信号 boy.ver
「信号」彼氏verです。
アメリカ連邦捜査局・FBI。
の、監察──ようするにスパイである俺の仕事は多種多様。
俺はその中の1つである潜入捜査という仕事を現在進行形でこなしている。
テロに関わっているという疑いのある組織などに潜入し、その真偽や組織の構成などの情報を得る。
勿論そこで得た情報は全て嘘偽りなく報告する必要があるのだ。
──が、
俺は今、その当たり前のことをしないでいようかと本気で悩んでいる。
俺が今潜入している組織には、今分かっている限りでもかなり大人数のテロリストが所属している。
殆どのテロリストが技量も高く、なかなか厄介な組織だ。
そして─その中でもピカイチの腕をもつのはなんと女だ。
この子はかなりの美人で、
──そう
俺は一目惚れだった。
この子に深入りはしないって決めてたのに、この子の彼氏として組織に潜入しているうちに俺は引き返せなくなってしまったようだ。
彼女だけは捕まってほしくない。
俺の信用が少し落ちても──いや、少しじゃないかもしれないけど
というかバレたら信用どころの話じゃない。
それでも護りたい存在。
俺のことなんかすぐに忘れるだろう。
それでも構わない。
この組織は潰そう、こんな俺でも一応FBI。
1人だけを救おう。
俺は、一切誰にも“この計画”を知らさずに実行にうつす。
彼女をまず組織の本拠地から遠ざける。
「俺とデートしよう」 って。
そして俺たちは本当にデートする。
─俺と彼女の最後の時間。
そのタイミングに仲間のみんなに突入して貰う。
俺らが帰ってきた時には、もう事は終結していた。
目の前にパトカーが見えた。
俺は
彼女が俺の後ろで小さく息をのんでいたのも
信号が赤だったのも
知っていたけど
全部知らないフリしてパトカーに向かって歩いて行く。
渡ってる途中で信号が青に変わったけど
俺の後ろに走ってくる人はいない。
「もしかして」
「もし、もし、もしかしたら──」
何かのきっかけがあれば追いかけて来てくれるかもしれないなんて憐れな考えは
───よくこういう時には“桜”とかって例える人いるみたいだけど
──どっかの誰かの詩だったら春の夜の夢だとかなんだとかいうけど
そんなんじゃない。
もっと儚いもの
風に吹かれた線香花火みたいに消えてった。
──そうか
俺のことなんか所詮それだけだったんだな。
いいよ、
お前は悪くない。
乗り込んだパトカーのバックミラーに
愛しい姿が小さく写った。
表情なんて見えなかったけど
この姿を一生忘れないように心に刻んだ。
──愛しい存在を思い出そうとしたら出てきたのはぬいぐるみ。
俺は今彼女に貰ったぬいぐるみを思い出している。
正直俺の趣味ではなかったけど愛しい彼女からのプレゼントだったから受け取った。
「嬉しい」って笑った。
本当に嬉しかった。
貰ったぬいぐるみも
その時の俺みたいに微笑んだ顔。
──最後の彼女もこんな風に笑ってたんだろうか。
地球が回るのは当たり前
それがとまったとき
人間はどうなるのだろう
感想、アドバイス、酷評(どこが駄目だったか+改善方法かいて頂けたら感激)絶賛受付中。
文才ないんですよ、私。あと常識もww
彼女目線もあるので是非どうぞー