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魔王様の婚活事情  作者: りん
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勇者来訪

「魔王よ!その首貰い受ける!!」


玉座のある謁見場の扉が勢いよく開かれると、叫びながら5人の男女が雪崩れ込んできた。




「戦士さんと賢者さん、前に来て。後の人達は向こうで待ってて」


玉座で足を組んだまま一行を指さした。



「なっ?何を言っている!?その首を・・・・・・」

「そういうのはいいから、向こうに行って貰ってちょうだい」


魔王はさも面倒くさそうな顔をすると横にいた配下に命令を下した。

配下に抱えられて隅に移動させる勇者、魔法使い、踊り子の3人を横目に見ながら魔王は立ち上がる。

通常では考えられない事態にやや呆然とする戦士と賢者であったが、魔王の動きに思わず剣と杖を構え戦闘態勢をとる。


「まず戦士さん、名前は?出身は?歳は?趣味とかはあるの?」

「えっ?」


矢継ぎ早の質問の意味がわからぬ戦士は口を開けたまま立ち尽くしている。


「だーかーらー、名前出身年齢趣味を答えて」

「あ、あ、ああ、名前はガルス、メディアス王国騎士団長27歳だ、趣味は剣を振る事だ」

「賢者さんは?」

「わ、わしはバージス、メディ「もういいわ」ア・・・・・・」

「えっと・・・・・・」


賢者の自己紹介を途中で遮り、配下の者へと目配せをする魔王。すぐさま抱えられ勇者達が集まる場所へと連れて行かれる。


「さて、わしとかいうジジイがいなくなった所で少しお話しましょ、ガルスさん」

「な、なんなんだ?」


未だ事態が全く呑み込めない戦士である。


「ねえ、ガルスさんは結婚はしているの?」

「えっ?なー、何なんだ?これは」

「結婚しているの?」

「あ、いや、まだしてないが」


戸惑いながらも素直に答える戦士に対し、魔王は満面の笑みを浮かべる。


「そう!人間で29歳というと後生きても50年がいいとこね・・・・・あっそうだわ!ねぇ魔人にしてあげるから私と恋しない?」


さも素敵な事を思いついたかのように一人はしゃぐ魔王。


「何を言っているのかわからんが、私には将来を約束した女性がいる」


身体は魔王へと向けながらも、チラリと仲間がいる方向へと視線をやる戦士。


「もしかしてその恋人やらとは魔法使いの女?」

「い、いや・・・・・・踊り子のセティだ」


圧倒されるような魔力を吹き出しながら訊ねる魔王に、再度剣を構えながら答える。


「はっ?私よりあんな煽情的な恰好をしたビッチがいいの?」

「ビ、ビッチなどではない!」

「どう見てもビッチじゃない、ほら見なさいよ今は勇者に抱き着いてるわよ?」


確かに踊り子は勇者に抱き着き、勇者は踊り子の腰に手を回していた。


「あ、あ、あれは今の状況が怖くて・・・・・・」

「本当に?お互い慣れた手つきよ?ほら、見てみなさいよ、勇者のあの目を」


勇者の目、そこには愛しさが隠れていた。


「き、気のせいだ!私達はここまでお互いを守り守られつつにもやってきたんだ、あれは親愛だ!」

「ふーん、そこまで言うならビッチを精神魔法で尋問しちゃおうっかな~」

「ま、待て!お、お前に何が関係あるんだ!?」


真実を知るのが怖いのか?はたまた本分を思い出したのかはわからないが、戦士は叫ぶと同時に剣を振り上げた。


「あんな女よりここにもっといい女がいるのよ?プラチナブロンドの輝く髪、大きく上を向いた胸、程よく引き締まったくびれ、細く長い脚・・・・・・フフフどぉう?」

「ごめんなさい」


即答だった。

迷う事など一切なくのお断りだ。


「ブハッ・・・・・・また振られ・・・・・・ギャアアアアアア」


配下の一人が思わずといった形で噴出した瞬間だった、魔王の腕から炎が巻き上がり配下は壁を突き破り外へと吹き飛ばされていく。



「き、聞き間違いよね?まだ200歳、人間でいう所の18歳ピチピチよ、もう一度聞「ムリです」く・・・・・・」


被せてのお断りである。



「全員地下牢に放り込んでおきなさい!」


魔王の叫びがこだました。

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