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禁忌を犯せし魔女見習いは、愛しの王子と幸せになりたい。  作者: しゃこじろー


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ハハ

「なにいってんだカイア、お前ガリガリだぞ」

「そんなことありません、最近食べる事が多いので、絶対に太ってしまっています」

 

 私の言い訳に対して、モモチはあきれた様子を見せた。

 そんな彼の様子を見ていると、シューさんがいない事に気づいた。


「あれ、シューさんどこかへ行ってしまいました」


 すると、そんな事はお構い無しといった様子のモモチが話しかけてきた。


「そんなことよりもカイア、古代人についてどこまで知ってる?」

「どこまでと言われましても、ほとんど全く知りません」

「いいか、古代人というのはな、もともとは【ハハ】と呼ばれる存在から生まれたんだ」

「ハハ?」

「あぁ」


「ハハ、というのは母親という意味の母ですか?」

「捉え方は諸説ある、だが、古代人というのは一人の女性から生まれたと言われている。しかもその話がまた面白いんだ」

「それはどういった話なのでしょう」

「話すと長いから簡単に話すからな。もしも詳しく知りたかったらここにある【古代創世記一巻】という本を読むと良い」

「はい」


 そうして、モモチは【ハハ】という存在について語り始めた。


『古代人を生み出したという【ハハ】

 彼女はとても食いしん坊で、周りの人々を困らせていた。

 ある日、ハハの暴食ぶりに呆れた賢者が彼女に罰を与えた。


 それは、食料が入った袋を持たせて、洞窟へと閉じ込めるというもの。

 ハハが閉じ込められて数年がたった頃。

 ハハは、洞窟の中で食料と洞窟内に滴り落ちる水だけで命をつないだ。


 食べるという行為がいかに恵まれ。

 森羅万象に生かされている事を悟ったハハは自らの行いを悔い改めた。 

 すると、不思議な事にそれまで閉じられていた洞窟が開かれた。

 ハハはようやく外の世界に出ることができた。

 しかし、ハハが外に出るとそこに待っていたのは静寂だった。

 生まれ育った場所も人の姿も無くなっていた。

  

 ハハは自らの故郷を失い、大切な人々を失った悲しみに暮れた。

 しかし、それと同時にハハの心に「創造」する気持ちが生まれた。

 ハハは、近くに生えていた木の実を手に取った。

 そして、彼女は「創造」を祈りながらかみしめるように果物を食べた。

 すると、彼女はその体に子を宿し、新たな生命を産んだ。

 それから彼女は、数多の種類の果物を口にしては多くの子を宿し。

 世界に新たな繁栄をもたらした・・・・・・』

 

 モモチはそう言い終えると、私をじっと見つめてきた。

 それは、語り終えたおとぎ話の感想を求めているように思えた。

 その様子に私はすぐに応えた。


「なんだか、色々と比喩表現が含まれているような話ですね。果物の種から古代人が生まれたというのは、とても不思議な話です」

「そうでもないな、比喩表現というのは後世の人間が作り出した現実逃避に過ぎない。歴史というものは改ざんされる事も多い、この話は意外と真実だとしてもおかしくはないかもしれない」


「では、モモチは本当に果物の種から人が生まれたと思っているのですか?」

「あぁ、そしてハハが死の間際、最後に産み落としたといわれる種が、俺達人間だそうだ」


 不思議な話の終わりは私達すらもその【ハハ】と呼ばれる者によって産み落とされた存在だという。とても衝撃的な話は私を虜になった。

 そして、頭の中がハハという存在と、一体どんな果物を食べて私たちは生まれたのか、私の頭はすっかりその話に支配されていた。


「あの、もしもその話が本当だとしたらそれはとても」

「すごく面白いだろっ!!」


 モモチはとてもうれしそうに笑った。


「はい、しかし本当に果物を食べただけで人ができるのでしょうか?」

「まさに神の領域、創造主だ。創造は魔女の根源的な宿命であり、魔女が魔女と呼ばれる所以は、ハハという存在が女性的な部分を強く持っていたからだと言われている」


 次々と話される内容に何とかついていこうと必死に集中してみた。

 だが、どこか理解の追い付かない話に私は頭を抱えたくなった。

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