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第23話 VSユーリと新たな剣技

「じゃ、じゃあ僕もフォースブレイドを試してみるね」


 次はユーリの番ということで、ユーリが俺たちの前でフォースブレイドを構える。フォースブレイドは太陽の光を反射し、その真新しい姿をきらきらと輝かせていた。ユーリは静かにフォースブレイドに闘気を込め始めるとともに、自身にも闘気を纏わせ始める。するとフォースブレイドが淡く光り出した。


「はあッ!」


 ユーリが闘気を込めたフォースブレイドを思い切り振り下ろすと、闘気が刃の形となって前方に放たれた。放たれた闘気の刃は凄まじいスピードで近くの森に到達し、木々を次々と切り裂いていく。まるで森というケーキの一部分に切れ込みを入れたかのようだ。


(おいおい、こっちもやばすぎじゃないかよ……)


 ユーリの闘気の刃の威力は、前にユーリをストーカーしていたときに既に見ているが、今回は前よりもさらに威力を増している気がした。さすがフォースブレイド、Aランクの剣だけある。……そうだ、これをアマンダの召喚したモンスター相手に当ててみたらどうなるだろう? 


「なぁちょっとこの攻撃をアマンダが召喚したモンスター相手に試してみてもいいか?」


 俺はアマンダに小さな声で耳打ちする。するとアマンダはあからさまに嫌そうな顔をして「えー」と答えた。


「実戦形式というか、モンスター相手にどれぐらい攻撃が通用するのか見てみたいんだよ。そういうの事前に確かめておくのって大切だろ?」


「それって私のかわいいあんでっど・もんすたーちゃんたちを実験台にするってこと?」


「まぁそうなるな。大丈夫、ちょっとだけだから」


 俺はちょっとだけの部分を強調してアマンダにお願いした。


「…………ちょっとだけだからね!」


 よし、これでアマンダの了承は取れた。俺はその闘気の刃をアンデッド軍団に向けて放ってみるように言った。ユーリは「え、いいの?」と言ったが、俺はアマンダも了承済みであることを伝える。ユーリは「わかった」と言って、アンデッド軍団目掛けて闘気の刃を放った。


 闘気の刃は先ほどと比べると威力が軽めのものではあるが、それでも一瞬で重厚な鎧を纏ったボーンナイトを真っ二つにし、亡霊であるファントムをも斬り、さらに後ろに控えていたアンデッド・ドラゴンをも深く切り裂いた。ユーリはその後も続けて何度か剣を振った。その度に闘気の刃がアンデッド軍団をズタズタに切り裂いていく。……ふむ、これなら相当強い魔物が複数相手でもユーリの敵ではなさそうだな。


「ちょ、ちょっとユーリ! やりすぎだよ! 手加減して!」


 自分が召喚したモンスターがどんどん倒されていくのを見て耐えきれなくなったのか、アマンダがユーリに向かって言った。


「あ、ご、ごめん! なんかこの剣すごい手に馴染んで闘気も飛ばしやすくてつい……」


「それでも加減ってのがあるでしょ! そんなに倒さなくたっていいじゃん!」


「ご、ごめん……」


「ま、まぁまぁ。よ、よし、フォースブレイドの試し切りはこの辺にしておくか。次は俺の番だな。一応、俺も剣使いだしユーリに相手してもらおうかな」


 俺は場を収めるように言った。アマンダの召喚モンスターを実験台にしたのは、さすがにちょっと軽率だったかなと自分でも思った。反省しよう。



 その後、俺はユーリとある程度の距離を取って向かい合っていた。遂に俺のシャドウ・クロークを試す時が来たのだ。俺は静かに魔力をシャドウ・クロークに込める。すると、見る見るうちに自分の体が透明になっていく。素晴らしい。……これなら相手が相当の実力者だとしても一太刀ぐらいなら浴びせられるかもしれない。


「ユーリ、行くぞ!!」


「え、あ、うん……」


 俺は言うが早いが、ユーリに向かって駆け出した。こちらは剣も含めて全て透明だ。いくら足跡が残るとは言え、剣の軌道まではわからないはずだ。もしこれでユーリ相手に一撃でも入れることができれば、今後シャドウ・クロークを一つの『切り札』として利用できるかもしれない。俺はユーリの正面まで来ると一気に横方向から斬りつける――


 ガキィン!


――しかし、俺の剣はユーリのフォースブレイドによっていとも容易く弾かれた。


(……やはり、視えているのか?)


 俺は諦めることなく何度も斬撃を繰り出した。


 ガキィン! キィン! キィン! ガキィン!


……結果は何度やっても同じだった。俺の剣は全ていなされ、ユーリに届くことはなかった。ミアが透明でも殺気で位置がわかると言っていたことを思い出す。


(クソッ……まさかこれほどとは……)


 俺は全く為す術がなかった。これでは埒があかないので一旦引こうとしたが、その隙をユーリは見逃さなかった。


 ガキィィィン!


