試し草
翌日の錬金術の授業。
私は一人で受講していた。
ヤグルマ先生は、錬金術の基本である調合に関する説明を行っていた。
そんな中、先生は受講する私達に何かを配って来た。
それは【食虫植物】の様なものだった。
すると、配布された食虫植物には安易な拘束具が付いていた。
それはまるで、この植物が獰猛である証の様に思えた。
そして、ヤグルマ先生はこの植物は【試し草】と呼び説明をつづけた。
どうやら、錬金術を行う前に素材の調合を試す植物だと先生は語った。
調合に成功すれば心地よい香りを吐き出し。
失敗した場合には毒を吐き出すということらしい。
なんでも、魔女なら必ず携帯している必須の【魔道具】らしい。
そんな【試し草】とやらが私の目の前にもいる。
そして、先生の合図で一斉に試し草の拘束具を外す事になった。
すると、パクパクと口を開閉させながら餌を待ち望む様子を見せた。
不気味ではあるが、どこか愛らしさ見出した。
そして、私はパクパクと動く口を眺めた。
そうしていると、ヤグルマ先生が試し草の実演をし始めた。
まずは簡単な傷薬の作成方法だと先生は言った。
二種類の植物を見せ、それらを細かくちぎり、試し草に食べさせる。
すると、試し草はご機嫌に口をパクパクと動かした。
その後、可愛いゲップをして見せた。
そして、ヤグルマ先生は満面の笑みで試し草のゲップを嗅いだ。
これが成功の形だと、先生はご機嫌に伝えてきた。
そして、ヤグルマ先生は、今しがた調合した素材を私達に配り始めた。
しかし、教室の最後尾で授業を受けていた私には素材が届かなかった。
私はすぐにヤグルマ先生に尋ねたるべく、勇気を振り絞って声を出した。
「せ、先生、錬金用の素材が届いていませんっ」
私の声にヤグルマ先生はすぐに気づいてくれた。
すると、先生は近くにいた一人の女子生徒を呼んだ。
そして、何かを手渡す様子を見せた
ヤグルマ先生から素材を手渡された女性生徒は先生と会話を交わし。
やがて私のもとにやってきた。
彼女は、どこか周囲を気にした様子を見せながら私の元へとやってきた。
そして、私に二種類の植物を手渡してきた。
私は持ってきてくれた女性生徒にお礼を言った。
だが、彼女は私と目を合わせることもなく、すぐに私のもとから離れた。
嫌われ者だとはわかっている。
だが、お礼すら成立しない状況に私は寂しくなった。
そう思っていると、ヤグルマ先生が大きな声を上げた。
「大角さん、これは魔女見習いとしての第一歩ですよ。勇気と自信をもって踏み出すのです」
「え?あ、はいっ!!」
突然の力強い言葉を投げかけてきた先生。
その様子は昨日とは打って変わってご機嫌な様子に見えた。
そして、先生は再び調合の指揮を取り始めた。
「さぁ、みなさん私の合図とともに素材を試し草に食べさせるのですよ、いいですか?」
ヤグルマ先生はご機嫌に喋っていた。
そんな、彼女の様子を見て、私も自信をもってこの実践に臨んだ。
二種類の素材をちぎり、試し草の口に放り込んだ。
パクパクと素材を味わっているかのような試し草。
その姿にわずかながらの愛らしさを感じていた。
しかし、愛らしいと感じたのもつかの間。
試し草の様子がなんだかおかしい動きを見せ始めた。
それは、ヤグルマ先生が実演していた時とは違う様に見えた。
なんだか苦しそうにもだえ苦しむ様子だ。
そして、その様子に、とてつもなく嫌な予感がした。




