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吸血姫様は今日も不機嫌  作者: 笹葉きなこ
ご機嫌斜めな一学期
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二年生はすぐ終わる

 新学期二日目、俺が教室に着いた時には、新クラスになってからなじんだのか、教室は昨日よりもにぎやかだった。

 教室に着いたのがギリギリだったので真っ直ぐ席に向かう。一つ後ろの席では、渚と夜黒さんが二人で話をしていた。昨日のこともあり、夜黒さんのことが若干不安である。学校で吸血鬼だとばれるようなボロを出すなんてことはないだろうけど、少し気を付けておかないとならない。 


「お、重役出勤か~? おはよう、快人」

「おはよう、晴気君」

「ん、おはよ」


 二人の挨拶に軽く返事を返して、席へ着くが、目聡い渚は何かに気が付いたらしく突っ込んでくる。


「おやおや、重役な快人様はもう明ちゃんに名前を憶えてもらってるのか~? 私なんてちょっと不安そうに名前を聞かれたっていうのに」

「ごめんって渚ちゃん。私だって昨日はすごい大変だったんだから」

「あはは。わかってるって。すっごい困ってたもんね。」

「まったく、みんな初日から容赦ないんだから」


 渚の名前が少しあやふやな中、俺の名前を憶えていて挨拶をしてきてくれた。美少女に名前を憶えてもらえているのはうれしいと言えばうれしいことだが、この場では地雷でしかない。昨日学校で一言も話していないのに名前を憶えてたらどこで憶えたんだってことになる。そしてそれに渚は気づいている。

 ただ、ギリギリに教室についていたこともあり、そのことを聞かれる前に朝のホームルームが始まった。何とか回避できて助かった。……先送りになっただけで確実に聞かれるし、聞かれても困るようなことではないから特に問題はないのだが。 


「今日は身体測定と、教科書販売があるので時間に遅れないように気を付けて行動してくれ。あと男女で時間が違うからそこも要注意。学級委員を中心にうまく動いておくように。それと各科目のガイダンスもあるから今年学ぶ内容をしっかり確認しておくこと。二年生なんて浮かれてるとあっという間に終わっちゃうからな、しっかり充実させられるように勉強から頑張るんだぞ。こんなところか。何か連絡ある人いるか? 」


 横山田先生は簡単にそう言い、誰も連絡がないのを確認すると軽く手を振って教室から去っていった。

 ここからは教科書販売と身体測定の順番が回ってくるまでは、ただの休み時間になる。俄かに教室はにぎやかになってくる。渚から逃げる目的も半分ありながら俺は大地の席へ移動する。

 サッカー部の奴らと会話をしながら渚と夜黒さんの方を少し見ると、昨日と同じように女子が集まってにぎやかなことになっている。

 昨日夜黒さんを初めて見たときはかなり取っつきにくい印象だったが、実際に話してみたら大分抜けていたので、そこの受けがいいのかもしれない。


 暫らくしたら身体測定と教科書販売が始まり、男女別行動になった。その後のガイダンスも何事もなく終わり、学校二日目の帰りのホームルームも無事に終わった。

 今日は朝に挨拶をした以外、夜黒さんと言葉を交わすことはなかった。

 帰り際に誰かの目線を感じたのは気のせいだったのだろうか。

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