失態と罰
そんな予感が頭をよぎった瞬間。
目の前の試し草が身をよじりながら口を大きく開いた。
もしや、これは失敗というやつなのではないだろうか?
そう思っていると、突然大きな声が聞こえてきた。
「危ないっ!!」
それは、どこか聞きなれた声の様な気がした。
しかし、それが誰の声なのかは、はっきりとしなかった。
そして、それを確認する間もなく私の視界が揺らいだ。
次の瞬間には、地面にたたきつけられる感覚と痛みが襲ってきた。
私は間違いなく、誰かの手によって床に倒れこんだ。
あまりに一瞬の出来事で意識が追いつかなかった。
しかし、私の近くに同じく床に倒れ込んでいる人がいるのに気付いた。
その瞬間、私は血の気が引いた。
銀色の髪と見慣れた顔。
目の前で倒れ込んでいるのは間違いなくペラさんだった。
周囲があまりにも騒然としており。
ペラさんは苦しそうにもがきながらうずくまっていた。
それは、声すらまともに出せない様子に見えた。
「ぺ、ペラさんっ!!」
ペラさんの様子にすかさず彼女を介抱しようと試みた。
だが、それを遮るかのように数人の女子たちが私を突き飛ばしきた。
そして、すぐにヤグルマ先生がやってきてペラさんの介抱を始めた。
私は、その様子をただただ眺めていた。
その後、ペラさんが多くの人に運び出される様子を呆然と見送った。
・・・・・・そして、気がつくと私はヤグルマ先生の研究室にいた。
そしてヤグルマ先生が怒った表情で私を睨みつけていた。
ここでようやくはっきりと自らの意識が戻っている様な感覚になった。
「大角さん、聞いていますか?」
「あ、はいっ」
「全く、人に迷惑をかけた上に私の話まで聞いていないとは、噂以上の問題児ですねあなたは」
「す、すみませんっ、あのっ、それよりもペラさんはっ?」
「クアトロさんの容体は安定していますし意識もはっきりしてます。優秀な彼女の事ですから、適切な防御を準備していたのでしょう・・・・・・」
「そ、そうだったんですね」
先生の言葉に私は一安心した。
すると、私の心を読んでいたかのように先生がしかりつけてきた。
「あなたとは大違いですっ!!」
「・・・・・・も、申し訳ございません」
「謝罪で済む話ではありません、基本的な調合であのような失敗をするなんてあり得ません、魔女見習いである以前の問題です」
「すみません、しかし私は先生の指導通りにやって見せたつもりです」
「言い訳はいりませんっ」
私の言葉を遮るように怒鳴ってくるヤグルマ先生はとても怖かった。
そして、私は思わず委縮した。
「それから、あなたの失態に対して処分が決定しました」
「え、処分?」
「えぇ、問題行動の見られる不良な魔女見習いにはそれ相応の罰、つまりは補習を行うのがこの学校の規則となっています」
「それは、具体的にどのような事をするのですか?」
「基本的には個々人の裁量によります、今回の件は錬金術の授業中に起きた事故ですので、責任者である私が判断する事になります」
「それで、私はどのような罰を受ければよいのでしょうか?」
「・・・・・・そうですねぇ」
ヤグルマ先生は少し考えるそぶりを見せた。
その後、唐突に薄ら笑いを浮かべたかと思うとすぐに真顔に戻った。
その様子がとてつもなく不気味で気持ち悪く感じた。
だが、そんな事よりも私はペラさんの事が気になっていた。




