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揉みたいおっPがソコにあるのに!  作者: 可燃物
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3

 先にも述べた通り、母さんは元アイドルだ。


『現役時代は老若男女問わず、一度は私に恋をしたと言っても過言ではない!』と言うのは、本人談である。

 それくらい自己肯定感が高くなければ、アイドルなんて出来なかったのだろうと思う。


 とはいえ、家に飾ってある若かりし頃の母さんの写真は、可愛らしさと美しさ両方を備えており、確かに人気があったのも頷ける。

 全人類は、流石に言い過ぎだけれど。



 そんな母さんは人気絶頂期に、一番上の姉の妊娠発覚と共に電撃引退と結婚をした。

 当時は相手の男は誰だと、ネットが大騒ぎになったらしい。



 今は会社の経営、つまりは社長業をしている。

 家族八人を何不自由なく養える位には、稼いでいるようだ。



 上の姉二人は、そこの従業員。

 下の姉は、とあるブランドの専属モデル。

 双子の妹は、幼児向け服の専属モデル。


 ご覧の通り、我が家は完全女系帝国によって形成されている。


 男は僕と父さんの二人と、愛猫が一匹。

 洩れなく尻に敷かれ良いように扱われている。



 今は年相応に年齢を重ねた外見をしている母さんだが、その可愛さと美しさは陰ることなく輝いている。

 父さんとしては今も母さんにベタ惚れだから、尻に敷かれるのはむしろ、喜ばしいことなのかもしれない。


 母さんの美の秘訣は、ストレスが少なくやり甲斐に満ちた生活を送っているからなのだろう。



 その父さんも、母さんの会社に雇われている形だが、姉二人の役割とはだいぶ違う。


 ……母さんの会社の、概要を言っていなかった。



 母さんの会社は、大まかにいうと女性専用ブランド含めのメーカーだ。


 正直に、キッパリ言ってしまうと。

 女性下着のブランドを手掛けている。



 ブラジャーやショーツだけではなく、テディやベビードールのような肌着。

 そこから派生し、若干ながら部屋着や、趣味が高じて子供服なんかも取り扱っている。



 上の姉二人は外注や経営、試作品製作の針子なんかの業務を担当している。


 下の姉はとある、と言ったがなんてことはない。

 母の会社の商品の、専属モデルをしている。


 下の姉のイメージじゃない商品の時は、上の姉二人がモデルになる時も、まれにだがある。

 顔の雰囲気を変えるのならばメイクでどうにかなるが、体型はフォトショでイジるのにも限界があるからね。


 そんな下の姉は経営は微塵も分からないからと、自分の仕事がない時は家事手伝いに勤しんでいる。



 姉は三人とも、既に成人している。

 歳が離れている事もあり、忙しい両親に代わって僕も妹も、この三人に育てて貰ったようなものだ。



 父さんは、母さんが経営するその下着会社の、デザイナーをしている。

 アイドル時代の母さんに着せたいと、下着から服から妄想しまくり、勢いそのままに、その欲望を込めたデザインをクラウドファンディングにより商品化。


 SNSで見かけた母さんが父さんに声をかけ、実際に着用する事で爆発的にアカウントの知名度が高まった。

 父さんはその流れで引く手数多となり、一時有名大手企業に勤めていたそうなのだが……まぁ、黒過ぎたために体力・精神力共に枯渇。


 アイディアも浮かばなくなり、志半ばで辞めることに。


 休職期間中、精神的に復活してきたら、再び創作欲が湧いてきたため、それならいっそ会社を興そうと起業を検討していた時期に、ひっそり付き合っていた母さんの妊娠が発覚。


 ならば丁度いいと、母さんは契約延長をせずにアッサリと事務所を辞めた。


 世間の関心が自分のお相手探しに躍起になっている中、引退会見では堂々と自分の夫となる人物の会社の宣伝をしまくって芸能界を後にした。

 自由奔放な人である。


 円満退社したらしいので、良いけどさ。



 母さんの宣伝の甲斐もあって、両親のブランドは大成功。

 一時期の納税額を聞いた時には、眩暈がしたものだ。


 紆余曲折あって、経営者が父さんから母さんに交代し、現在は家族のみが従業員の、小規模経営に落ち着いている。

 僕は経営には微塵も携わっていないので、事の経緯や、現状の詳細は知らない。


 創立30周年記念を今年迎える、と言うことだけは分かっている。



 上の姉の年齢が、30歳だからね。

 ”みそ”と言う単語を言おうものなら、問答無用で足蹴りをお見舞いされる。


 重ねて、下の姉も今年25歳。

 クリスマスという単語を言おうものなら、こちらも有無を言わさず寝技をかけられる。


 二人とも、繊細なお年頃だ。



 妹二人は、両親が親バカ全開で、趣味として作った洋服を娘自慢のためにSNSにアップしたら、商品化希望の声が殺到したため、立ち上げたブランドの専属モデルをしている。


 専属モデルも何も、二人に着せるために両親が作ったものを、要望が届いた時に商品化しているだけ。

 なのでモデルをしている感覚は、二人にはないだろう。


 売り物にするために作った服を二人に着せるなんて、逆のことはしたことがない。



 姉三人と、そこから一〇歳近く歳の離れた僕。

 僕から更に七年の時を経て生まれたその妹たちは、家族全員から猫っ可愛がりされている。

 愛情のみを与えられて育ったような、天使のように愛らしい妹君である。


 僕と同じで先祖返りをしたらしく、ブロンドに近いブルネットの巻き毛に、青い目をした、絵画に描かれたような外見をしている。

 天使と形容する以外に、的確な言葉が見付からない。



 そんな神の使いを商売の道具にしようなんて、誰も思わない。

 あくまで結果としてモデルになってしまっているだけで、していることは、単なる親バカ自慢でしかない。


 雑誌の仕事や他メーカーのモデルの依頼なんかも入るが、全てお断りしている。



 幼児向けの服に関しては、あんなデザインの服も、こんなデザインの服も作って欲しい、と言う希望の声は寄せられる。

 だが趣味として作っている上に、別にお金には困っていないせいで、家族全員、客側からの要望には一切答えようとしない。


 文句もある程度は出るが、発売する商品は全て妹に似合うものと一貫している。


 それを見て『自分の子にも着せたい!』と声を上げる人の要望に応えてあげている、というスタンスでいるのだ。

 誰もそんな外部の声なんて気にしない。


 むしろそういう文句よりも、感謝の声や「お前らアンチのせいで商品化しなくなったらどうしてくれる!」という擁護の方が多く届くために、問題視すらされない。



 父さんの創作意欲に火がつき、母さんのGOサインが出、上の姉二人が作り、それを妹が着用し、家族総出で家に併設されたスタジオで写真撮影会を開き、SNSにアップ。

 要望があれば商品化。


 そんな事を、もう一〇年近くしている。

 つまり、妹は今年一〇歳になる。



 コレが僕の家庭環境だ。

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