誘惑
「とにかく、俺はその解明に人生を捧げたいと思える程ワクワクしている、だから君にも協力してもらいたいんだ」
そう言うと師匠は私に手を差し伸べてきた。
まったくもって話しについていけていない。
しかし、それでも師匠の熱量がかすかに伝わってきた。
そして、私は師匠の手を握った。
その後、師匠は今日の事は秘密という約束を提案してその場を後にした。
私は、その言葉を胸に秘めて私は自室へと戻ることにした。
そうして、先ほどまでの出来事を思い返しながら歩いていると。
ベリル屋敷の入り口にアルバ様がいる事に気づいた。
彼は私を見つけた様子を見せると、ツカツカと私の元へとやって来た。
「アルバ様?」
思わず彼の名前を口に出すと、アルバ様は怒った表情をした。
「おい、その呼び方はやめろと言っただろっ」
「す、すみませんっ」
「いいかっ、俺とお前はただの同胞であって、それ以上でも以下でもない、わかったか?」
「し、失礼しました」
頭を下げると、アルバ様が私の元へと歩み寄って来た。
「そんな事よりもお前、どうしてリードさんと同じ方向からやって来たんだ」
「それは、あちらで少しリードさんとお話をしていましたので」
すると、アルバ様はより一層眉間にしわを寄せて詰め寄ってきた。
「まさかお前っ、リードさんを誘惑したんじゃないだろうな?」
「はぇっ!?」
思いもよらぬ言葉に思わず動揺して変な声を出してしまった。
すると、アルバ様は真剣な表情で私を見つめてきた。
そのあまりにも鋭い視線に耐えきれない私は目を背けた。
その後、すかさず否定することにした。
「ゆ、誘惑だなんてそんな事を私がするわけありません。それに、誘惑なんてどのようにすればよいのかわかりませんっ」
必死に弁明するとアルバ様は私から距離をとった。
すると、しばらく私を上から下まで、品定めするかのように見つめられた。
そして、彼は私を鼻で笑ってきた。
「まぁ、お前みたいなのがリードさんをどうにかできるわけないか」
何やら、物事が良くない方向へと言っているような気がした。
これ以上の厄介を避けるために深々と頭を下げ謝罪の言葉を言った。
そして、アルバ様から逃げるように自室へと戻った。




