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吸血姫様は今日も不機嫌  作者: 笹葉きなこ
ご機嫌斜めな一学期
16/87

慣れてきた

 夜黒さんと居残り勉強(自習)を初めて暫らく経った。案の定というか、夜黒さんの手は止まってしまっていたのでこちらから声をかけて、先生タイムも昨日と同様に始まった。 復習の問題でこんだけ手が止まってしまう夜黒さんは編入試験は大丈夫だったのだろうか。


「終わったー! やったー! ありがとー」


 色々考えていたが、六時を回る前には夜黒さんの宿題は無事に終了した。まぁ昨日の残りだけなら早く終わって当然か。


「ずっと教えてもらってたけど、晴気君の宿題は大丈夫なの? 」


 ふと気が付いたように夜黒さんがそう尋ねてくる。どう答えるか迷ったが、ここは素直にもう終わっていることを告げることにする。


「実は昨日のうちに終わらせてたんだよね」

「え、嘘。ほんとに? 」

「ほんとほんと」

「いやー、さすがだなぁ……。てことはわざわざ残ってくれたの? 」

「まぁ明日の模試の勉強もしたかったしね」

「それにしてもだよ。ありがとー。神様仏様晴気様だよー」

「そんなに言わなくても」


 俺は笑いながら言う。さすがにそこまで持ち上げられると少しくすぐったい。


「で、これからどうする? 宿題が終わったならもう帰ってもいいけど」

「んー。帰ろっかな」


 俺たちは荷物を片付けて教室から出る。昨日よりもかえるのが早いためか。校舎内はまだ夕日に染まっている。相変わらず人気は少ないが。

 昇降口に向かう途中で夜黒さんが急に前に出て振り返る。


「あっ、聞いてよっ。今日はね! お料理するんだよっ」

「あ、はい。気を付けてください」

「なんだよー。ほめてくれてもいいじゃん」

「一人暮らしならできたほうがいいと思うしなー。無事にできたらほめても良いけど」

「言ったなー。じゃあ完成したら写真送るから見てよ」

「まぁそれくらいなら」

「それと晴気君の料理も見てみたいかも。今日のご飯写真撮って送ってもらってもいい? 」

「どっちがおいしそうかの勝負でもする? 」

「お、いいねー。頑張っちゃうよー」

「余計なことして、ケガだけはすんなよ」

「別に多少のケガならすぐ治るからいいし」

「そういう問題じゃないんだよ。体は大切にしてください」

「はーい」


 どうも夜黒さんは自分の体に頓着がない。ケガをすることを厭わない。仮にも花の女子高生なのだから少しは気を遣ったらいいのに。


 今日も今日とて少し回り道をして夜黒さんのマンションの前を通って帰る。学校が始まってからまだ1週間も経っていなのに、なぜかこのルートにも慣れてしまった。慣れって怖いな。


「今日は何作る予定なの? 」


 いきなり難易度が高いものを作ると言われても不安でしかないので一応確認してみる。


「とりあえず野菜入れるだけ系の調味料買ってみたから、それで作ってみようかなって」

「それなら失敗することはないかな。よかった」

「さすがにねー。あははー」


 野菜を切って炒めて、備え付けの調味料を入れるだけ。さすがにこれで失敗はないだろうと思った。

 その後も軽く話していると夜黒さんのマンションに着いたのでそのまま別れる。


 今日は昨日より少し早く帰れたので、煮物でも作ろうかなとか考えながら家に帰る。途中で寄り道をしてしらたきも買っていく。

 家についたが深雪はまだ部活なので家にいない。誰もいない家に帰ることにも少し慣れてきた。……慣れって怖いな。


 家に帰ると早速調理を始める。じゃがいもニンジンを適当な大きさにざく切りし、レンジに放り込む。その間に玉ねぎを切り、鍋で軽く炒める。


 チーン


 レンジに入れた野菜が温まったので、それも鍋に入れる。そこにしらたきと肉、水と調味料を入れ煮込み始める。レンジで先にじゃがいもとニンジンを温めておくことで煮込む時間が短くてもやわらかくなるという寸法だ。時短は正義である。

 蓋をかぶせて弱火にしてキッチンを離れる。煮込んでいる間に選択物を取り込み、風呂も沸かす。


 今日やる家事も一通り終わり、一息つく。

 学校も始まり家事をやるのも大変になるかなと思っていたが、部活をやめたおかげかそんなこともなく、全てスムーズに進む。


 部屋でダラダラしながら過ごしていると、煮物、というかもう肉じゃがのいい匂いがしてきたので様子を見に行く。灰汁がところどころに浮いているのでそれは取り出し、味見をする。我ながらおいしくできていることを確認して時計を確認する。時計はそろそろ八時を指そうとしていた。

 深雪が帰ってくるまで時間はかからなさそうなので鍋の火は止めてしまう。リビングに戻りスマホを回収。

 蓋をどけて肉じゃがの写真を撮る。じゃがいもにも色が程よくついていていかにもおいしそうな色をしている。

 写真を夜黒さんに送り、料理ができた旨のメッセージも送る。後は夜黒さんから写真が送られてくるのを待つだけだ。夜黒さんは何を作ったのかな。

 夜黒さんからの返信と深雪の帰りを待ちながらまたダラダラ過ごす。

 初めてカレーを作ったときに、じゃがいもに火が通っていなかったのは懐かしい思い出。それ以来カレー作ってないけど()

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