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プロローグ
“寂しい”とか“悲しい”なんて言葉、とっくの昔に消去した。
……あたしの生きる世界は、学校。
あと、一年も無いうちに大学受験や就職とかで忙しくなる。
卒業して、就職して、結婚して、子供産んで、当たり前の様にみんなが歩いているレールを、同じように、順番に歩いていく。
上を見上げれば空は果てしなく広がってて、後ろにはたくさんの人が並んでいる。
――何も無かったように、歩き出す。
……もう、戻る事は許されない。
いつかは、今日の記憶も消えていく。
バカやって、笑って……楽しかった日々を忘れてく。
楽しかった日々を忘れてしまった大人たちは、嘘で塗り固められた世界に染まり、金と名誉だけに依存して、この世界を這うように生きていく。
『忘れたく無いよ、ずっとこのままで居たいよ』と心のどこかで泣いてる、あたし。
――そんな、何もかもが決められた小さな世界であたしは、あんたに恋したの。