雷のち風
「次は雷属性にでも行くぞ、あそこも中々ハードらしいからな、パッと見て次に向かうぞ」
アルバ様の口ぶりは雷属性にはあまり興味がなさそうだった。
やはりペラさんが最初に言っていた通り、アルバ様は風属性にしか興味がなかったのかもしれない。
「あら、そんなにひどいの?」
「噂じゃこの学園で一番尖ってるって話だ、いい噂を聞かねぇし、婆ちゃんも気をつけろって言ってた位だ、よっぽどらしい」
アルバ様の言う尖っているという言葉の意味が分からかった。
しかし、私達はそのまま西へと向かう事になった。
雷属性の拠点へと近づくと、騒がしい音が聞こえてきた。
そして、丁度近くにいた先輩らしき人が私たちの元へとやってきた。
すると、先輩はいそいそと耳当てを持ってきてくれた。
「新入生だね、さぁこれをつけて、鼓膜が危ないよ」
鼓膜に支障をきたすほどの場所らしい。
そんな先輩の言葉におびえながら耳当てをつけると、雑音が和らいだ。
それでもわずかに聞こえてくる物騒な音が聞こえていた。
「それにしても、うるさい場所だな」
かすかに聞こえるアルバ様の声を聴きながら私たち歩みを進めた。
一歩近づくごとに、その音が大きくなっていく様な気がした。
足を踏み出したくはなかったが、同時にこの先が気になった。
やがて、見えてきた場所は火属性とはまた違った明るい場所。
具体的には温かみのある火の光ではなく刺激の強い光だった。
キラキラと多彩な光がそこら中にちりばめられている。
見た目だけなら一番幻想的で魔法っぽい雰囲気に思えた。
すると、光と照らされて大きなステージが見えた。
更にはステージ上で戦う人の姿が見えた。
その人たちは魔法や武器を用いながら戦いを繰り広げていた。
近くにいた案内役の先輩によるとあれは演舞と言っていた。
どうやら、雷属性に入れば本格的な戦闘訓練が出来るらしい。
そんな、本格的な実践派が主体の雷属性を前に思わず足がすくんだ。
すると、唐突に左手を掴まれた。
誰だろうと振り返ると、そこにはうんざりとした様子のペラさんがいた。
しかも、次の場所へと向かおうとしているアルバ様の背中も見えた。
どうやら、私とモモチだけがちゃんと見学していたらしい。
確かに居心地は悪いし私に合わないとは思っていた。
そうして、私達は雷属性を後にした。
そして、残された最後の見学先は東の風属性。
おそらく今日の大本命となる場所だろう。
東の風属性の拠点へとたどり着くと、心地よい風が体を突き抜けてきた。
その不思議な感覚を確かめる様に私たちは互いに顔を見合わせた。
アルバ様、ペラさん、モモチ。全員が風を感じた様子だった
そんな、誰もが驚く出来事に驚いていると背後から追い風が吹いてきた。
そして、四人全員が思わず前によろけた。
数歩踏み出してしまった私達は、もう一度互いの顔を見合わせた。
そして、ペラさんが微笑みながら口を開いた。
「これは随分と粋な歓迎ね、流石はあなたが陶酔するリードさんのいる属性といったところね」
ペラさんはアルバ様にそう言った。
すると、アルバ様はとても嬉しそうな顔で微笑んでいた。
「俺達は歓迎されている、さぁ行くぞお前ら」
意気揚々と進むアルバ様の背中はとても大きく見えた。
私は、まるで引き寄せられるかのように彼の背中を追った。
風属性の拠点に到着すると、案内役の先輩が私たちの元へやって来た。
先輩が颯爽とやってくる様子は実にさわやかに見えた。
しかし、案内役の到着を前に背後から声が聞こえてきた。
それは聞き覚えがある、とても落ち着いた耳心地の良い声だった。