 俺の剣がユーリによって弾き飛ばされ、後方へと飛んでいく。……これには俺も舌を巻くしかなかった。完敗だ。


「……なぜ俺の剣の位置がわかった?」


「あ、え、えっと、なんとなく、かな? 目で見えなくてもなんとなくわかるっていうか……」


「……全く、敵うわけないな」


 やはり剣の達人には例え相手の剣が透明だったとしても普通に視えてしまうようだ。多分、殺気とかちょっとした空気の流れの変化とか、そういうものが関係しているのだろう。加えて、俺の剣の腕が素人同然で読みやすいというのもあるかもしれない。


(……透明になっても、あまり意味なかったかもな)


 まぁ、透明になっても殺気やら何やらを探知できるレベルのやつに挑めば返り討ちに遭う、ということがわかっただけでもよしとするか……。俺はそう思いながらトボトボと弾き飛ばされた愛用の神剣を取りに行った。



 それから俺はみんなから少し離れた位置でみんなの様子をぼーっと見ていた。


 ミアはユーリと模擬試合をしている。純粋な剣の腕ではユーリに軍配が上がるようだが、ミアは自身の魔法能力を使ってうまくユーリの剣に対応していた。ユーリの強大な闘気の刃もミアは身体強化の魔法を使うことでなんとか避けている。さすが王国騎士団が誇る銀騎士といったところだ。


 アマンダは自身が召喚したアンデッド軍団のうち、ユーリに倒されずに残ったアンデッド・ドラゴン二体をスケルとヘルぞーと戦わせていた。「アンデッド・ドラゴン! そこでブリザードブレス!!」なんて言ったりしている。さながらネクロマンサーというより魔物使いといった様相だ。しかし、スケルとヘルぞーはアマンダの指示するアンデッド・ドラゴン二体にもほとんど苦戦することはなかった。というか、最終的には二体とも普通に倒していた。


(スケルとヘルぞーってドラゴン級まで倒せるのか……。王国騎士団の上位騎士と比べても遜色ないレベルだな……)


……今回の訓練で実感したことがある。それは勇者パーティは俺以外、みんな本当に強いということだ。勇者パーティリーダーの勇者として本当に誇らしく思う。一方で俺の実力ははっきり言って凡人のそれである。現状では、俺は神剣ゼルフィウスの力を使って空から雷を落とすことしかできない。まぁ後方支援としてはそれでも十分強いと思うし、実際に俺はこの能力を使って敵を何体も倒してきた。ただ、正直なところ何かもう一つぐらい使える技というか能力が欲しいなぁとは思っていた。


(なんていうか、まだ完全には神剣ゼルフィウスの能力を引き出せていない感じがあるんだよな……)


 神剣ゼルフィウスを抜き、魔力を込めてみる。雷を落としたいところに意識を集中させると、そこに空から雷が落ちる。威力は込めた魔力に依存する。俺は普通の人間程度の魔力しか持たないので、一度に放てる雷撃の回数は威力にもよるが数発から数十発がいいところだ。それ以上放つと魔力切れになって回復のために休養を取らないといけなくなる。もしこれがアマンダだったら、多分そこそこの威力でも数千発は楽に撃つことができるだろう。


(ユーリじゃないけど、神剣ゼルフィウスから雷を放つことはやめて雷を纏わせることはできないかな……?)


 俺は闘気の纏った剣を使うユーリを見て、ふとそんなことを思った。……試してみるか。俺はさっそく神剣ゼルフィウスに今度は雷を落とすイメージではなく、剣に雷を纏わせるイメージを持って魔力を込めてみた。すると神剣ゼルフィウスは何やらオーラを纏い始めた。ユーリの闘気を纏ったフォースブレイドと少し似ている。少し違うのは、纏ったオーラが電気のようにバチバチしているところだ。雷のオーラとでも言うべきだろうか……。


(……これならいけるかもしれない)


 俺は試し切りをするべく、近くに手頃な木がないか探した。すると少し遠くにそれほど太くない木があったので、さっそく近づいて剣を構える。


「はぁッ!」


 俺は掛け声とともに剣を木に振り下ろした。


 ザシュッ!


 剣は木の幹に深く食い込んだものの、両断するには及ばなかった。この状態では剣の切れ味はかなり上がっていると感じるが、やはり俺の力だとこれが限界らしい。


(……ここからだ)


 俺は剣に宿った雷の魔力を解放した。


 バリバリバリバリ!


 強大な電気エネルギーが轟音をたてて木の内部へと放たれる。木は耐えられなかったのか、幹に大きな亀裂が走り真っ二つになって倒れた。断面は焼け焦げていて煙が上がっている。……予想通りだ。どうやらこの状態の剣は魔力を解放することで触れた物体に雷のような電流を流すことができるらしい。……正直これはかなり使えると思う。例えば戦闘で剣が相手の盾に防がれたとしても電流を流すことで相手を黒焦げにできる。


(まぁ、これを使う前に殺られたら意味がないんだけどな……)


 そもそもユーリクラスが相手なら剣はまず当たらないし、逆にこっちがさくっと斬られるのは目に見えている。……やはり近接戦闘よりも後ろで雷撃だな。俺は結局その結論に達した。ただ、神剣ゼルフィウスでできることが増えたのはよかったと思う。俺はしばらく神剣ゼルフィウスに雷のオーラを纏わせる練習を繰り返した。


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