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転生皇女はヤンデレ達と遊びたい  作者: 池田ショコラ
第3章 少しずつ狂う世界
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5-2 愚痴と穴掘り

 ハンスの家庭教師が始まって数ヶ月過ぎた。


「ねぇリーン。私、とうとう分身と透明化が使えるようになったよ……」


「えっ、大丈夫ですか……?」


 全然大丈夫じゃない。

 ハンスの授業中に、私がだんだん透明になっていってるのをハンスに指摘されたし、いつのまにか分身が横で寝てたりした。


 最近は、夜寝る前にリーンに愚痴を聞いてもらうのが日課になっている。


 ハンスの授業は、職業遊び人の私には負荷が重い。

 負けたくないから毎日全力で問題を解いてるけど、解けば解くほどハンスは頭がおかしくなって、最後にはこれが愛ですか?って自問自答し始めていた。


「週休2日はダメだって! 遊び足りないよ!」


「いや、まだ遊ぶんですか……?」


 分身が使えることによって、もう1人の私は常に遊んでいる。

 だけど、本体の私も遊びたいんだもの。


「息抜きは必要でしょ。もう鞭を避ける遊びでもいいからさ」


「ゲームでは鞭なんか持ってなかったんですけどね……いっそのこと調教師にでも転職したほうが……あっ」


 リーンはそれから黙り込んでしまった。


「どうしたの?」


「いえ、ハンス様は恐ろしく耳が良いので、この会話が聞かれている可能性があると思いまして」


 え、それもっと早く言ってよ。

 私今までリーンに愚痴としてハンスの悪口言いまくってきたんだけど。


「ま、本人から何も言われてないし、多分大丈夫でしょ」


「そうだといいんですが……」


 それに、ハンスは悪口とか平気そうだしね。

 メンタルお化けだし。


「そーだ。結界って作れないのかな? 盗聴防止結界とか。イメージする概念の問題でここではあんまり見ないけど、ゲームの定番じゃない?」


「どのような効果を持たせるかで難易度が変わるらしいですが、私が教えてもらっている治癒魔法の先生は、浄化魔法の結界を作ってましたよ」


 なるほど、浄化魔法を広範囲展開したら多分簡単に再現出来そうだけど、今の私には必要ない魔法だね。

 

「うーん、音は振動だから、振動を抑える結界なら作れるかも? イメージは防音室で音を吸収する感じで」


「なるほど、って言っても私には難しいですけど……」


 配信中のあの防音室の中の空気感。

 早速やってみよう。


「リーン、今から声出すから聞こえるか教えてね」


「えっ、試すのはや」


 リーンの声が途中で聞こえなくなった。

 あ、そうか。

 双方向で聞こえなくなるのか。


「リーン、聞こえるー?」


 ジェスチャーを交えて合図すると、首を振って教えてくれた。

 お、成功みたい。


「ハンスのバーカ! 鬼畜腹黒エセ眼鏡ー!!」


 ふぅ。

 スッキリした。


 防音結界を解くと、リーンのか細い悲鳴が聞こえた。


「どうしたの?」


「あ、あの……窓の外に何か見えた気がして……」


 え、心霊現象?

 私は窓に近付いて外を見るも、何もいなかった。


「私、倒せないお化けは嫌いなんだよね。触れられないとかチート使いだし、せめて現れたら睨もうと思ってたけどもういないみたい」


「……お化けをそんな風に言う人初めて見ましたよ」


 ふふっと笑ったリーンは、もう怖がってない。


「今日は一緒に寝る? 明日休みだしね」


「いいんですかっ!? 嬉しいです!」


 怪しげな現象があった日におちおち1人で寝てられないよ……。

 べ、別に怖いわけじゃないし。

 幽霊なんて存在しないよ。

 リーンが見たのは多分木が揺れた影とかでしょ?


「こういう風の強い日はお泊まり会だよね」


「そんな決まりありましたっけ……?」


「うんうん。あ、そう言えば、リーンが作った服また補充させて?」


 いつもリーンが作ってくれた服を魔法で複製してるけど、そろそろ新しいレパートリーが見たい。

 

 と言うことで、寝室にやってきた。

 寝巻きに着替えた私たちは、リーンの作った服を鑑賞する。


「今回はハンス様との戦いを想定したいい感じの服が出来ましたよ!」


 そうして見せてもらったのは、黒いスタイリッシュな軍服でカッコいい服だった。


「や、やばいカッコイイ……。特にこのヒールがいいよね。踏んづけたら痛そう。でも、これ大人向け?」


 リーンの作る服は全体的に子供用じゃない。


「私はアリア様がゲーム開始時点の16歳くらいになった時を想定して服を作ってます!」


「まぁサイズはこっちで調整出来るけど……」


 なぜ今の私に合わせてくれないんだ……。

 リーンは私の将来の姿を知ってるから、きっとその年齢になったら似合うんだろうけどね。


「あと、他に忍者、巫女、セーラー服、ゴスロリ、あと水着も用意してあります!」


 コスプレ大会じゃないか……。

 まぁ、いつもお世話になってるから着るけどさ。


「でも水着かぁ。嫌な思い出しかないなぁ……」


 水上都市での出来事を思い出す。

 最近お姉さまは諸外国との外交で滅多に国に帰ってこないから、そう言う意味では安心だけどね。

 

「もう、そうやっていつも誤魔化すんですから! いつになったら着てくれるんですかぁっ」


「やりたい事やってると、なかなかね……」


 この前はピクニック用の服を作ってくれてたけど、ピクニックはやってない。

 ……お花見とかしても食べたらすぐ撤収しそうだし。

 多分何かしらバトルに持ち込んで戦いになりそうだから、リーンの望むものは永遠に得られないんだろうな……。


「アリア様とお花見デートしたかったのに……」


 しょぼんとしたリーンにかける言葉が見つからない。

 お花見レース、お花見大会、お花見コンクール……。

 だめだ、デートって何すればいいの……?


「つまり、私がお花見スポットで大会を開くから、リーンはそれを見て楽しむ……?」


「そんなのデートじゃないですよぉ!!」


「ぐわっ」


 いろいろ考えていたら、リーンに枕を投げられてもろに顔面受けしてしまった。


 

 休みの日。

 私の秘密基地計画は順調に進んでいた。

 秘密基地の設計図も暇を見てドミニクと一緒に作っている。


 そして何より、数ヶ月前に掃討された反乱分子のおかげで、父から王族のみ知る秘密の抜け道を教えてもらっていた。

 私の屋敷の1階談話室の暖炉から行けるその道は、地下に繋がっていていろんなところへ行く事ができる。

 ちなみに談話室には、卓球台、ビリヤード台、雀卓など場所を取るゲーム台が置いてある。


 そして今、私は地道に地下の抜け道の拡張工事を行なっていた。


「ふふふ……これを市民街まで繋げて秘密基地直通にするのだ」


 もちろん防音結界を張っているので工事の音は伝わらない。

 完全に私だけが知る道になる。

 

 レイ達を欺くために、分身が今ドミニクと遊んでいるのでバレる心配もない。


 何年かかるかわからないけど、私はやり遂げる……!

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