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転生皇女はヤンデレ達と遊びたい  作者: 池田ショコラ
第3章 少しずつ狂う世界
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7-5 夜会

 夜になり、続々と参加者がホールに集まってくる。

 その様子をバルコニーから眺めながら、見知った顔を見つけた。


「あ、ルヴィアとドミニクだ!」


 バルコニーからそのまま飛び降りそうになって、魔法が使えないことに気づく。


「危なかった。いつもの癖がでちゃった」


 それに、今日はちゃんと皇女を作らないとまたハンスに鞭で叩かれる。

 私は優雅に歩いてルヴィア達のところまで行った。


「ごきげんよう、皆様。ようこそお越しくださいました」


 私はカーテシーを披露する。

 かなり綺麗に決まった。


「……大丈夫?」


 ルヴィアがドミニクにこそこそと耳打ちしてる。

 いつもなら魔法で聴覚域広げてるから聞こえるけど、今は魔法を使ってないから全く聞こえない。

 珍しくドミニクが眼鏡を掛けている。視力悪くなったのかな?


「あの……わたくしを変な人みたいに扱うのはやめてもらえませんか?」


「アリア、別にまだ始まってないんだから、そこまで畏まらなくてもいいんじゃない?」


 ドミニクはわかってない。

 他の貴族に見られる状態と言うのがもう採点対象であることを。


「いいえ。わたくしはこのままでいきます」


 ルヴィアが笑いを必死に堪えている。

 私だってやりたくてやってるわけじゃないんだからね!

 

「……そういえばドミニクに聞いたけど、体はもう平気なの?」


「ええ。緊急時以外は魔法は使えませんが、体調には問題ありません」


「ふーん。アリア弱くなっちゃったんだ」


 ルヴィアがニヤニヤとした目で見てくる。

 さすがにここで仕掛けてくることはないだろう。


「ラビット様はいらっしゃいますか?」


「神よ、お呼びでしょうか」


 シュタっと音が聞こえそうなぐらいの勢いでラビットさんが現れた。


「ラビット様は、夜会が終わるまで会場の警備をお願いします」


「御意」


 短く答えると、ラビットさんは消えてった。

 多分また呼ぶと出てくるんだろうな……。

 面白いから呼んでみようかな?


「アリア、今日のダンス一緒に踊ってくれる?」


「あ、それ俺が言おうと思ってたのにー」


 ドミニクとルヴィアからダンスの申し込み。

 うーん、あ、そうだ。


「では、会場にわたくしのハンカチを隠しますので、それを先に見つけた方と踊ります。レイ、これを隠してきて下さい」


 私はレイにハンカチを渡す。


「ちなみにわたくしも参加しますので、わたくしが見つけた場合は会場に最後に入ってきた方と踊ります」


「アリアらしいね」


「俺の能力も使っていいんでしょ?」


 ルヴィアの能力は使われると厄介だけど、ドミニクの頭脳があれば探すのはトントンかなと思っている。


「いいですよ。ではわたくしはお先に失礼します」


 一番不利なのは私かな。

 魔法も使えないし、はしたなく探し回れないし。

 テーブルの下とかに隠されてたら詰みだよ。


 会場に入ると、ハンカチを隠し終えたレイが待っていてくれた。


「ありがとうございます、レイ。……あ」


 私は気付いてしまった。

 レイのポケットチーフの折り方が変わっていることに……。

 

 なんともレイらしいと言うか。

 多分あの2人は気付かないだろうな。

 レイはいつでも私に選択肢を残してくれる。


「どうしましたか?」


「わたくし、レイのことが好きですよ」


 ニコッと笑うと、レイもささやかに微笑んだ。

 

「存じております」


 レイも私が言いたいことがちゃんと分かってる。

 これがマブダチってやつかな?


 開演の挨拶があるので、そのまま私はホールの控え室にまわる。


「お兄様……」


 げっ。

 廊下でカイネル兄様とばったり遭遇。


「アリア、綺麗だよ。今日は俺と踊ってくれるよね?」


 そう言って私のハンカチを渡してきた。

 ……会話聞いてたな?

