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転生皇女はヤンデレ達と遊びたい  作者: 池田ショコラ
第2章 ここは私の知らないゲームの世界
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3-5 魔法珠

「姫様、これは何事でしょうか?」

「何って、見ればわかるでしょ?」


 今私はドミニクとルヴィアとお茶をしている。

 さっきのかくれんぼ騒動の後に中庭に戻ってから、レイと合流して机と椅子とお菓子を用意させた。


 大人達はパーティで楽しく歓談してるので、子供組はティータイムと洒落込む。

 ……場の空気は氷点下まで冷え込んでいるけど。


「ドミニク様はまだわかりますが、どうしてルヴィア様が?」


 レイは目を細めてルヴィアを見た。

 個人的にはルヴィアが透明化の魔法が使えるようになった経緯を知りたかった。

 あの魔法は、自身が消えたいと願わないと習得できない魔法だから。

 私も1回試してみたけど、気配くらいしか消えなかったし、完璧な透明化なんて……。


「どうしてって、さっきかくれんぼした仲だよ? そりゃあ仲良しだよね?」


 ニコッとルヴィアに微笑むと、机に肘をついていたルヴィアはべーっと舌を出してきた。


「そういえば、その宝石ってルヴィアのお父様が着けていらっしゃったのと同じなの?」


 さっきパーティ会場にいた時に、眼に宝石が嵌っている人がいたから多分その人がお父さんだと思う。

 色んな人に声をかけられていたから挨拶は出来なかったけど。


「答えなきゃダメ?」


 ルヴィアが渋っていると、隣のドミニクが答えを教えてくれた。


「ルヴィア・パールメント9歳。パールメント公爵家唯一の跡取り息子。リンルードの宝石と言えばアリアもわかるでしょ? 旧リンルード王家の血筋の子供は全員、リンルード火山から採れる良質な魔法珠を産まれた時に体のどこかに埋められる。埋めた後に魔法珠はその子供の素質に合った魔法を宿すと言われている」


 ルヴィアは露骨に嫌そうな顔をしている。


「……よく知ってるねー。盗み聞きが得意なのかなぁ?」

「僕は宰相の息子だよ? 把握してるに決まってる」


 この2人は相性悪いね……。

 と言うかレイも黙ってるけど絶対仲悪いよね。


「魔法珠かぁ。ルヴィアの魔法珠は何の効果があるの?」

「……」


 答えてくれないか。

 まぁ、自分の手札を見せるのは良くないもんね。


「どうせろくでもない魔法でしょ。アリアが気にすることじゃないよ」


 はぁ、ドミニクもどうしてこう挑発するかなぁ。


「……姫さま手、出して」

「ん? これでいい?」


 手をルヴィアの前に出すと、ルヴィアはその手を取って私の手の甲をペロリと舐めた。


「うわひゃい!」

「姫様!」

「アリア!?」


 ドミニクは立ち上がってルヴィアを抑え付け、レイは私の手をハンカチで拭いている。


「えと、私は何もなってないから大丈夫だよ。2人とも落ち着いて?」

「俺の魔法、知りたかったんでしょー? 姫さまが悪いんだからね」


 当のルヴィアは椅子にふんぞりかえっている。

 舐められた手は何事もなくそこにあるし、痛くも痒くももない。

 あれ?

 痛くも痒くもなければ感覚もない……?


「俺の魔法珠は"支配"。姫さまの手、何も感じないよねー?」


 嘘でしょ……?


「姫さまの手の感覚、触覚、痛覚。それと……」


 私の手が勝手に動いて、ティーカップを掴んで飲ませようとしてきた。


「あら、これは便利かも」

「姫さま正気ー?」


 全自動お茶飲み機ならぬ手。

 って、現実逃避してる場合じゃないや。


「だって、魔法が解けないなら楽しむしか……」


 はっ!

 閃いた!

 これは悪魔的発想か!?

 ……この魔法を使えば、バーチャルリアリティがより現実的になるッ!


