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吸血姫様は今日も不機嫌  作者: 笹葉きなこ
彼女は吸血鬼
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たまごやき……?

「おまたせしましたー」


 20分くらいたってからだろうか、真っ黒の物体を皿に載せて、夜黒さんが帰ってきた。


「えっと、それは……?」

「たまごやき……」

「うそ……」


 真っ黒な物体の正体は玉子焼きらしい。玉子焼きを作って、何をどうしたら痛くなるのかはわからないし、20分もかかる理由もわからないし、真っ黒な物体が出来上がる理由もわからないが、とりあえずこう尋ねる。


「味見は?」

「あげる量が減ったら悪いと思ってしてないよ?」

「とりあえず気にしないからしてみて? 」


 人柱にはなりたくない、すまんな夜黒さん。そう思いながら俺は食べることをやんわりと断り、夜黒さん本人に食べることを勧める。……流石にこれを食べる勇気は俺にはなかった。

 夜黒さんは玉子焼きらしきものを口に運ぶ。それを噛むと、ゴリッという音が出て、夜黒さんは顔をしかめた。


「うわぁ……おいしくない……」

「でしょうね」

「なんでぇ……。でもお礼でつくったからあげるね。はい、あーん」


 とんでも理論で暗黒物質を差し出してくる夜黒さん。俺は勢いのまま掲げらた物体を食べてしまった。結局それは先ほどと同じくゴリッという音が鳴るわけで。


「どう……?」

「おいしくないね。それに馬鹿みたいに固い」

「生ものだから火は通した方がいいと思ったのっ! そこまで言わなくてもいいじゃないっ」

 夜黒さんは少し怒りながらそう言う。


「でもこんなに通す必要ないよね」

「そこまで言うなら作ってみてよっ。キッチン貸すからっ! どうせこうなるよっ!」

「べつに良いけど」


 どういう訳か、流れで夜黒さんに玉子焼きを作ることになった。

 何をどうしたところで、あの真っ黒の物体を作る気はしないので後半はガン無視する。卵は冷蔵庫にあるものを使っていいらしい。調味料も好きなだけ使っていいそうだ。

 俺はリビングを出てキッチンに向かう。卵を出すべく冷蔵庫を開ける。


「卵はー……、ん?」


 冷蔵庫を開けたところで不思議なものが目に入る。飲み口のある透明な袋に赤い液体が大量に入っているのを見つけてしまった。特にパックに何か書いている訳でもなく、何だこれは。とりあえず戻ったら聞いてみることにする。


 夜黒さんが小さめのフライパンをすでに使っていたため、大きめのものしか残っていなかったのでそれを使って玉子焼きを作る。せっかくなので丸めたものを作ってあげたかったが、大きなフライパンで作るほどの技量はないので断念した。

 程よく焦げ目がつき、いい匂いがしてきたところでフライパンから引き上げる。

 それを適当な皿に載せてリビングに持っていく。夜黒さんは目をキラキラさせながらその皿を見つめる。


「なにそれっ! おいしそうっ! いいにおいっ! 」


 テンションを高めにそう言う夜黒さんを見て少し嬉しくなる。作ったのもを喜んでもらえるのは、作った側としても嬉しいものだ。


「ふぁああ! 同じ場所で作ったとは思えないくらいにおいしいっ! すごいっ」

「どうぞ。味見もしっかりしてるから食べれないなんてことはないよ」

 

少し笑いながら言うと、


「そんなこと言わなくてもいいじゃない……」


 と夜黒さんはむくれながら言う。表情がずいぶんころころ変わるんだな。夜黒さんの様子を見ながらそんなことを思う。

 香りを楽しんだ後に口に入れ、今度は瞳をキラキラさせる。玉子焼きをおいしいと言いながら、無邪気に笑う夜黒さんを少しかわいいと思ってしまったは内緒だ。

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