修学旅行の大浴場
慶介の通う小学校は一学年に男子生徒が44名いる。入浴時間として定められているのは夕食が終わった後の19時から20時半までの間だった。19時を過ぎるとルームメイトも次々風呂場へと向かった。慶介と仲のよい裕樹と洋太郎たちが一緒に行こうと誘ったが、慶介は「食べ過ぎてまだ入りたくないから先に入っていて、ごめんね」と言って断った。そして20時を過ぎた頃、こっそり浴場へと向かった。
慶介が皆と一緒に風呂へ入りたがらない理由は自らの性器にあった。思春期で見られるのが恥ずかしいということではない。事実、9月まで続いたプールの時は慶介も特に恥ずかしがって隠すことなく着替えをしていた。慶介にはクラスメイトが誰も知らない秘密があった。修学旅行の1ヶ月前、10月の連休に母に連れられて病院にいき、手術をしていたのだ。
慶介は元々真性包茎であった。1人息子の真性包茎を心配した母は機会あるごとに慶介と風呂に入り、皮を剥こうと試みた。しかしいつも慶介が痛がり、中止となっていた。5年生になったある日、母は慶介に「6年生になっても剥けなかったら病院で手術してもらおうね」と言った。母子家庭で息子の性器に口を出せるのは小学校時代が限界という考えからだった。慶介はあんなところを手術するなんて絶対やだ、と思っていた。10月の連休前、母は風呂上りの慶介を呼んだ。慶介に気をつけをさせ、母は慶介の性器を手でつまんだ。皮を剥こうとするといつものように痛がったが、今回は母もすぐやめなかった。一度皮を戻すと更にもう一度、二度と剥いた。何とか半分くらいまでは剥くことが出来たが、それ以上は慶介が痛がって出来なかった。母はため息をつくと慶介に「金曜日、病院行って皮切ってもらうからね」と一言伝えた。慶介は途端に泣き出し、「やだやだ、こんなところ切るなんて絶対やだ」と拒否した。しかし母は覚悟を決めていた。「もし病院行かなかったらママはハサミで先っぽ切っちゃうからね」と言い、皮の先を引っ張ったのだ。益々泣き喚く慶介であったが、母の脅しに逆らうことは出来ず、金曜日に大学病院へ行って包茎手術を受けたのだ。慶介が予想した以上に皮を短く切られ、ピンクの初々しい亀頭が半分は出てしまった。皮をかぶせようにもかぶせることが出来ず、それを見られるのが恥ずかしかったのだ。
慶介が浴場に行くと脱衣所には誰もいなかった。まずはホッと安心した。素早く着替えると前をタオルでしっかり隠し、浴室へ入った。中には泰博・博人の2人と監視役の山元教諭がいた。山元教諭の指示に従い、まずは体を洗った。決して股間を見られることがないよう、十二分に気をつけていた。洗髪の時もタオルはしっかりかけていた。しかし体を洗い終えて浴槽に入る際、タオルは洗い場においておくことを命じられた。慶介にとっては大ピンチである。仕方なくタオルを置き、手で前を隠しながら浴槽に入ったが、透明な湯であるから浴槽の中でもピンク色の亀頭は見えてしまう。出来るだけ股間の前に手をおき、少しでも早く出ようと思う慶介であった。
ところが予期せぬ出来事があった。少し後に浴槽に入ってきた博人の性器は、慶介よりもしっかりと剥けていてピンク色の亀頭が全て見えていた。同時につかろうとした泰博や遅れて入ってきた譲二の性器が先まで皮かぶりであるのに比べると相当異様な光景である。博人と目があった慶介は思い切って博人に声を掛けてみた。普段一緒に水着の着替えをすることはなかったが、1学期にたまたま見えた記憶があり、その時は被っていたはずだからもしかしたら博人も手術したのでは、と思ったのだ。「博人君も僕と同じであそこの皮がむけてるんだね、病院行ったの?」と聞いてみた。
博人はちょっと言いよどんだが、浴槽の中で慶介のピンク色の亀頭を確認すると冷静に話し始めた。「僕はね、3年生の頃から毎日お風呂で父さんに剥かれてたんだよ。夏休みくらいから剥けてきちゃってね、あっという間に全部剥けちゃった。かぶせてもまた剥けちゃうからどうにもならないんだよ」博人も実は見られたくないから最後に入ったのだ。
一緒にいた譲二と泰博は羨望の眼差しを向けた。譲二は「俺も父さんから剥けといわれてるけどあまりやってないな、剥いたほうがいいのかな」といい、泰博は「僕はまだ剥いたことないな」と話した。二人とも「博人も慶介もなんか大人だな、博人なんて毛も結構生えてるし」と羨ましそうに語った。
博人も慶介も、友達に見られたらからかわれる、馬鹿にされると思っていた。しかし予想に反して羨望の眼差しだったのだ。二人はすっかり自信を持った。そして「明日は皆が沢山いる時間に一緒に入ろう」と約束した。翌日は19時半頃、20人ほどがいる浴場に入り、前を隠すこともなく堂々としていた。当然のごとく、クラスメイトたちの目にとまった。中にはからかおうとする者もいたが、監視役の西村教諭までが「二人は立派だな」と目を細める有様だったのでスター気分だった。夜、就寝までの自由時間には二人を含む男子生徒の半数が一部屋に集まり、自分の性器についてトークが盛り上がった。まだ小学生ということもあり、亀頭が一部分でも露出しているのは慶介と博人の二人だけだった。親から剥くよう指導を受けている者は4人に1人くらい、半分くらいの男子はまだ剥いたことすらなかった。
修学旅行の後、二人に追いつこうとばかり頑張って剥いた男子生徒が何人もいた。最初に二人の性器を拝んだ譲二もその1人であり、卒業式までにはしっかりと剥いていた。そして剥けた生徒の何人かは卒業の後、一緒にスーパー銭湯に行って互いのものを確かめ合い、喜びを共有したのであった。