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禁忌を犯せし魔女見習いは、愛しの王子と幸せになりたい。  作者: しゃこじろー


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抗議

 教頭先生はツカツカと歩みを進め、研究室の扉を平然と開け放った。

 すると、研究室の奥の方から悲鳴の様なものが聞こえた。

 そんな声にも構わず、教頭先生は『ヤグルマ先生ぇ』とのんきな様子で呼びかけながら入っていった。


 その後を追うように、私達は師匠を先頭に中へと入った。


 研究室の中は整理整頓されたとてもきれいな部屋だった。

 だが、どこか殺風景で生活感のない様子がうかがえた。

 そんな部屋の一番奥にはヤグルマ先生の席らしき机が設置されていた。


 すると、そんな机の陰からヤグルマ先生がひょっこり顔を出した。

 その顔はどこかおびえた様子であり、かすかにふるえている様にも見えた。


「あらヤグルマ先生そんなところにいたのですか?」

「こ、これはこれは教頭先生、今日はどのような用事でしょう?」


 まるで、何事もなかったかのように取り繕う様子を見せるヤグルマ先生。

 彼女の様子はどこか白々しいように思えた。


「今日は魔女見習いのミカエル・リード君が、あなたに用事があるみたいですよ」

「そ、そうなんですねぇ」


 ヤグルマ先生の顔は笑顔だったが声は震えていた。


「えぇ、ちなみに私はこの件の後見人としてあなた方の様子を見学させてもらいますが、よろしいですか?」

「も、もちろんですよ教頭先生」


 教頭先生の言葉にヤグルマ先生は二つ返事で承諾した。

 それはどこか有無を言わせぬ強制力が働いているかの様であった。

 教頭先生はヤグルマ先生の返事に大きくうなづいた。

 そして、近くにある椅子ではなく机に腰かけた。


 体の大きい彼女にとって、机が椅子代わりにちょうど良いのだろう。


 そして、教頭先生は師匠に向かって軽く目配せした。

 すると、師匠はヤグルマ先生のもとへと向かった。


「ヤグルマ先生、魔法見習いのミカエル・リードです。今日は先生にお話したい事があってここに来ました」

「え、えぇ、存じ上げていますよリード君、あなたはとても優秀な生徒として有名ですもの」


 ヤグルマ先生はどこか動揺した様子を見せた。

 そして、しきりに髪の毛をいじり始めた。

 それに対して師匠はどっしりとした立ち姿。

 一見すればどちらが先生で生徒なのかわからないような錯覚に陥った。

 

「今日はここにいる大角カイアさんに対する補修を含んだ問題に対して、抗議があります」


 師匠はハキハキとした口調でそう言った。


「え、あぁ、大角さん帰ってきたのね、ロイ君も無事で何よりですよ、えぇ本当に・・・・・・良かったですよ」


 ヤグルマ先生はわずかに私を見つめた後、気まずそうに目線をそらした。

 その様子に近くにいたアルバ様が舌打ちをしたのが聞こえてきた。

 すると、室内に一気に緊張の糸が張り詰めた。

 しかし、そんな中でも師匠は何事もなかったかのように話をつづけた。


「簡潔に今回の件について問題が二つあります。一つは入学したばかりの魔女見習いに過度な補修を課したこと。そして、もう一つは校長先生が所有する地下庭園の私的利用です」


 師匠の言葉にヤグルマ先生は目を覚ましたかのように口をはさんできた。


「わ、私は校長先生から地下庭園の管理を任されているのですよ、その事はご存じですかっ!?」

「存じ上げています、それと同時に私も校長先生からその役職の一端を担わせていただいていますので」

「・・・・・・そ、そうだったわね」

「むしろ、ヤグルマ先生はあまり地下庭園へ来られないのではありませんか?」

「あ、いや、それは・・・・・・」


 あまりにも一方的な状況にヤグルマ先生は落ち着かない様子を見せていた。


「それよりも私が問いただしたいのは、大角さんに対する補修についてです。なんでも、彼女に地下庭園で【大烏の卵を巣に返す】という課題を与えたそうですが、それは本当ですか?」


 師匠の言葉終わると同時に教頭先生が大笑いし始めた。

 それは【ホホホ】と、フクロウの様な奇怪な笑い声だった。

 しかし、教頭先生は自らの行為を悔いるかのように咳ばらいをした。

 すると、仕切り直す様に師匠が声を上げた。

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