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禁忌を犯せし魔女見習いは、愛しの王子と幸せになりたい。  作者: しゃこじろー


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飛ぶ、落ちる

 どうやら、師匠はアルバ様に「女神像へとたどり着くことができたら望むものを与える」と、言っていた。


 その言葉にアルバ様は納得した様子を見せた。

 すると、さっそく女神像を取り囲むアザミのもとへと向かった。

 アルバ様が一歩いっぽ地面を踏みしめた。

 すると、アザミはザワザワとアルバ様の方へと集まり始めた。

 間近で見た光景も怖かったが、遠くから見る光景もまた奇妙だった。


 しかし、アルバ様はそれに動じることなく声を上げた。


「リードさん、言っておきますけど俺は本気ですからっ!!」

「当然だ、アルバ」

「この気味の悪い花を見るのは人生で二度目だが、植物なんざ火をちらつかせればなんて事はない」


 そういうとアルバ様はアザミたちに向かって手を突き出した。

 その様子はまるで今から彼の手から何かが発せられるかのようであり。

 私は、ドキドキしながらその様子を見ていた。


 しかし、いつまでたってもアルバ様の手から何かが発せられることはなく、彼は、どこか動揺した様子で自らの手の平を眺めるしぐさを見せた。


 その様子に師匠はからかう様に笑ってみせた。


「どうしたアルバ、本気を見せてくれないのか?」


 どこか皮肉が混じった言葉であり。

 師匠の新たな一面を垣間見ている様な気がした。

 いや、もしかすると師匠という人は本来ああいう人なのかもしれない。

 そして、その言葉は鋭くアルバ様に突き刺さったように見えた。


 そして、私の想像通りアルバ様は少しいらだった様子を見せた。


「わかってますっ!!」


 そう言いながら、アルバ様はアザミからいったん距離をとった。

 そして、今度は胸に手を当てるようなしぐさを見せた。

 すると、彼はその場でぴょんぴょんと飛び跳ね始めた。

 とても身軽で高い跳躍力を感じさせる動きに思わず見とれた。

 すると、ふと、師匠の方から笛の音の様な甲高い音が聞こえてきた。


 その音に思わず師匠の方を見た。


 彼は指笛を鳴らしながら「さすがは名家のサラブレッド」と言いながらニコニコ笑っていた。

 そして、アルバ様はおそらくその様子からその身一つでアザミを飛び越えようとしているように見えた。


 アルバ様は一息つくと、思い切り走り出した。


 それは、とても勢いがあり、アザミを飛び越えられるかもしれないと思った。

 そう思いながら彼の姿を追いかけた。アルバ様はそのスピードを緩めることなく花壇の渕あたりで思い切り跳躍して見せた。


 その勢いはすさまじく、かなりの距離がある花壇を優に飛び越えられそうだった。


 しかし、その跳躍は突如として失速し始めた。


 それはまるで誰かがアルバ様を引きずり込むかの様な、そんな極端な失速であり、彼は花壇のど真ん中でそのまま落下しそうになっていた。


 このままだと彼は、三日三晩苦しむというアザミの地獄に落ちてしまう。


 そんなことを思いながら何もできずにその場で立ち尽くしていると。

 視界の端で師匠がアルバ様を指さしているのに気づいた。

 一体それが何の行動なのか、さっぱりわからなかった。


 だが、もしかすると師匠がアルバ様にを助けの手を差し伸べているのかと思っていると、今度は反対側の視界の端に何か巨大な影を見つけた。


 あっちこっちと慌ただしい視界に混乱しながら。


 その巨大な影へと目を向けようとしていると、その影はすさまじいスピードで動いた。


 そしてアザミの花壇を軽々と飛び越え、アルバ様のもとへと突進していた。

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