「すごいよルヴィア! これは歴史的発見だよ!」

「ア、アリア……大丈夫?」

「脳まで洗脳されて……」


 ドミニクとレイはそれぞれ呆れて心配している。

 ルヴィアは褒められ慣れてないのか、固まっている。


「ドミニク、試作してたゲームあるよね。それにこの魔法を組み合わせると、仮想現実が可能になるんだよ……!」


 ドミニクは私の話を聞いて考えだした。

 さすが、私の優秀な専属魔具師。


「ルヴィア、さっきはごめん。その魔法は素晴らしいよ。是非力を貸してくれると嬉しいんだけど」


 突然ドミニクに褒められたルヴィアは顔を真っ赤にさせて俯いた。


「俺、この魔法で褒められたの初めて……。いつも怖がられて、父さんですらまともに話してくれなくなったのに……」


 それが透明化魔法の原因かな……。

 それにしても支配の魔法か。

 接触がトリガーになるものだから、周りの人はルヴィアに近づかなくなるのは容易に想像できる。


「ルヴィア、私はあなたのこと怖くないよ。支配の魔法だけじゃなくて、他の魔法の練度もすごいし、相当努力したんだなってわかるもん」

 

「姫さま……」

 

「アリアって呼んで? 私はあなたを必要としてるし、これから楽しいことがいっぱい待ってるから!」

「……ばーか!」


 涙を浮かべそうになったルヴィアは精一杯の罵倒をして走り去っていった。

 私の手はと言うと……無い胸を揉んでいた。

 遠くから「ひんにゅー!」と声が聞こえてきたけど、まだ私は9歳だぞー!!

 これから成長するんだー!


「姫様、やはり始末致しましょう」

「はぁ、レイ落ち着いて。ドミニク、今のゲームはそのままで、新しいゲームの仕様書を書くからまたお願いね?」

「わかった。僕の方でも考えておくよ」


 ルヴィアと距離が離れたからか手の感覚が元通りになって、私に主導権が戻っていた。

 さて、ルヴィアを新しいエンジニアとして迎入れる準備をしますか!


「ルヴィアのお父様に会いに行きましょう」


 と言うことで、パーティ会場に戻ってルヴィアのお父様を探す。

 ドミニクは帰って試作したいとのことでついてきていない。


 お父様から居場所を聞こうかと思ったら向こうからやってきた。


「麗しの姫君。挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。私の名前はジャヴィア・パールメントと申します。以後お見知り置きを」

「あ、ルヴィアのお父様。こちらこそ、初めまして。アリアーデ・クランツェフトと申します」


 ジャヴィアは、右目に魔法珠が嵌っていてアラビアン系の服を着ている。


「ジャヴィアさん、ルヴィアさんのことなんですが……」

「またルヴィアが何かしでかしましたか?」

「いえ、そういうのじゃなくて、お友達になったんです。なので、また遊びに誘っても大丈夫ですか?」

「ルヴィアに友達……? 失礼」


 ルヴィアはきっといつもジャヴィアさんに疑われているんだろうな……。

 少し悲しくなる。


 ジャヴィアの魔法珠が光ると、すぐに収まった。


「洗脳はされていないようですが、それが殿下の本心なら、どうか最後まで責任を取る覚悟をお持ちください」

「?」


 首を傾げていると、レイが補足してくれた。


「ジャヴィア様の魔法珠の効果は透視です。その効果は、人の心から未来まで見通すと言われています」


 なるほど……。

 

「大丈夫です! 私に任せて下さい!」

「……どうなっても知りませんよ」


 ジャヴィアさんは顔をしかめている。

 多分ルヴィアは寂しいだけなんだと思うな。

 友達ができればきっと良い子に育つでしょ!


 ♢


 戦勝記念パーティが終わってすぐ後。

 お兄さまは私が探していることを知ってとても嬉しそうにしていたが、録画水晶を投げつけると大人しくなった。

 そしてお兄さまの執務室まで着いて行き、私の写真を全てこの手で焼却処分してやった。

 泣いているお兄さまを無視して今日は帰宅。


 後日、ドミニクの工房にルヴィアを呼び出すことにした。

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