嫌われ者の魔女見習い
「なるほど、それがこいつに与えられた課題ですか・・・・・・」
「えぇ、今なら引き返せますよロイさん」
ヤグルマ先生は少し顔を傾けながら不敵な笑みを浮かべた。
「それはどういう意味ですか?」
「ベリルの流儀だか何だか知りませんが、あなたのような名家の人間がどうしてこの様な事をするのか理解できません。立派な魔女になりたければ、今すぐこの場から立ち去りなさい」
「いいえ、ここで引いたら立派な魔女になれる気がしません。心配せずとも課題はこなして見せます」
アルバ様は自信満々と言った様子でそんな言葉を口にした。
するとヤグルマ先生はものすごく険しい顔を見せた。
「・・・・・・いいでしょう、二人とも門をくぐりなさい」
先生は静かにそう言った。
すると、近くにいたアルバ様が「行くぞ」と声をかけてきた。
そして、私はアルバ様の背中を追いながら、二人で大きな扉を通った。
扉を抜けると、背後からギシギシという音が鳴り響いてきた。
その音に思わず振り返った。
まるで、大きな扉が悲鳴を上げながら閉じていくかの様だった。
それは、私の恐怖心を煽り、やがて扉は完全に閉められた。
その瞬間『バタンッ!!』という大きな音が鳴り響いた。
心臓が高鳴り、薄暗い雰囲気におびえながら薄暗い光景に目を向けた。
最初に気づいたのは、緑の蛍光色で照らされる景色だった。
それらは、未知の植物が発光している様に見えた。
それに加え、空を見上げてみると、まるで月の様なものが見えた。
それは、丸く美しく銀色に輝いていた。
その光景に、さっきまでの恐怖という感情が拭い去られた。
しかし、その矢先に隣から舌打ちのようなものが聞こえてきた。
それは、アルバ様によって発せられており、彼はイライラした様子だった。
「くそっ、面倒なことになっちまったっ!!」
「あ、あのぉ、アルバ様?」
私が話しかけると、アルバ様は私をにらみつけてきた。
その様子を見て、私はすぐに両手で口をふさいだ。
そして、自らの過ちに気づいた。
「おいっ、その呼び方はやめろって言っただろっ!!」
「す、すみませんっ」
「もういい、それよりも問題は山積みだ」
「先生は比較的簡単な課題だとおっしゃっていましたが、何か問題があるのでしょう」
「ふざけるなっ、俺達はもう生と死を彷徨う惨めな弱者だ」
「えっ・・・・・・そ、それはどういう意味でしょう?」
何もわからない状況の中、アルバ様は現状を悲観している様に見えた。
もしかすると、私が思っている以上にこの状況はまずいのかもしれない
「いいか【大烏】といえば獰猛な鳥だ、人間だろうと簡単に食っちまうぞ」
「そ、そんな恐ろしい鳥なのですかっ」
「そうだ、しかも俺達はそいつの卵を持っているときた、最悪だ」
「私達はどうなってしまうのでしょうか?」
私は自分でも馬鹿みたいな質問を投げかけてしまった。
「このままじゃ俺たちはあいつに襲われる、つまり、あいつはお前の命がどうなっても構わないと思ってるんだ」
「でも、どうして先生はこのような事を・・・・・・」
私がそう言うと、アルバ様はあきれた様子でため息をついた。
「本当に、どこまでもお花畑な奴だなお前は」
「お、お花畑・・・・・・」
「いいか、お前が思っている以上に周りの人間はお前を嫌っているっ!!」
「それはつまり、召喚魔法を使用したからでしょうか?」
「そうだ、もうわかってるとは思うが俺だってそのうちの一人だという事を忘れるなよっ」




