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アレクサンダー建国記  作者: 稲荷竜
十五章 旅路の果てに
160/171

158話 愛の英傑ウー・フー物語5

 こうして、ウーは里に凱旋した。


 里では死ぬ死ぬ詐欺を働いていた姉も本当に死んでいて、枝振りの立派な樹木になっていた。


 ウーは子をみごもったことを告げ、里をおおいにわかせた。


 そして――子は、無事に産まれた。


 その子は約束通り、姉の名をつけられた。


 クー・ウー・フー。


 ウーは産まれてきた我が子にも、英雄譚を騙った(・・・)


 きらびやかな活躍と、艶やかな話に彩られ、登場人物はただただ成功を続け、悩まず、迷わず、まさしく物語の英傑らしい活躍をした英雄譚。


 その中には『真白なる夜』という男がいて、そいつはあまりの顔のよさに直視すると目がつぶれ、歩くたびに地面に花が咲き、顔を空に向ければ宝石が降ってくるという有様で語られた。


『はいいろ』という、彼が晩年使った名前は一度も出てこなかったし、彼の本当の姿についても触れられなかった。

 種族ぐらいは伝わる情報があったけれど、ウーは決して明言しなかった。


 彼女の人生は嘘でできていた。

 彼女の言葉はそのほとんどが嘘だった。


 だからかもしれない。

 彼女は晩年になって、本当に大事なものを胸にしまいこむことを覚えた。


 言葉にすると嘘くさくなってしまうように感じられたから。

 嘘にしたくない物語は、自分の中においておく。


 ……ウー・フーはドライアド史に残る英傑として最後まで多くの同族にあがめられ、そうして、冒険からおおよそ二百年ののち、樹化(じゅか)した。


 彼女が残した娘は、ドライアドの閉鎖的な文化を嫌って、王都で冒険者となる。


 そうして、晩年、ある人物を導くことになった。


 建国記より五百年あとに産まれた異世界転生者。その名を――

スピンオフ1

愛の英傑ウー・フー物語 終

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