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転生皇女はヤンデレ達と遊びたい  作者: 池田ショコラ
第3章 少しずつ狂う世界
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5-9 恋とか、愛とか

 この世界は乙女ゲームだ。

 私の知らない、ゲームの世界だ。


 恋、恋愛。

 そんな感情を今まで持ったことがあっただろうか。

 ああ、そうだ。

 あれは私が中学生の時だった――。


 学校でクラスメイトから話しかけられた。


「ねぇ、山吹君の家に入り浸ってるって本当?」

「うん。対戦ゲームで私に負けたのが悔しいからって面白いよね」


 男子は面白い。

 ゲームで勝てば勝つほど悔しがってまた戦ってくれる。

 一方、女子はよくわからない恋の話やどうでもいい痴話話、ファッションのことをくだくだと話す。

 そんなことより、ゲームした方が楽しいのに。


「はぁ、やっぱりそうなんだ。かなちゃん、泣いてたよ? 莉愛のせいじゃん」

「???」


 ほら、わからない話をしてくる。

 

「澄ました顔で黙ってんじゃねーよ!」

「いたっ」


 叩かれた。

 心底うんざりする。

 恋とか、愛とか、そんなのどうだっていいのに――。


 少し経って、山吹君から突然告白された。


「莉愛、オレたち付き合わねー?」

「……は?」


 どうしてそうなるの?

 さっきまで一緒にゲームしてたのに。


 恋とか、愛とかのせいで、私は1人になった。

 でも、その代わりにネットの友達が増えた。

 私のことを応援してくれる人も増えた。

 そんな感じでゆるく生きていければよかったのに。


『姫様は、私を愛して下さいますか?』


 レイの言葉が頭に響く。

 まただ。

 また恋とか愛とかが私を邪魔する。

 でも――本当に邪魔なのだろうか。

 

 ♢


「お加減はいかがですか?」


 いつもと変わらないレイの声が聞こえた。

 濡れていた瞼をこすって、起き上がる。

 レイがベッドに寝かせてくれていたようだ。


 目を開くと、物がブレて見えた。


「おぇっ」


 予期していたように、私の吐瀉物をレイの用意した小さな容器が受け止めた。


 気持ち悪い。

 気持ち悪い。


 目が、おかしい。

 魔力が魔眼に吸われている。遠近が合わない。見えない物が見える。


「姫様ならば、必ず使いこなせるはずです」


「はぁ、はぁ……」


 うるさい。

 涙が、止まらない。


 吐き気と、頭痛と、心の痛みと。

 私が放置していた、この世界(乙女ゲーム)の根本的な遊び方の代価が。


「レイの魔眼……」


 レイの姿はブレている。

 どんな表情なのかもわからない。

 けれど、その右目に眼帯がついていることはわかった。


「申し訳ござ――」

「黙って」


 レイはこの痛みとずっと一緒だったんだ。

 この気持ち悪さと、苦痛をずっと耐えてたんだ。

 ずっと、気付かなくてごめんね。


「私は大丈夫だから」


 魔眼だけを開いて、前を向く。

 この世界には色がたくさん溢れている。

 気持ち悪くなる原因は、左右の視界差。

 だとしたら、私がこの魔眼を左目にも創ればいいんだ。


 今ならわかる。

 魔力もある。

 この魔眼と同じ視界にすることくらい、難しくない。

 魔力を眼に込めて眼を創り替える。


「ああ、やはりハンス様が仰った通りなのですね」

「ハンスが、なんて?」

「ハンス様は、私の魔眼を姫様に与えれば、自ずと同化させるので心配いらないと」


 全て把握済みってわけね。

 クソが。

 

 新しい眼が2つ。視界差がなくなったのにまだ気持ち悪さが治らない。

 すぐに慣れるのは無理そうだった。


「そんな、いかにも私が悪いです。みたいな顔しないでよ。レイが選んで、レイがしたことでしょ……。私の気持ちなんか考えずに」

「……」


「レイと初めて会った時。無表情な子だなって思ってたよ。何考えてるんだろって。今はさ、いろんなレイの顔が見えて、嬉しかったんだよ。だから、だから……」


 こんなやり方じゃなくたってよかったじゃない。


「アリア! 大丈夫!?」


 突然、寝室の扉が開いて入ってきたのは、ドミニクとリーンだった。

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