がサーバーを拡張し続けていると結論付けたが、ハンスが出てきたらサーバーが壊れるに違いない。


「これは……」


「音は出ないの?」


「うん、何か伝えようとしてるね」


 画面の中には、こちらを指差すハンスと必死で何かを伝えようとしているアリアがいた。


 レイが読唇術で会話を再現する。


「はやく、ここからだして。それにいってもむだですよ。みんなわたしがまちがってた。なにもまちがえてないですよ。はんすはだまってて」


 アリアがハンスを殴りに行くも、頭を押さえられて手が届いていない。


「楽しそう……?」


 ルヴィアがボソッと呟く。


「はぁ、こっちは大変って言うのに……」


 現在、秘密基地周辺は兵士に取り囲まれている。

 それをドミニクの兵器が睨みを効かせて膠着状態に持ち込んでいた。

 いつドンパチ始まってもおかしくはない。

 

「姫様がご無事そうで何よりです。我々は姫様が出られた後の事を考える必要がありそうですね……」


 3人は頷くと、画面をそっと消した。

 見てはいけないものを見てしまった気がした。


 ひとまず、アリアの冥福を祈るとしよう。

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