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転生皇女はヤンデレ達と遊びたい  作者: 池田ショコラ
第3章 少しずつ狂う世界
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6-5 君との証

 私はレガリウスの領地に行く前に、ハンスの所に寄っていた。


「私の眼、あるんでしょ?」


「何のお話ですか?」


 すっとぼけても、レイの魔眼が私の中に入っている以上、私の眼がどこかにあるはずだった。


「私に返して」


「あぁ、コレですか? 欲しいのなら言うことがあるのでは?」


 ハンスは小瓶の中の液体に浮かぶ私の目玉を見せつけてきた。


「……もともと私のなんだけど」


「今は私の手元にあります」


 ハンスはニヤリと笑う。


「あーもう! いくら払えばいいの? 何が欲しいの!」


 ムカつくニヤケ顔をみるくらいなら、さっさと対価を払って帰りたい。


「おやおや、もう少しやり取りを楽しんではいかがですか? そうせっかちではまとまる商談もまとまりません」


「た、楽しむ? え、無理やり奪っていい?」


「ククク。あぁ、落としそうですねぇ……」


 わざと小瓶の持つ指を2本にして揺らしている。


「キィー!! もういい!」


 瞬間移動で小瓶をかっさらって、皇城の門へと転移した。

 そして、馬車移動になるのだが……。



 ♢♢


「今から私の眼をレイにあげる。ちょっと髪をどけるよ」


 戦闘で乱れていたレイの長い髪を耳にかけて、眼帯に触れる。


「私が外します」


 レイは眼帯の紐を外して、眼帯を手のひらの上に乗せて燃やしてしまった。


「もう、必要ありませんから……」


「うん」


 契約魔具から小瓶を取り出して、レイに持たせる。


「私とレイは今日からお互いの右目を通して視界を共有できるようになる。もう、後戻りできなくなるけど、それでも大丈夫?」

「はい」


 レイは目を閉じた。

 私はレイの右目に触れて、まぶたをそっと開ける。

 長い銀色のまつ毛が指に触れて、何もない眼窩が私の心を締め付けた。

 小瓶から私の眼を取り出して、レイの眼窩に押し込んでいく。


「あ、視界の左右差は前と同じだから、また頭痛が酷くなるかも……」


 しまった。言い忘れていた。

 それでも、レイはフフっと笑った。


「この痛みは、前よりずっと私に力を与えてくれます」


 目を開けたレイの瞳は私の瞳と同じ赤色だったから、金色に戻してあげる。


 レイが、ふと私の髪の毛に触れた。


「少し、後ろを向いて下さい」


 レイは適当に結んでいた私の髪紐を解いて、櫛で梳かしていく。私は胸元に付けていた髪留めをレイに渡した。


「姫様、ありがとうございます」

「うん」


 沈黙が流れる。けれど、心地良い。

 いつもの編み込みに戻って、私はにっこりレイに微笑む。


「それじゃ、帰ろっか」

「はい」


 私はレイと手を繋いで、城壁跡へと転移した。





 ハウワードに魔王が出たこと、そして魔王が逃げたことを伝えた私たちは、クレバンス伯爵邸へと戻った。


「お帰りなさいアリアーデ様……レイ、どうしたんですか!?」


 ララが出迎えてくれたのと、同時にレイが倒れた。

 大怪我を負ったのに無茶をさせすぎた。


「皇都に飛ぼうかと思ったんですが、レイがどうしてもと言うのでこちらに来ました。ベッドを用意して下さい」


 昔使っていたというレイの部屋にレイを寝かしつける。

 何もない質素な部屋だった。


「レイ! ああ、なんだ切り傷かい」


 リリーが慌てて部屋に入ってきた。

 レイの傷を見ると、ため息をついて治療魔法を使う。


「リリーさんも治療魔法が使えたんですね」

「戦闘しながら治療できたら、ずっと戦えますからね。皇女殿下、この度は申し訳ありません。レイを助けていただいてありがとうございます」


 立ち上がって頭を下げたリリーに、私は首を振る。


「違うんです。レイが助けてくれたんです。魔王を退けたのはレイですから」


 リリーは驚いた顔で眠っているレイを見た。


「そうでしたか。眼帯はどうしたのですか?」

「レイには魔眼が必要でしたから、私が魔法で与えました」


 私がそう言うと、リリーはもっと驚いた。


「そんなことが……可能だったとは……」


 まぁ嘘である。

 でも機能的には変わらないからこれでヨシ!


「これで私の従者がレイであることに、誰も異論はないですよね」

「ええ、まぁ……」


 やり取りを見ていたララが笑う。


「ははっ母さん、レイはもうウチには戻らないと思いますよ」

「わかってるよ。この子がそう選んだなら、私はもう止めないよ」


 リリーとララが部屋から出て行って、レイと2人きりになる。


「はぁ。レイのバカ」


 寝ているレイのほっぺをツンツンしてやった。


 翌日。

 目が覚めたレイが最初にしたのは、父のジノと話すことだった。

 私も一緒に行こうとしたらレイに止められた。


 ジノの部屋から戻ってきたレイは、もうクレバンス伯爵家には戻らないと伝えたそうだ。

 私を信じ続ける、と。


 まぁ、見ようと思えばその様子を右目から見れたけど、その必要もないくらい、レイは清々しい表情をしていた。


「今度こそ、帰ろっか。私たちの家に」

「はい、姫様」


 見送りに来たクレバンス伯爵一家に手を振って、私たちは皇都へと帰った。

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