表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
63/68

■第62話 ミコトの告白


 

 

 『ァ、アタシ・・・。』

 

 

ミコトが、涙の雫が今にもこぼれ落ちそうな大きな瞳をまっすぐイツキに

向ける。 ぎゅっと握り締めたままのイツキの大きな右手を、そのままに。

 

 

 

 『アタシ・・・

 

 

  新作が引き出しに入ってる日は必ず、


  アンタが寝不足で・・・ 疲れた顔してんの、気付いてた・・・

 

 

  中指の、ペンダコだって・・・


  急ピッチで書けば書くほど酷くなるの、ちゃんと見てたの・・・。』

 

 

 

イツキもまた潤んだ目でミコトを見つめ返すが、込み上げる熱いものが

息苦しくてひと言も返せない。

 

 

 

 『アタシの・・・ 誕生日・・・

 

 

  ほんとは、あの日・・・


  放課後は、アンタと新作だけ・・・ 読みたかった・・・

 

 

 

  ミスギ君のトコ・・・ 行きたくなかった・・・

 

 

 

  アンタが、公園で待っててくれたのが・・・


  ・・・嬉しかった・・・


  すっごい嬉しくて嬉しくて、なんか泣きそうで・・・

 


    

  アンタのポケットから、


  プレゼントが見えてんのも、ちゃんと気付いてた・・・。』

 

 

 

その最後のひと言にイツキがガバっと顔を伏せ、困り果てたような

照れくさそうな苦い顔を作る。


なにもかもバレていたのに気付かれていないと思っていた、さり気

なさを完璧に装い切っていたつもりのあの日の自分が恥ずかしすぎて

もう死にそうだ。

 

 

 

 『アンタ・・・


  いつまで経っても、ぜんっぜんプレゼントくれないから・・・

 

 

  で。 なんか突然、自販機に突進してミルクティだけ買って、


  ドヤ顔で満足そうにしてるから・・・

 

 

  痺れ切らして、アタシ・・・ プレゼント強引に貰って・・・。』

 

 

 

  (・・・・。

 

 

   いや、オレ・・・


   あん時。 ドヤ顔なんか、してた・・・?


   テンパりすぎて、ぜんっぜん記憶にないんですけど・・・。)

 

 

 

ミコトの言葉は止まらない。

 

 

 

 『ミスギ君の告白を邪魔しに来てくれたのも・・・


  アタシ、ほんとにほんとに・・・


  涙でるくらい、嬉しかった・・・

 

 

  なんか無言で、ただ呼吸荒くしてるから、


  このまま鼻息だけ印象に残して、


  結局なんにもしないで帰っちゃうのかと心配したけど・・・。』

 

 

 

  (お前・・・ だんだん、ディスってきてるじゃねぇか・・・。)

 

 

 

 『でも。 乱暴に手首掴まれて引っ張られた時は、


  ほんとに、ほんとに・・・ 

 

 

 

  ・・・アタシ・・・ 嬉しかったの・・・。』

 

 

 

  (アメとムチがハンパ無いな・・・。)

 

 

 

ミコトは眉間にシワを寄せ、イツキを睨みつけて言う。

 

 

 

 『 ”マル秘 ”って、フツー ほんとにマル秘のものに書くっ?!』

 

 

 

さすがにあのノートの事を切り出させてイツキは目を見開き固まった。


まさかミコトへの伝えられない想いを綴ったそれを当の本人に読まれる

なんて思いもせず。

 

 

 

 『マル秘ノート・・・

 

 

  あの、後半の、アレ・・・


  ”アイツ ”って・・・ アレ・・・

 

 

  アタシ、だよね・・・?


  アタシの勘違いじゃないよね・・・?

 

 

 

  もう・・・ 心臓、痛いってば・・・

 

 

 

  あんなの間接的に見せられて、


  かと思ったら、あんなド・ストレートに気持ち書かれて・・・

 

 

  作戦なの? 実は全部アンタの作戦なの・・・??

 

 

  

  もぉ・・・ アンタのせいで、なんにも手に付かないよ・・・。』

 

 

 

最後は涙声で呟くミコトを、イツキはただただ見つめていた。


ミコトがぐしゅぐしゅと鼻をすする音が響き、頬に伝った涙を拭った

手の甲は濡れて光り、なんだか切なくて痛々しくて。

 

 

そして、眉間にシワを寄せ不機嫌そうに口を尖らせたミコト。

 

 

 

 『ァ、アタシが・・・


  アタシが、全部ゆっちゃってんじゃないのよ・・・

 

 

 

  ・・・言わすなっ、ばかっ!!!』

 

 

 

その照れくさくてイツキを見られない俯くしかめ面を見ていたら、

思わずぷっと吹き出してしまったイツキ。

 

 

愛しくて愛しくて仕方ない・・・

 

 

こんなに心臓が早く打ち付けて体内的には大丈夫なのだろうかと、

どこか他人事のように頭の片隅で思いながら、イツキはミコトから

掴まれていた手をそっとほどいて、その大きな両手で包み返した。

 

 

 

 『ぁ、あの・・・


  思いっきしバレてるとは・・・ 思うんだ、けど・・・ 

 

 

 

  ォ、オレ・・・・・・・・・・・・・・・。』

 

 

 

イツキが言い掛けた時、廊下の向こうから部活動の朝練終わりの生徒が

賑やかにこちらに向かって来る足音が聴こえた。

 

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