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吸血姫様は今日も不機嫌  作者: 笹葉きなこ
ご機嫌斜めな一学期
35/88

体力テストは疲れる

 次の週、体力テストの残りが行われた。一斉にやる種目は幅跳びや短距離といった瞬発系のモノしか残っていなかったので、俺のパフォーマンスはそこまで悪くなかったと思う。

 が、少し調子が悪かったのは確かなので大地に負けてしまった。


「あー、やってらんね」

 俺は口を尖らせて言った。

「はい俺の勝ちー」

 大地がしたり顔で言ってくるが、直後真顔に戻る。どや顔を作れるっていうのも腹が立ってくる。

「にしても快人が体調不良だなんて珍しいな」

「新学期と家事の疲れが出たとかだろ」

「なるほどな」


 大地にはまぁ色々頑張れよと言われ、その後別れた。大地には体育委員会の仕事があるのだ。俺からも頑張れよ、とだけ言っておいた。


 体力テストの種目は一通り終えたので、俺は教室に戻る。教室にはまだ人がまばらにしかいなかった。どうやらまだ体力テストをやっているようだ。前回やったときにゆっくり進めていた人は今日のこの短い間で終わらせなくてはならないからきっと大変だろう。

 前回延期になったときに授業が二時間分行われた。そのため、今日はその二時間分を使って残りの種目をやることになる。もともとかなり余裕のある時間を取っていたが、それを利用してゆっくりやろうとしていた人にとってはこのスケジュールは災難だったろう。延期決定までの時間分は考慮されていないわけだし。


 体力テストの時間が終わり、通常の授業が始まる。今は英語の授業だ。

 体力テストと授業の間に昼休みという長い休みがあったわけではないので疲れた顔をしている人も多い。延期のおかげでハードスケジュールになってしまった。中には今にも寝そうな人もいる。

 そして俺の左後ろのポンコツ吸血鬼も絶賛爆睡中だ。しかし、前の方の席で寝てしまうと先生の目につきやすいわけで。


「じゃあここの和訳を……、寝ている夜黒」

 当然のように先生に指名されてしまう。


「あ、はいっ」

 夜黒さんが慌てて起きる。幸いにも英文は板書されているのでどこを読むかはわからない。ということはないが、ポンコツが急に英訳できるのか……。といった不安が胸中を襲う。しかし問題はなかった。むしろ完璧なまでの英訳をやってのけた。言っちゃなんだが、驚いた。



「寝てる明ちゃんが指された時はヒヤッとしたよ」

「ねー、英語の授業でよかった」

 授業終了後に後ろの席の二人が話を始める。


「夜黒さん英語できたんだな。英語もポンコツかと思ってたわ」

 それに俺も参加する。


「うわ、ひっどい」

「最初に英語できるイメージあればよかったんだけどね。私も英語できるの知ったときおんなじ気持ちだったよ」

「え、渚ちゃんまで」

「ポンコツイメージが強すぎるんだよなぁ」

「英語と生物ならつよつよなんですぅ」


 どや顔で、薄い胸を張ってそう言う。成績の如何は別として、どうしても残念な雰囲気になってしまうのはやっぱり夜黒さんだからだろうか。


「生物得意なのは聞いてたけど、英語はなんでできるんだ?」

 疑問に思ったので聞いてみた。

「うちの親が英語も使ってたからさ。みんなバイリンガルなの」

「エリートさんだ……。てことは引っ越しが多いのもエリート故の苦労なの?」

「んー、まぁそんな感じかな」



 そして次の生物の時間、夜黒さんはまた寝てしまい、また指される。

 今度は何を聞かれているかわかっていなかったようで、見当違いの答えを言ってしまった。授業が終わった後の夜黒さんはふてくされていた。


「生物は得意なのに……」


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