 しかもこれ、クローゼットから盗んできたやつだし……。


 今も私のハンカチはレイの胸ポケットに収まっている。


「カイネルお兄様、不正はよろしくありません。わたくしがわからないとでも思いましたか?」


「……アリアは俺と踊るべきだと思うよ? その執事がどうなってもよければね」


 私は後ろを振り向く。

 レイがお兄様の私兵に捕まりそうになったところを華麗に脱出して姿が見えなくなった。


「どうしてアリアは俺に冷たくするのかな……?」


「カイネルお兄様、やりすぎです。わたくしは」


「あの執事が好きなんだよね? アリア……いけないよ?」


「違います! 好きは好きでもこれはお父様やお姉様が好きな気持ちと同じです!」


 カイネル兄様は自分の世界に入っているようで、聞いているのか聞いていないのかわからない。

 これがこの国の皇太子?

 私のせいでこんな風になっちゃったの?


「……なんだ。そうならそうと言ってくれればいいのに!よかった。まだどこへも行かせないからね?」


「わたくしはどこへも行きません!」


 カイネル兄様は壊れてる。

 私は走り出した。

 控え室にいるお父様のところへ急ぐ。


「お父様、カイネルお兄様が……」


 扉を開けると、咳き込むお父様に従者が寄り添っていた。


「アリアーデ、扉を閉めてくれ」


 言われた通り扉を閉めて、お父様に近寄る。


「お父様、大丈夫ですか?」


「ああ……最近調子が悪くてな」


 嫌な予感がする。

 でも証拠はない。


「ご無理をされてはいけません。今日の挨拶は取り止めては……」


「アリア。このくらい心配せずとも大丈夫だ。時間までお前もゆっくり休むといい」


 そう言われて自分を見ると、少し汗をかいていた。


「わかりました。化粧直しをしてきます」


 私はリーンがいるパウダールームまで歩いた。

 中に入ると、リーンが化粧道具を片付けているところだった。


「リーン、ごめんなさい。少し汗をかいてしまって」


「アリア様、またどこかで勝負でもしてきたんですか?」


 なんか、拾い食いしてきた犬みたいな言い方だな……。


「ちょっとお兄様がおかしいんです。ゲームでは何も起きてないですよね?」


「何もなかったと思います。ストーリー自体に絡むことはなかったですから……」


 だよねぇ。

 やっぱり元のアリアーデがおとなしい子だったから、兄様の欲求も満たされてたに違いない。


「わたくしがなんとかするしかなさそうですね」


「アリア様、私にできることがあれば何でも仰ってください!」


 協力してくれる人がいるって頼もしい。

 ひとまず、この夜会を何事もなく終えてからだね。


「ありがとう。頼りにしてますよ」



♢♢♢



 ラビットはホールの屋上で同僚と対峙していた。


「ラビットさん、あなたにカイネル殿下より逮捕状が出ています。それはそうでしょう! 何も仕事をせずどこに行ってたんですか!?」


「シュミットさん、私は神の遣いであって、この国に忠誠を誓ってるわけではありません」


 シュミットはその言葉を聞いてさらに怒る。


「何言ってるんですか!! 戻ってきてくださいよ!!」


「私は私の決めた道を行きます。もう誰にも邪魔はさせません」


 話しても無駄だと感じたシュミットは、剣を抜く。

 ここでラビットを止めないと、ラビットは牢獄に送られてしまう。

 そうなる前に、シュミットはなんとしてでもラビットに改心してほしかった。


「お覚悟を!!」


 そうして屋上では静かに戦いが始まった。


 

 夜会はもうすぐ開演する。

 様々な思惑が交差するこの夜会で、1人城壁の上で目を覚ました者がいた。


「おや、もうこんな時間ですか。今から支度をするとなると……遅刻ですね」

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