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転生皇女はヤンデレ達と遊びたい  作者: 池田ショコラ
第3章 少しずつ狂う世界
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5-6 休暇

 魔法戦は私が敗北を宣言して終わった。


 風邪を引くといけないからと、リーンにお風呂へ誘われた。

 お湯に浸かっていると心が少し落ち着いてきた。


「アリア様。ゲームの中で、一時的にレガリウスの魔眼と同じ効果が得られるアイテムがあったのを思い出しました。ただのブーストアイテムだったんですけど、たしか説明文にそう書いてあった気がして」

「それどこにあるの!!?」


 リーンの肩を揺さぶる。

 今私に必要なものだ。

 リーンは私のあまりの剣幕に若干引きつつ、答えてくれた。


「リンドール火山です。たしかレアポップのドラゴンからドロップしたような気がします」

「わかった」

「アリア様、無茶しないでください……。今のアリア様を見ていると……いえ、なんでもありません」


 悲しい顔をしたリーンが目を伏せた。

 ごめんね、リーン。まだ足掻きたいんだ。

 頑張りたいから……。


「大丈夫だよ。ありがとうリーン。私、ちゃんと落ち着いてるよ」

「はい……」


 リーンの肩に頭を預けて目を閉じる。

 大丈夫。必ず勝てるから。



「リーン、この服薄くない? 大丈夫?」


「リンルードの伝統衣装にアレンジを加えたものなので、全然大丈夫です!」


 言うなればアラビアン衣装、さらに言うなら踊り子みたいな衣装。


 今、私はリンルード行きの列車にレイとリーンと一緒に乗ってる。

 ラビットさんは近くにいるけど、私に見えないところで護衛に専念してくれてる。


 リンルードは一年を通して温暖な気候で、火山も近くにあるから温泉もたくさんあるらしい。

 今回は旅行じゃないから寄らないけど。


「可愛くはあるけど、ちょっと露出高めなのが気になるところ……」


 私の服の好みは露出少なめ。

 ミニスカの絶対領域は好きだけど、肩とか出すのは苦手って感じかな。


「レイさんも可愛いと思いますよね!?」


「え? ……いきなり私に振らないでください。姫様はどんなお姿でもお似合いになるのは当たり前でしょう?」


 レイが珍しく考え事してた。

 と言うことは……。


「ねぇ、本当にリンルード火山にいるドラゴンって倒して大丈夫なの?」


「ご心配に及びません。文献によりますと、リンルードの火山竜は倒しても数年で復活するそうです」


「うーん、祟りとかなければいいけど……」

 

 リンルード火山に1体しか存在しないとされる伝説の竜らしいけど、私はその竜に用事がある。

 

 ハンスも一緒に来ようとしたけど、全力で断った。

 なんなら土下座もした。

 なんで断られているかわからないっていう表情をハンスにされた時には、怒りそうになった。

 なんで休暇なのに、休暇を取る理由になった人と一緒にいなきゃだめなんだよ……。


「はぁ、ハンスが言うことを聞いてくれて良かった。もし一緒に行くハメになってたら、また1人で列車旅するとこだったよ……」


「アリア様、フラグ立てるのはやめましょうよ……」


 え?

 いや、まさかね?

 土下座もしたんだよ?


「大丈夫だよ。今出てこないってことは、もう出てこないよ」


 これがワーカホリックってやつ?

 休みのはずなのにハンスのこと考えてるや……。





 今日の宿と、改めての許可取りのためにパールメント公爵家の屋敷についた。

 ルヴィアの別荘と違って、広い敷地に皇城に負けず劣らずの立派な屋敷が建っていた。


 パールメント家の執事に案内されて、ルヴィアの父であるジャヴィアの執務室に通された。

 

「ルヴィアのお父様、ごきげんよう。今日はこちらでお世話になりますね」


「アリアーデ殿下、ようこそお越しいただきました。そちらにお座りください」


 私はソファに座る。

 ドラゴンの件とか色々と確認しないとね。


「既に連絡は入っていることと思いますが、明日にもリンルード火山の火山竜を倒しに行こうかと思っております」


「承知しております。火山の様子も変わりなく、問題ないかと」


 よかった。

 もし火山竜倒して噴火とかしたらって考えてたけど杞憂みたい。


「もしよかったら、ルヴィアに会っていって下さい」


「もちろんです」


 ジャヴィアさんと別れてルヴィアの部屋に行くと、とてもカオスな状況になっていた。


「2人とも、何遊んでるの?」


 ラビットさんはルヴィアの首に剣を当てていて、ルヴィアはラビットさんの首の周りに針をたくさん浮かせていて、そして10人の女の子達がそれぞれ武器を手にラビットさんに突きつけていた。


