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揉みたいおっpがソコにあるのに!  作者: 可燃物
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 手紙の郵送事故は、たまになら起こる。

 つまり、早々起こることではない。


 住所や宛先人が不明なら、その旨が記載された紙が貼られ、彼女の元へと出した手紙は戻るはず。


 そうはなっていないのに、なぜ、僕の手元に届いていないんだ?



 辛い手術が終わって、子供心ながらに将来を約束した相手に、心を込めて手紙をしたためた。

 なのにその返事が何日、何か月、何年と、いくら待っても来なかったなら。


 再会した時に突っぱねた態度だって、取りたくもなるだろう。


 むしろ、激情に任せて、顔の形が変わるまで殴ったって、彼女を責める人はいない。

 たぶん。


 いや、ウチの姉と違って、そんなことをするような子じゃあないけれど。



 彼女が書いた手紙は、どこに行ったんだ??

 彼女の気持ちが込められた、二つと無い、大切な想いが込められた手紙は。



 郵送会社ではあまりのブラックっぷりに、配送しなければならない手紙類を捨てたとか隠したとか、そういうニュースを見たことがあるが、まさか、それか?

 もしくは、輸送途中にトラックが事故に遭って、燃えてしまったとかなのか??


 だとしたら、あまりにも運が悪すぎる。



 今からでもその運送会社を訴えてやろうかと、思わずにはいられない案件だ。



 いや、そんなことを考えるのは、後でいい。

 どっちみちもう、その手紙は戻って来ないのだから。



 ならば今しなければならないのは、彼女の心を慰めることだ。



「僕の、所に……届いていないんだ、手紙。

 だから、てっきり……僕は、君が死んだものだと、思っていて。

 その現実と向き合いたくなくて、ずっと、君のことを忘れていたんだ。

 ……ごめん」


 なんか、謝ってばっかだな。


「なんか、謝ってばかりですね」


 思考と重なって言われた言葉に、場の空気を読まない表情筋が歪んだ。


 シンクロしたことが嬉しくて、思わず、顔がにやけてしまった。



 ……あぁ、もう。

 どうしてくれようか。



 恋愛と言うのは惚れた方の負けだと言う。

 幼少期の頃のものもカウントしていいのなら、僕は、十年以上前から、とうにこの子に負けている。


 勝てる見込みなんて、微塵もない。



 当時、本気で結婚したいと、一生一緒にいたいと思う程に、この子が好きだった。


 ……本当に、好きだったんだ。



 幼かったせいもあり、この子が死んだという現実を受け入れることができずに、その大切な思い出を全て、忘れて無かったことにしてしまう程に。



 この子が教室に友人と共に来た時に、スタイルに目がいったのは、そりゃ女性だから、僕にとっては当然のことだ。


 だけどその後、なんとなく顔の方まで視線が行ったのも。

 この子のことが気になり、チラチラとことあるごとに盗み見たのも。

 嫌悪対象として見られたら、想像だけで瀕死のダメージを食らったのも。

 何より嫌われたくないと切望したのも。

 この子のために何が自分にできるか考えたのも。


 なんてことはない。


 一目見た時から、好きになっていたからなのだ。



 自覚は、無かった。


 今改めて考えて、そうなら腑に落ちる。

 その程度の感覚で、いまいち、ピンとは来ていない。



 なんというか、自覚してようやく、ふつふつと実感が湧いて出て来ている感じだ。



 ……まぁ、理屈で説明できない何かを、この子に再会した時から、息子は感じていたようだが。



 僕は同じ人に、二度も恋をしてしまったのだ。

 しかも二回とも、一目惚れ。



 なんてこった。


 女性は自分にふさわしい人物を‘’嗅ぎ分ける‘’という。

 僕は性的な本能が行方知れずになってしまった分、その対象を探し出す特殊能力でも会得してしまっていたとでも言うのだろうか。


 だとしたら、EDであることも良……くはないが、悪いことばかりでもないと思える。



 好きになった惚れた相手が、女の最大限の武器である涙を流していて、しかもその上凶悪なおっぱいを付けていたら、そりゃあもう、勝てるはずがない。


 闘う前から、負け確定だ。



 不幸な事故があったようだが、彼女は約束を守って、手紙を出していた。

 非が微塵もない。



 ならば僕は、彼女から罵られようと謗られようと、殴られようと蹴られようと、それを甘んじて受けよう。


 そんな子じゃないことは、もちろん当然、分かっている。



「贖罪の意味も込めて、何より愛している君のために。

 咲良。

 君が望むことを、僕は何でもするよ。

 ……何をして欲しい?」


 幼い頃、咲良に教わったように、王子が姫にするように、片膝をついて跪き告白をする。


 かつて約束したような、バラの花束も、誓いを立てる指輪も、まだないけれど。


 それでも、精一杯の誠意を込めて。



 彼女が涙を拭うために顔を隠している両手を、なるべく優しく退ける。



 ……うん、まぁ。

 万が一があるといけないし、服越しではあるが。


 手を握って手の甲に口付けたりとか、できれば良かったんだけどね!


 だって直接触って本当に「呪い★発動!」とかあったら嫌じゃん!!

 どうせヘタレですよ!!!



 折角心ときめく相手が見付かったのだ。

 しかもそれが死んだと思っていた初恋の君で、その上相手も僕のことを、今でも好いてくれているように思える。


 そんな僕の人生で、「ようやく初恋人ゲットなるか!?」って状態なのに、ちょっとした不幸な行き違いから、生涯EDのまま終えろと言われてしまったら、僕の方が泣きたくなる。


 そんなことになったら、大声を出して、無様に咽び泣いてやる!

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