四人での帰り道
やっと主要キャラ4人が一堂に会した
朝からずっと続いていた模試も無事に終了し、帰りのHRも終わった。教室全体としても元気がなく、なかなか行動を始めない人も多い。春休みボケもこの模試によって一気に引き戻され、遂に本格的に授業も始まるのか、といったところだ。
かくいう俺も軽く伸びをしているだけで特に動く気力は沸かない。
そんな中夜黒さんに声をかけられる。
「ねぇっ、聞いてよっ。一昨日晴気君が教えてくれた問題と似たような問題出たから解けたよっ」
模試の疲れを感じさせない元気な声でそう語りかけてくれる。問題が解けたのがよっぽどうれしかったのだろう。対する俺はそこまで元気があるわけでもなく、「はいはい、よかったね」と返す程度で一杯だった。それを解けなかったから沈んでいるのだと思ったのか、手を口に当てながらどや顔で煽ってくる。
「あれれー、晴気君元気ないねー。もしかして解けなかったの? 」
「まさか、そんなわけ」
「ですよねー。まぁとりあえずありがと。おかげでしっかり解けました! 」
「うん。お疲れ様」
そりゃそうだよね、といった感じで夜黒さんは納得していた。
「快人―、帰ろうぜー」
「うい、いいぞ」
やっと帰る気になったのか、大地が声をかけてくる。
「じゃあ私も帰る」
それに便乗し、渚も帰ると言い始めた。というかまだ後ろにいたのか。驚きとともに振り返るとニマニマしながらこちらを見てくる。そんなに俺と夜黒さんが話しているのが面白いのか。
なんとなくむかついたので軽くデコピンをしてから鞄を持つ。
「あ、痛ーい。何すんだこんにゃろ」
「なんとなくうざかったから」
「はぁ? 意味わかんないですけどー」
「まぁまぁ、二人ともケンカしないでよ。それより帰ろっか」
俺と渚の言い合いをなだめつつ夜黒さんが帰ろうと言う。これ以上長居する理由もないので俺たち四人は教室を出る。
俺と大地と渚の三人は電車通学で、夜黒さんだけが一人暮らしなので少し遠回りになるが、夜黒さんの帰路にあわせて帰ることになった。
「みんな電車通学なんだね」
夜黒さんがそう呟き、そのまま続ける。
「みんなどこから通ってるの? って駅名聞いてもわからないけどさ」
「私たちの最寄り駅は日暮駅だよ。大月駅から三十分くらい。みんな同じ中学だから最寄り駅は一緒」
渚が答える。夜黒さんは、俺たちが同じ中学ということを初めて知ったのか、少し驚いた顔をしてから少し寂しそうな顔をした。
「みんな同じ中学校か、うらやましいな……。私はそういう人いないからな……」
「確かに夜黒さんは転校生か。なんかもう慣れすぎてそんな感じしなかったわ」
夜黒さんが転校してきてからまだ一週間。前も言ったが濃度が出来事の濃すぎて転校生という感じがもうない。何なら関わりの薄かった去年のクラスメイトよりも印象が強い。
「親の都合で結構引っ越しは多かったんだよね。一人暮らしは初めてだけど」
「あ、そうなんだ。大変だねー」
「いきなり一人暮らしになるなんて夜黒もたいへんだな」
渚が相槌をうちつつ、大地が返事をする。
「一人暮らしと言えば快人も家事始めたんだよな。こないだも一人早めに康祐の家から帰ったし。やっぱり大変なのか?」
「まぁ慣れればなんてことはないかな。慣れるまでは大変だったけど」
「快人は昔からしっかり者だったしね」
「俺なんて自分の部屋の掃除すらままならなくてよく怒られるってのに」
「それは大地がずぼらなだけでしょ」
「あはは。それは間違いない」
「え、中岡君は部屋の片づけできないんだ。仲間だね」
「夜黒も片付けできない仲間か。意外だな」
「夜黒さんは外見からは想像できないくらいポンコツだから」
「晴気君ひどいー」
今日は二人ではなかったのでいつもより会話が盛り上がった。そのためか、いつもよりも夜黒さんのマンションまで早く着いた気がする。
「じゃあ私はここで。ばいばい」
「うん、ばいばーい」
夜黒さんとの別れの挨拶をすませ、駅を目指して再び歩き始めた。
最初の一週間が終わったからこれからイベントだけ書いていけばよさげ? 書きやすくなるかな?