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転生皇女はヤンデレ達と遊びたい〜優雅な笑顔で心を折りにくる宿敵と恋仲になれると思いますか?〜  作者: 池田ショコラ
番外編 ハンスと愉快なアドベンチャーゲーム
111/124

11-1 打ち上げ花火

 タイニーの船は豪華客船だった。

 プールもあれば船内にはレストランもある。


 今日の参加者の人数を思えば、会場を使わせてもらって本当に良かった。

 あの有名な公開告白をした私が打ち上げをする、と言う情報がどこかから漏れていて、参加希望者が殺到してしまったのだ。

 多分グランのせいだ。口が軽そう。


「レイごめんね、忙しいのに借り出しちゃって」


「いえ、姫様主催のパーティで不備があってはなりませんので」


 タイニーのところの使用人達もお借りしていて、レイには段取りと指揮をお願いしている。


「よぉアリアーデ! 俺の船なかなかいいだろ?」


 学生服とは違って、海洋国家らしい海賊チックな私服のタイニーが声をかけた。


「想像以上だよ。クランツェフトにはこんな船ないから、ちょっと羨ましいぐらい」


「ハハハ! 俺の所に嫁いできたら良かったのになぁ。海賊相手でもアリアーデは怯まないだろうし……!?」


 どこからか殺気が飛んできた。


「冗談だよ! あんな怪物相手に立ち向かえるのはユーリスの王子くらいだぜ?」


 タイニーの後ろを見たら、柱の影からこちらを覗いているハンナちゃんが見えた。可愛い。


「ひとまず、出航するまでまだ時間があるから、船内探検してくるね」


「おう! 次の挨拶はちゃんとまともなのにしておけよ!」


 パーティ開幕の挨拶は主催者の私がしないといけない。

 みんな公開告白のイメージが強すぎて、私が何かやらかす人だと思われてる……。


「やりたくてやってるわけじゃないから!」


 ほんと、学院内での私のイメージがだんだんヤバイやつになってるよ。


 ハンナちゃんに急いで駆け寄る。


「もうよろしいのですか?」


「うん、打ち合わせは終わったから、あとは始まるまで少し散歩しよ?」


「ええ」


 私はハンナちゃんの手を取って歩き出した。

 ハンナちゃんなら、ずっと見ていられる。

 恥ずかしさって、やっぱり敵なんだ。


 豪華客船の中は広く、どこもキラキラしていた。

 天井のシャンデリアは魔石で色とりどりに輝いているし、絨毯もふかふかだ。

 窓の外は夕暮れの海が見える。


「持つべきものは友達だよね!」


「忘れていらっしゃるかもしれませんが、タイニー君の地位はセイロン公国でも五本の指に入りますよ」


 え、そんなに偉かったの!?

 めっちゃ馴れ馴れしくしてたけど、本人があれだもんなぁ。


「フィレッツィオ公爵家は、海洋国家の中でも特に外海との繋がりが深い家です。軍船、航路、海図、港湾権。リアが自由に過ごしたいなら、一番の選択肢でしょうね」


 ハンナちゃんは、ニヤリとしながら私を見ている。

 私は今日、話を逸らせない。


「そ、それは……ハンスがいないと……自由があっても、楽しくない……から……!」


 ハンナちゃんは満足そうに頷いている。

 な、なんてことだ……!

 ハンナちゃんなのに恥ずかしいよ!!


「リアの自由の中には、私が含まれているのですね?」


 ハンナちゃんは、ふふっと笑って確認してくる。

 可愛いのに、ドキドキしてしまう。


「うん……」


 あれ……? もしかして私、女の子もイケるのか……?


「どうしよう、ハンスに戻ってほしいかも……」


「おや、なぜですか?」


 ハンナちゃんは意外そうに聞いてきた。


「私、このままじゃ同性愛者になっちゃう……! どうしよう!?」


 呆れるような目で、ハンナちゃんは私を見てくる。


「……私のせいなのですか、それは」


 だ、だって!

 ハンスが好きなのに、ハンナちゃんまで!?

 あれ? でも、元々同じ人では……?


「……私がハンスのこと好きすぎるのが……悪い?」


 ピタっとハンナちゃんは固まってしまった。

 そして、睨んできた。


「……それはわざとなんですか? どうして意図的でない思考をそう垂れ流しにしていられるのですか? もう少し時と場所を考え……はぁ……」


 ハンナちゃんはすごく疲れた顔をしている。


「ごめん……でも、そう表現するしかなくて……!」


 話を逸らさないようにしたら、そうなっただけだよ!


「……その分野に関しては、もう教えることはありませんよ」


「え?」


「弟子でも取ってはいかがですか」


「なんで!?」


 ハンナちゃんは頭が痛いのか、こめかみを押さえている。


「もうそろそろ時間でしょう。主催者が遅れては示しがつきませんよ」


 言われて時計を見ると、もう出港の時間だった。


「ほんとだ! 行ってくるね! こ、これは逃げじゃないから!」


 転移してパーティホールである大広間の舞台の上に立つ。


「皆様、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。今宵は下級生、上級生、そして先生方も無礼講でお話いただける場にできれば幸いです。学年対抗戦、改めてお疲れ様でございました。では、乾杯!」


