海遊び─海の家
ビーチバレーを始めたときにはまだ高く上がっていなかった日も、今ではすっかり上がり切っている。気温もだいぶ上がってきて、大分汗をかいている。直射日光の下動き回っていた俺たちは、いったん休憩を取りに海の家へと戻る。まだピークの時間帯ではないのでチラホラ人が入っているくらいでまだまだ静かだった。
「昨日一昨日はここがいっぱいになってたってんだからすごいよなぁ」
「まぁ人気店なんで~」
二日間のバイトに思いを馳せ、俺が漏らした言葉に大鳥さんがカウンターで頬付きをしながら少し自慢げに返事をする。実家が褒められてうれしいのがよくわかる。
大鳥さんの手元は人数分のコップが乗ったトレーがあり、飲み物を注いでいる。配るのを手伝おうかと思い席を立つがが、それを察知したのか大鳥さんに先に、
「はい、晴気君の分」
と飲み物を渡される。飲み物を差し出す動作こそ柔らかいものの、そこにはまだ自分でやる気か、という少し釘を刺すような眼差しが含まれていた。なので俺はそのままおとなしく受け取って席に戻る。それを見た大鳥さんは満足げにトレーを持ち上げ他の人にも飲み物を配り始める。
とは言え飲み物を受け取った大地は康祐に回すし、夜黒さんも渚と深雪に回す。こう落ち着いてみると、何でも間でも俺がやろうとする必要はないっていうことを改めて理解したような気がする。まぁそりゃそうだよな、とどこか腑に落ちる。
キンキンに冷えた飲み物はほてった体に染み渡る。
ビーチの気温は上がる一方だが、日陰を通る潮風は心地よい涼しさを届けてくれる。
俺たちは飲み物を片手に雑談に花を咲かせた。
ビーチバレーの反省だったり、1学期の体育祭の話、夏祭りで大地と渚の二人が付き合った話など。それを初めて知った大鳥さんの反応だったり、照れる渚だったり。
……なんだかんだで、この半年の密度は濃いものになっていると感じる。去年の今頃は何を考えていたっけな、なんて考えるがどうにも思い出せない。それだけ切羽詰まっていたという事でもあるのかな。そう考えると今年は大分色んなことを楽しめていると思う。これが青春ってやつか、……なんてな。
会話の流れで今回のバイトの話も少し出てきたときには、どうにも昨日のことを思い出してしまう。混雑には負けなかったが、いざ迷惑客と対面するとどうにもならない、もっとうまい立ち回りがあったんじゃないかと……。おっと、何でも反省し続ければいいもんではない。気にするなって厚さんにも言われたし、もっと肩の力を抜いたほうがいいとも言われた。
過ぎたことはもう忘れて、今は目の前のことを目一杯楽しむことにしよう。
2022/11/14
総合PV25000超えました。最新話を投稿日に読んでくれる読者様がいて感謝です。
ビーチバレーが終わりまして大分書きやすい。




