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揉みたいおっPがソコにあるのに!  作者: 可燃物
プロトタイプ

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 そんなこんなやっている内に、メガネの先輩が着替え終えたようだ。

 背後から声をかけられた。


 「失礼します」と一言、断りを入れてから振り返ると……


 ……想像以上の、破壊力。

 思わず、言葉を失ってしまった。


 大きさが、ではない。


 確かに豊満なおっぱいに顔をうずめたり、あれやこれや挟みたくなる衝動に駆られる男子諸君は、多いことだろう。



 だが、しかし!

 そうじゃない!!


 逆だ、逆!!!

 余りの無頓着さと想像以上のおっぱいの小ささに絶句したのだ、僕は!!!!!



 ただ、着れば良いってもんじゃないだろう!?

 水着ですら着用したら、脇の肉を胸元に集めて収めるもんじゃないのか!!?

 なぜ放置する!!!??


 そのせいで、カップが緩くて隙間が出来てしまってる。


 僕が……この僕が!

 コレぞと思うブラジャーと補正下着を宛がえたと言うのにだ!!



「先輩……大変申し訳ないのですが、少々、痛みを伴うかもしれません。

 ご容赦を」


 言って道具袋から手袋を一双取り出し、キュッと両手に嵌める。


 効果音はイメージだ。

 綿一〇〇%で作られている手袋のため、革製のものと違い、音はしない。



 気迫に押されたのか、先輩は後ずさりし、壁際へを追い込まれる。

 そこに追い打ちをかけるように、僕は先輩の肩を壁に押し付ける。


 思いがけず、壁ドンのような格好になったな。



 背の低い先輩の身体は、決して大きいとは言えない僕の身体でも、すっぽりと収まるくらいに小柄だ。


 人によっては涙目で見上げて来るその瞳に、いらん加虐心がふつふつと湧き出て来ることだろう。



 足をそのまま閉じさせ、かかと、ヒップ、後頭部も全て壁に付ける。


 この、肩と言うか肩甲骨も含めた四点を壁に付けて立つのが、基本姿勢となる。



 猫背で過ごしてきた期間が、余程長かったのだろう。

 正しい姿勢を取るだけで、身体が引きつってしまうらしい。


 ただでさえ涙目だった顔に、苦悶の表情が雑ざる。

 なんなら「ん……っ」と声まで漏れ出ている。


 それを聞いて、更なる加虐心が……!



 ……チラリと確認するが、こんな状況にも関わらず、いつも通り、()()は沈黙したままだ。


 おっぱい王子と言う呼称が嫌なのにフィッティングをし続けている理由には、将来のための勉強ももちろんあるのだが、この()()の状況を打破してくれる女神が降臨してはくれないかと言う、一縷の望みも込められているのだが……


 やっぱ、ダメか。



 落ち着いて深く息を吐き、吸う。

 その事実は悲しいが、それでも、いたたまれない状態のおっぱいを、一刻も早く救出しなければ。


 そんな使命感が、僕を絶望の底からすくい上げてくれる。

 やはり、おっぱいは正義だ。



 小さく「失礼」と言い、先輩の許可の言葉も取らずに、有無を言わさず谷間からズボッと右手を入れる。


 途端に先輩は「ニャア」と鳴き、待機組は「キャア」と声を上げる。


 ここは学校の保健室だと思ったんだがな。

 猫と鹿が生息する、奈良公園の辺りだったのか。

 そいつは驚きだ。



 それぞれの悲鳴を気にも留めずに、先輩の左腹部から、L字の形にした手を使い、グイグイと胸へ肉を移動させる。

 次は左手で右腹部。


 そのまま左手を使って背中からも肉を引き寄せ、脇のはみ出た肉も、サイドボーンを経由し、カップへと収める。



 その際に元に戻ってしまった、一部の腹部と脇の肉を、再度カップへと収める。

 右手でも同じことをする。



 途中踏ん張りがきかなくて先輩がたたらを踏み、僕の胸へ飛び込んでくるアクシデントがあったが、まぁ、問題ない。

 足を踏まれたがその程度の痛みなど、先輩のおっぱいが強いられてきた窮屈さに比べたら、屁でもない。



 よし、と満足げに頷く。


 先輩の姿を見た待機組からは歓声が上がり、小さな拍手まで送られた。



 確かにそれくらい、良い出来栄えだ。


 変に筋肉がついていないし、まだまだ若いから、脂肪も柔らかい。

 おかげで何も抵抗されることなく皆、本来あるべき位置、つまりはおっぱいへと集まってくれた。



 再び先輩に基本姿勢を取らせ、鏡を前に持って来る。


「えっ! えぇ!!?」


 劇的変化、とまではいかないが、腹部がスッキリしたことに驚いたらしい。

 ぺたぺた自分の腹を触り、鏡を覗きこんでいる。


 僕が見て欲しいのは、ソコじゃない!



 自分の肉体で直接確かめようと思ったようだが、視線を下にずらしても、まぁ、見えないわな。


 そんだけ大きいおっぱいをぶら下げていたら。



「今僕がしたように補整を続けると、下着を外しても現在の体型に近づくことが出来ます。

 先輩はご自身に合った下着を長年着けて来られなかったため、本来あるべき姿と、現在の姿に開きがあります。

 そちらと、洗い替えをもう一着、お貸ししますので、補整がある程度叶いましたら、改めて採寸して、その後、体形に合った下着をご購入下さい」


 本来先輩のあるべきおっぱいの姿は、やはりG。

 先輩が巨乳志望なら、胸筋を鍛え、更にグレードアップすることも可能だ。



 いずれにせよ、グラマラス向けのサイズになるのは確定している。


 頻繁にその都度必要なサイズのブラジャーを買い換えられるなら話は別なのだが、先輩の場合、補整が完了するまではブラジャーを購入しない方が良い。


 さっきも言ったが、商品数が少なく、見つかり難い上、値段が高いからな。



 短期間で何度も探し回り、やっと見つけた自分に合ったサイズの、バカみたいに高いブラジャーにいちいち財布を開けていては、先輩の家が破産してしまうかもしれない。


 おっぱい破産だ。

 おっぱいにより誰かが不幸になるのは、許せない。



 だが、哀れなおっぱいを野放しにしておくのは、僕の矜持に反する。


 なので一旦、ブラジャーの購入は保留して貰うことにする。



「王子……良いの?」


 おっぱいが頭に付けられないと、なんだか途端にムズ痒くなるな。

 いや、おっぱい王子と呼ばれるなら良いって話では、決していないんだけどさ。


「先輩さえ、宜しければ。

 あくまで、お貸しするだけです。

 くれぐれも、扱いには注意してください。


  間違っても、全自動洗濯機にネットにも入れず脱水までして、挙句の果てには乾燥機までかけるなんてこと、しないで下さいね」


 その言葉に、先輩もそうだが、待機組からも「「「「え?」」」」と疑問の言葉が上がる。

 なぜそんな、疑問符付きの声が聞こえるのかな?



「……まさかよもや、皆様漏れなく下着達にそんな酷い仕打ちをしているんじゃあ、ありませんよね?」


 口調には気を付けたが、気迫に押されたのか、猿団子のように身を寄せ合い、青い顔になる5人。


「ちょっとそこに直りなさい!」


 予鈴の音とガンちゃんの静止が入るまで、下着の扱い講座と言う名の説教が始まり、結局僕は、今日も昼ご飯を食べ損ねる羽目になったのだった。


 まぁ、いつも通り、自業自得である。



 これが、僕の日常だ。

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