 お酒も用意はあるけれど、未成年なので果実水のグラスを掲げた。

 拍手と共に、パーティが始まった。


 壇上を降りると、グランとタイニーがこちらに手を振った。


「お前、そんな話し方できたんだな!」

「グラン、一応目の前にいるのは皇女だぞ……」


「厳しく教育されたからね……」


 昔を思って遠い目をする。


「グランでしょ? ここまで人集めたの」

「ダメだったか? 集めた方が絶対楽しくなるぜ」


 まぁ、何という交友関係の広さだろうか。


「大丈夫。タイニーが船出してくれたからね。二人ともありがとう」


「何はともあれ、おつかれさん。アリアーデは一年を優勝に導いた女神だからな」

「それな! スピーチ含め大分盛り上がったよな。俺は指笛鳴らしたぜ?」


 思い出させないでほしい……。


「じゃあ、他の人にも挨拶してくるから。またね」

 

 二人のグラスをチンと鳴らして、祝う。


 私がハンナちゃんを探していると、給仕中のリーンが声をかけてきた。


「アリア様のスピーチ完璧でした! そういえば、ハンス様はちゃんと誘えたんですか?」


「うん、今日来てるよ? ハンナちゃんだけど」


「ハンナちゃん……? え、ハンス様性転換できるんですか……」


 リーンはドン引きしている。

 たしかに、話したことなかったかも。


「すごく可愛いから、リーンも一度見ておくといいよ!」


「はい……そういえば、この海の――」


 ラファがこちらに歩いてきた。


「ごめん、あとでね」


 リーンを下がらせて、ラファに会釈する。


「アリアさん、このような素敵なパーティにお招きいただきありがとうございます」


「来てくれてありがとう、ラファ」


 自然にグラスを合わせて音を鳴らす。


「あの時、割り込んでしまって申し訳ありません……。先生に、どうしても勝ちたくて」


「わかります。その気持ち……。多分壁なんです。越えなきゃいけない気がしてくる感じの」


 罪作りな人だなと思う。

 本人にその気はないだろうけど、向き合えば向き合うほどに、手を伸ばしたくなる。


「ふふっですよね。僕たちは多分、同じものを見てしまったんですね」


「うん。条約勝負、私がちゃんと贔屓なしで決めるから頑張って。むしろハンスにギャフンと言わせてやって欲しいくらい」


 少しくらい、痛い目を見てもいいと思う。

 そのくらい、ハンスは私たちを振り回してるんだから。


「わかりました。正式な交渉は僕が卒業してからですけど、それまでに条約案を形にしてみせますから」


「そうだね。私もラファが卒業したら退学してお姉さまから戻してもらわないと……」


 ちゃんと卒業する気はなかったけど、学院生活もあと一年とちょっとかぁ……。

 少し寂しいかも。


「でしたら、残りの時間は大切にしないといけませんね」


 ラファには事情を説明できてないけど、なんとなく察してくれたみたいだ。


「精一杯楽しむから、ラファもよろしくね!」


「はい、他の方もアリアさんとお話したいみたいですよ」


 言われて周りを見ると、たしかに私たちを見ている人がたくさんいた。

 じゃあ、たくさん友達作りますか!


 ♢


 場に酔うとはこのことだろうか。

 別にお酒は飲んでいないのに、少し頬が熱い。

 あれから、たくさんの同級生と話して、誤解を解いたりハンスの話をしたりした。

 みんなノアール先生の裏の顔が気になっていたみたいだった。


 甲板に出て、夜風に当たる。

 手すりを持って空を見上げると、綺麗な星空で。

 もうそろそろ私とドミニクが用意した打ち上げ花火が上がる頃だろう。

 やはり持つべきものは友達。


「良かったですね」


 ハンナちゃんが隣で微笑んでいる。


「うん、二度目の青春かも」


 指に嵌めた指輪を無意識に触る。

 今日は手袋をつけてなかった。

 もう隠すことでもないし。


「今日も一緒に寝てくれる?」


「ええ。構いませんよ」


 とても幸せだった。

 この時間がずっと続けばいいのに。


 打ち上げ花火が始まった。

 音でホールにいた人たちが外に出てくる。

 後ろを見ると、リーンがマストの陰からこちらを見ていて、両手を合わせて拝んでいた。

 横の方を見ると、ドミニクとルヴィアがこちらに手を振っていた。

 右目を閉じると、レイもどこかで打ち上げ花火を見ていた。


 なんかいいな、こういうの。

 花火を見ていると、ふと海面が揺らいだ気がして下を覗き込む。


「リア……?」


「なんか、下に――」

 

 見えた。

 海の底に大きな黒い影が、蛸のような触手がうねっている。

 私の腕にそれが巻きついて、海に引っ張られる。


 咄嗟に風の刃を放って、触手を切断した。

 けど、触手が多すぎる。腰に、脚に絡みついて――


「リア!」


 ハンスの声だ。

 ハンナちゃんから変身が解けている。

 大きく、横一線に海が割れた。

 ハンスが放った魔法が海の魔物を切り裂く。

 けど、触手の力は衰えなかった。


 ハンスに手を伸ばす。

 ハンスも私に手を伸ばして――ああ、そんな顔出来たんだ。

 なんて、呑気に思ってしまった。


 この魔物、魔力を吸っている。

 私の魔力を削って、使っている。

 だからハンスの攻撃が通らないんだ。


 大きな水飛沫をあげて、私は海の中に――

 意識を失う直前、海に飛び込むハンスが見えた。


新章開幕してしまいました。

おかしいな……完結を目指していたはずなのに……?

どうしてもハンス主人公のアンチャーテッドが見たかったんです!

許してください!なんでもしますから!

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