ナギ
これでは、這いよる植物たちにめちゃくちゃにされてしまう。
そんな覚悟した。
だが、感じ取れるのは静寂のみだった。
そして、体に感じるのはアルバ様の体の感触。
それは包み込まれるかのように体全身で感じ取れるものであり。
自らの状況を冷静に分析した。
あれ、もしかして私は今、抱きしめられているのだろうか・・・・・・?
思わぬ状況に私はすぐさまアルバ様から離れようとした。
だが、彼は私の体を引き寄せた。
「動くなって言ってんだろ」
アルバ様はささやき声でそうつぶやいた。
その声で植物たちが寄ってくるだろうかと身構えた。
だが、植物が近寄ってくる様子は見られなかった。
「どういうわけかこいつらは音に反応するらしいな」
「はい、その通りです」
「だが、お前が俺に飛びついてきたとたんこいつらは動きを止めた」
アルバ様の言葉に改めて辺りを見渡してみた。
私とアルバ様がいる場所以外はすべて刺々しい植物で埋め尽くされていた。
それはもう、すさまじく恐ろしい光景だった。
しかし、それと同時にこの状況がよくわからなかった。
確かに私は師匠に教わった「ナギ」という呪文を唱えた。
そして、アルバ様へと飛びついた。
運の良い事に私の呪文は成功し、アルバ様にも共有されている様子だった。
その証拠にアルバ様が声を発しても、植物は動く気配を見せなかった。
何にせよ危機的状況から脱したのは非常に嬉しかった。
思わず一息つこうと思っていた。
だが、アルバ様が私のことをじっと見つめているのに気づいた。
「あ、あの何でしょう?」
「これはどういうことだ、間違いなくここの植物たちは俺に襲い掛かろうとしていた」
「あ、その、この植物は音に反応するのです、なので大きな声を出されたアルバ様に反応したんだと思います」
「そうか、じゃあ、お前がいるとこいつらが寄ってこないのはどうしてだ」
その言葉に思わず呪文について口走りそうになった。
だが、師匠の顔と言葉を思い出してすぐに口を手でふさいだ。
そして、すぐに心を落ち着かせ、それとなくごまかすことにした。
「私の口から言えるのは、おそらくこの状況において、私と一緒にいる方が安全だという事です。ですが、今すぐにでもこの危険な場所から離れることを提案します」
私の提案にアルバ様は険しい顔をしながら納得したそぶりを見せた。
するとアルバ様は私の手をぎゅっと握ってきた。
そして、私を優しく支えながら立たせてくれた。
「一緒にいるというのはこういう事でいいのか?」
「ど、どうなんでしょうか・・・・・・」
これでいいはずなのに、私は困惑してうまく言葉が出てこなかった。
「これがお前との最善の接触方法だ」
「は、はい」




