プロローグ
…
……
………
『――や…』
俺は立ち止まり、振り替える。
そこには、着物を着た白髪の老婆が一人立っていた。
(誰だ?)
俺は目を凝らし相手の顔を見ようとするが、目が霞んで良く見えなかった…。
『おばーセミとった!』
元気な声が俺の横を走って行く…
『――はいつも元気だね…』
老婆は優しく微笑む
『うん!…あれ、そのこだれなのおばー?』
指摘されて気が付いたが、老婆の後ろに隠れている女の子がいた。
髪は金髪、目の色は深い青、服装は老婆と同じ着物である。
『ぼくは、おのでら あきと…きみはなんてなまえなの?』
(そうか…)
少年は老婆の後ろに隠れている女の子に名前を聞く…
『わ、わたしは…ほ、たる…ひなた ほたる…です…』
女の子は恥ずかしそうに自分の名前を口にした。
(これは…)
少年はニッと笑うと手に持っていたセミを女の子に見せ…
『おまえむしみたいななまえだな!!』
(あの時の…)
『むしゆーな!!』
女の子は顔を真っ赤にして…少年にアッパーカットをくらわせた…。
(夢…)
少年は放物線を描きながら飛んで行く…
手で捕まえられていたセミはこれ幸いと慌てて逃げ出してしまった…。
…………
………
……
…
景色が足早に流れて行く…
段々懐かしい風景へと変わって行く…
「ふう…あと2駅か…」
どうやら、長い時間眠っていたようだ…
まあ、目的地が終点の駅なので乗り過ごすことはまずないが…。
「早く着かねーかな…」
いい加減…電車に飽きてしまった。
好きな人は良いだろうだが、そうでない人にとってする事と言えば…
寝る、読書、友達と喋る、独り言を言う、風景を楽しむ…などだろう。
まあ、喋る相手も居ないし、読書するための本もない、それに風景は朝から田んぼか山しか見えてないし、それから独り言を言うほど病んでいない…
「やっぱ寝るに限るよ〜」
故に寝ていたのだ。
《間もなく終点…嵩千穂、嵩千穂―降り口は左側に成ります。》
「え!後2駅あるんじゃなかったけ?」
まあ良いか、それより早く降りる支度をしなくては…
「荷物、送れば良かったな…。」
俺は頭の上にある金網からボストンバックとスーツケースを降ろした。
《終点、嵩千穂―嵩千穂―降り口は左側です》
「…さあて降りるか…」
俺は荷物を持ち、或いは引きずりながら降りたのだった。
少しの希望と、思い出と共に…
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……
…
え〜と…
何となく書いてみました。
感想待ってます。