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揉みたいおっPがソコにあるのに!  作者: 可燃物
プロトタイプ

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20/22

20

 僕の女性の知り合いは、母・姉三人・妹二人の交友関係の分だけ広がりを見せているので、随分多い。

 流石に全ての人の名前と顔とおっぱいを覚えて居るわけでは決してないが、一度でも会ったことがあれば「あ、見覚えあるな」程度の認識は出来ると思うのだけど……


 ……だめだ。

 全然思い至れない。


 母の元同業者に負けずとも劣らず、綺麗な子なのに。



 記憶の中から、その断片すら拾えない自分の脳みその不出来さに辟易していると、彼女の顔が苦痛にゆがんだ。

 転ばせてしまった時に、手首をひねったのだろうか。



「僕に何かご用があるようでしたら、立ち話もなんですし、保健室に移動しましょうか。

 この時間なら、まだ先生もいるでしょうし。

 手首、痛めたのなら、冷やした方が良いでしょう?」


 二人っきりにはならないよ。

 安全だよ。


 二つの意味を込めて、ガンちゃんがいるアピールは怠らない。

 もしひねったのなら、悪化する前に早く冷やさなければ。


 僕に出来る、最低限の罪滅ぼしだ。



「……そう、ですね……

 先輩も、そんな状態では、帰れないでしょうし」


 何のことだ?

 疑問を持った僕と、彼女の視線は交わらない。



 言った彼女の視線は、僕の顔ではなく、そこよりもずいぶん下に向けられている。

 胸よりも、腹よりも更に下……


 ……ん゛ん!? えぇ!!?

 ど、どどどdどう言うこっちゃ!!!??



 視線の先には、ちょっとやそっとどころか、大抵の刺激にはうんともすんとも言わないはずの息子がチョモランマ状態でそびえ立っている。


 いや、そんなデカくないけどさ。

 イメージだよ、イメージ!



 イメージだとしても盛り過ぎだと言う文句が出るなら、アンナプルナとでも言えば良いんでしょうかね!?

 確かに勃起すれば、豊穣の名に恥じないよう、何年も溜まっている分ハッスルするつもりですが!!


 姉妹が沢山いる家に育ったから、自分も沢山子供欲しいと思っていますし!!!

 でも女神って言うよりナニは雄神でしょうよ!!!??



 余りに唐突過ぎる、長年の悩みが予期せぬ所で解決してしまったことにより、かなり頭は大混乱中だ。


 ちなみに、アンナプルナとは世界第十位の標高を誇る、ヒマラヤ山脈系の山の名前である。

 サンスクリット語で、豊穣の女神という意味を持つのだそうだ。

 ステキな名前ですね。



 いや。

 ってかさ。


 こんなさ、後輩の前で、特にエロいことを考えていないのにも関わらずさ、なんで僕の息子氏は、勃起なんぞしているのかな?



 恥ずかしいとか何でって疑問も勿論そうなんだけど、こんな状態でいたら、そこに立っているだけでセクハラしているようなものじゃないですか。


 しかもタイミング的に、目の前の後輩さんとぶつかったからと言われても仕方がないじゃない。


 性的な接触は微塵もないとはいえ、実際、それ位しか原因が思い至らないし。



「そんなに盛ってるの?

 おっぱい王子なんてあだ名で呼ばれて、昼夜おっぱいにまみれて生きているにもかかわらず??

 後輩女子にぶつかっただけで勃起させるとか???

 どんだけ溜まってんですかぁ?????」


 ……とか、ザコでも見下すような目で見られ、次の日には電光石火の如く全校に僕の痴態が晒されてしまう。



 女性ばかりのこの学校で、セクハラと解釈できる行動を起こしたら、即行、村八分にされる。

 今はまだ文句を言いつつも雑談に興じてくれる野郎連中も、批難の目を向け、なじって来るだろう。


 中には英雄と讃えてくれるようなゲスもいるかもしれないが、そんな奴らに同士と認められても、嬉しくない。


 そして僕の居場所は、無くなってしまうのだ。



 自分のおっぱいのこととなると暴走しがちな性格を分かっているから、散々気を付けて来たのに!

 意図せぬ所で、そんなことになりたくない!!



「あの……先輩?」


 ひぃっっ!!!


 嫌な想像をグルグルしていたら、背後から声をかけられる。

 誰からって当然、モデル系の後輩からだ。


 僕を断頭台へと導く魔女だ。

 いや、断頭台送りにされるのが魔女か。


 いかん。

 頭がまだ混乱しているぞ。



「保健室、移動するなら行きましょう?」


 …………え?


 後輩の顔色を見るに、彼女が考えているのは、「訴えてやる!」とか「この童T、猿以上に発情してやがるwww」とか、そういう僕を蔑んだり卑下す類の物ではない。

 単純に「なにしてんだ? こいつ??」みたいな疑問しか浮かんでいない。



 電車内で隙あらば冤罪を押し付ける女性もいるというのに、あからさまに変態行為を目の前で見せつけられたのにも関わらず、何も言ってこない、だと……!?

 この子こそ女神か!!?



「えぇっと……わざとじゃ、決してないのですが……

 目の前でこういう状態になっているの見て、不快にさせませんでしたか?」


 今スルーして貰えたとしても、後々僕の預かり知らぬ所で問題提起されても困る。

 斬首台に上がる囚人の気分で、疑問を口にした。


 真綿でじりじり首を絞めるくらいなら、いっそのこと、一思いにちょん切って下さい。

 ナニを、ではなく首を。


 普段機能不全だとしても、息子と離れ離れにはなりたくないです。

 断罪されても良いので、それだけは許してください。



 モデル系後輩さんはひねったらしい右手ではなく、左手を口元に持っていく。

 小首を傾げながら僕の言葉を反芻し、そのすぐ後にその首をふるふると左右に振りながら、ふわりとほほ笑んだ。


 ……かわいいな。

 こんな状況にも関わらず、つい、思わず見とれてしまった。


「いいえ?

 どちらかと言うと、嬉しかったですよ?」



 え、セクハラされて?

 この人、見かけによらず、特殊性癖の人??


 自分の息子の状態を棚に上げて、失礼なことを考えた、その瞬間。

 僕は、認識してしまった。


 「身体の方は覚えていてくれたみたいで」と、小さな声で足された言葉を。

 そして可愛いと印象を受けた表情から一転した、女帝たちがよくする、寒気を覚えるような、含みのある笑みを。

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