「神がいらっしゃる部屋に、不穏な魔力を感じました。これが何かわかりませんが、不意打ちに違いありません」


 あー、なるほど。


「アリア、コイツ頭おかしいよ。処分した方がいいんじゃない?」


「ラビットさん、剣を下ろして。大丈夫だから」


 ラビットさんが剣を下ろすと、ルヴィアと女の子達も武器を下ろした。


「ルヴィア、新しい技覚えたんだ」


 無数の針が部屋を舞ってルヴィアの手のひらに帰っていく。

 支配の魔法、やっぱり危険だな……。


「環境支配。どう? すごいでしょ?」


 荒れていた部屋が、家具達が勝手に動き出して綺麗に整っていく。

 魔力を周囲に放って、その空間にある物を支配すると言ったところかな。

 戦う場所さえ選べば私の敵ではないけど、この部屋の中だと今は少し不利かな。

 

「いいね。私もその能力、欲しいくらいだよ」


 身長が伸びたルヴィアは、私より背が高くなっていた。

 ルヴィアは嬉しそうに笑うと、私以外を能力で部屋から追い出した。


「アリア、久しぶり! 俺、今のアリアだったら好きにしちゃえるよ?」


 私に無邪気に抱きついてきたルヴィアは、魔力を込めて私を支配しようとした。


「動きが遅いんだよね……」


 既に私の分身がルヴィアの背後を取って気絶させていた。

 はぁ、ルヴィアは基本的にスペックが高いけど、それにあぐらをかいて能力ばっかり高めようとするのが良くない。

 重要なのは基本ステータスなのに、それを理解してないなら私の敵じゃない。


「みんな、入ってきて」


「ルヴィア様!!」


 女の子達がルヴィアに駆け寄る。

 そういえば、この子達ってルヴィアが助けてそのまま着いてきてた子だっけ。

 報告書を読んだだけだけど、多分そう。


「リーン、ルヴィアを起こしてあげて」



 ひとまず落ち着いて話し合いできる状態にしないとね。

ほんと、ルヴィアのスキンシップはいつも激しめだから困るなぁ。


「レイ、お茶の用意お願い。ルヴィア、久しぶりだね。相変わらずそういうの、私だから良かったけど他の人にしちゃ駄目だと思うよ?」


「……アリアって変わってないね。他のやつにするわけないじゃん……」


「それで、この女の子たちはルヴィアが鍛えてるの?」


 女の子達がそれぞれ違う武器を持ってるし、まあまあ動けそうだった。


「あ、そうそう。アリアの秘密基地計画に売店ってあったでしょ? そこの従業員をやってもらおうと鍛えてたんだけど、俺そういうの苦手なんだよねー」


 それはすごい助かるけど、適材適所ってものがあるよね。それに鍛える必要があるのかもわからないけど……。

 まあいいや。

 やるなら徹底的に鍛えよう。

 

「ラビットさん、この子達鍛えてあげて。期日はルヴィアがクランツェフトに帰ってくるまでで」


「拝命いたしました」


「あ、あとルヴィアもついでに鍛えておいてね」


「え゛っ!? 俺も!?」


「そうだよ。もっと強くなってもらわないと困るし……」


 これはチームだからね。

 チームメイト同士で鍛え合うのは基本でしょうに。


「わかったけどさぁ……アリア強くなりすぎだよ……」


 何当たり前なこと言ってるんだろう、ルヴィアは。


「あと、魔昌石に魔法を移して欲しいんだけど出来そう?」


 早くVRしたいけど、こればっかりはルヴィアがいないと始まらないんだよね。


「……それは俺がクランツェフトに戻ってからやる。あーあ。なんか自信無くなっちゃうんだけど」


 やってくれるならいっか。

 やってくれなかったら、やらせるところだったね。

 

「ルヴィアは強いからってそれで安心しちゃダメ。強い能力には強い意思が必要だからね?」


 がっくしきているルヴィアに私は少し笑う。

 強くなれる余地があるって素晴らしいと思うけどな。

 いつだって、何が起こるかわからないから面白いのに。

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